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第20章 ゲーム進行編

352話 時は来たっ!!

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「すぅ~、はぁ……」

 大きく息を吸って、ゆっくりと吐き出し……心身共に最も充実した瞬間──

「むっ!!」

 練り上げた魔力を、一気に解き放つ!!

「むむむぅ~」

 空間を私の魔力……魔素エネルギーで満たし、ユニークスキル・魔素の支配者の権能で支配下に置く!!

「ぷはぁ~」

 集中してたせいで止まっていた息を吐き出すと共に、一瞬で魔素が霧散しちゃった。
 あぁ、めっちゃ疲れる!  でもっ!!

「どうですか!?  今一瞬だけど、できてませんでしたか!!」

「ふふふ、流石ね」

「ソフィーちゃん、おめでとうございます」

「ソフィーちゃん、すご~い!!」

 ノワールさん、レヴィアさん、ベルさんのこの反応!
 という事はつまり……

「成功よ」

「っ!  やったぁ~!!」

 ついに!  ついにできたっ!!
 長かった、オルガマギア魔法学園に入学した10歳の時点で私の魔力量は1280万だったし。
 15歳になった今となっては、5000万を優に超える。

 だからここ数年は魔力が枯渇するなんて事は一度もなかったけど……魔素エネルギーを全開で解放して、魔力が枯渇すればノワールさん達に回復してもらい。
 何度も何度も、挑戦してやっと!  一瞬だけど、やっと成功したっ!!

「ふぃ~」

 本当に、本当~に!  疲れたっ!!
 なんたって何回も繰り返し魔力枯渇してたわけだし……でも、達成した時のこの達成感っ!!

 公爵令嬢として、本当なら褒められた行為じゃないし。
 ファナとかが見ていれば怒られるだろうけど、ここにはファナはいないし細かい事は気にしない!
 この程よい疲労感と達成感のままに、地面に倒れ込んでやるわ!!

「っと」

「ふぇっ?」

 おかしい、目を瞑って地面に身を投げ出したはずなのに……後頭部に柔らかい感触が。

「ふふふ、喜ぶのはいいけれど、地面に倒れ込むのは危ないわよ?」

「ひゃ、ひゃい……」

 め、目の前に!  目の前に妖艶な美女が!!
 ノワールさんの吸い込まれそうな黒い瞳がぁっ!!

「ウフフ、本当に可愛い反応ね」

「うぅ~」

 近い近い近いっ!
 なにこれ!?  なんか知らないけど、めっちゃ恥ずかしいんですけどっ!!


 パチン!


「ほわっ!?」

 今度はなにっ!?  いきなりノワールさんの腕の中から、ふかふかで座り心地抜群のソファーの上に転移させられたんですけど!

「まったく……何をやっているのよ」

「ル、ルミエ様……!」

 流石はルミエ様!
 あの状況から助け出してくれたんですね!!

「ふふっ、ごめんなさいね。
 ソフィーちゃんの反応が可愛すぎて、つい揶揄ってしまったわ」

「はぁ……それにしても、まさか半日足らずで神域を展開できるようになるなんて」

「ふふ~ん!」

 セドリック達の後を追って見守る必要がなくなったから、セドリック達が12階層に辿り着くまでの間に……私はノワールさん達から神域というものを教わっていたわけだけど。

 四苦八苦する事、約半日!
 ついに私はノワールさん達に教えてもらった、神域を展開する事に成功したのであるっ!!

「本当ですよ」

 フィルが苦笑いしてるけど……

「ふふっ、フィルはまだ無理そうだね」

 まっ!  私も展開できたといっても、ほんの一瞬だけだったけど。

「まぁね。
 そもそも到達者なのに、神域を展開できたソフィーが例外なんだと思うよ?」

「ふふん!」

 つまり……流石は私っ!  って事ね!!
 まぁユニークスキルである探究者と魔素の支配者があったのにも関わらず、ギリギリだったんだけども。
 間に合ったんだからよしとしよう!


『次が12階層、だね』

『最初は少し手こずりましたが、慣れてくればこんなものですね』

『確かにこの程度の魔物なら私達の敵ではない。
しかしダンジョンでは何があるのかわからない、全員油断だけはしないようにね』

『流石セド!  その通りだね!!』

『『……』』


とまぁ、魔物が蔓延るダンジョン内で和やかに。
ガイルとサイラスの2人は無言で周囲を警戒してるけど、セドリック達も半日かけて12階層に辿り着いたわけですし!!

「こほん!  それでは、今度こそ私達も行ってきますね!!」
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