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第20章 ゲーム進行編

343話 一大イベントが待っている!!

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『以上が本日のご報告となります』

「ん~、ありがとう。
 ルーもお疲れ様」

『勿体なきお言葉。
 これがご主人様より与えられし任務、私の役目ですので』

 いつものごとく無表情で淡々としながらも、どこか誇らしげなルーちゃんの声音!
 んーもうっ!  可愛いんだから、ルーにはいつも嫌な役目をやってもらっちゃってるし、何か労ってあげよう!!

「ルー、何か欲しいものはある?」

『欲しいもの、ですか……それでしたら、僭越ながらご主人様が討伐された魔物の素材をいただきたく思います』

 やっぱり魔物の素材かぁ~。
 まぁルーは希少な魔物の素材……特に私が倒した魔物の素材をコレクションするっていう、ちょっと変わった趣味があるしね。

「わかった。
 ちょうど今、初めて見る魔物と戦ってるから楽しみにしてて!」

 さすがは海竜の竜王マーレさんが治める、海底王国マリンニアよりさらに奥。
 海底王国と神の国との間に広がる、前人未到の海域!

 見た事も、聞いた事もない強大な魔物がしょっちゅう襲いかかってくる。
 現に今も私と一緒に今日の当番であるフィルが、8本どころか無数の触手を持つタコみたいな魔物と戦ってるし。

 しかも……めちゃくちゃデカい!
 この船よりも遥かに大きい上に、身体は竜種ドラゴンみたいな鱗に覆われていて、さらにはフィルが魔法で消し飛ばした触手が一瞬で再生する再生力!!

「ふむ」

 この魔物の危険度は最低でも推定Sランク、天災級に相当するだろうし。
 下手をすれば特Sランクの神災級にすら及ぶかもしれない。

 このレベルの魔物になると、いくらマスの管理下にあってAランクの厄災級までなら容易に撃退できる性能を誇るこの船でもどうにもならない。

 まぁ、この海域で出てくる魔物は殆どがこの魔物と同等の存在なんだけども。
 本当に凄まじい海域だよね~。

「ちょっとソフィー!
 いい加減手伝って欲しいんだけどっ!?」

「了解~!
 じゃあルーちゃん、引き続きお願いね!!」

『かしこまりました』

 イストワール王立学園に、聖女エマが編入してきて早4ヶ月ほど。
 最初の方は忠実にイベントをこなそうと頑張ってたし、私も悪役令嬢としてしっかりと迎え撃ってたんだけど……

 途中から飽き……げふん!  げふん!  特級依頼の方の忙しさが増したから、最近は学園の方はルーに殆ど任せっきりになってた。
 だがしかしっ!!

「ふふっ」

 明日からは始まる夏休みには、これまでのちまちましたイベントとは比べ物にならない一大イベントが幕を開ける!!
 さすがにあの一大イベントをスルーするわけにはいかないし、この巨大タコはとっとと片付けて夏休みに備えないと!

「フィル、下がって」

「ちょっ、何を……」

「船の保護はお願いね!」

「まさか……」

 フィルが頬を引き攣らせて苦笑いしてるけど、細かい事は気にしない!

「切り刻まれてチリと化せ……風神雷刃っ!!」

 練り上げた魔力を解き放った瞬間──


 ────!!!


 耳をつんざく轟音が鳴り響いて、船が大きく揺れ動く!
 雷を纏った巨大な竜巻によって空へと舞い上がられた魔物が、風の刃で切り刻まれ、雷に焼かれてチリと化す!!


 パチンッ!


 空間魔法で亜空間のアイテムボックスに、ルーへとお土産にする綺麗な鱗に覆われた触手の破片を収納してっと。

「ふふふっ、ふぁ~はっはっはっはっ!!」

 この2年で他のSランク冒険者のみんなから、さまざまな技術や魔法を習得し!
 さらにはこの海域によって鍛え上げられた私にかかれば、この程度の敵は敵じゃないのであるっ!!

「ソフィー……」

 フィルが結界を展開して、空間魔法とスキルを駆使したお陰で船も転覆してないし。
 何より普段は押さえ込んでる魔力を!  魔素エネルギーを解放したときの爽快感っ!!

「我が覇道は何人たりとも邪魔できないっ!!」

 ドドンっ!!
 完璧に決まったわ!  今のは私史上カッコいい決め台詞ベストファイブにはランクインするんじゃないかな?
 フィルの意見も聞いて……

「ソフィー」

 あ、えれ?
 まずい!  何故かフィルが怒っているっ!!
 このままでは、また長々とフィルのお説教を聞くハメに……

「そ、そのですね……」

「何度も言ってるけど、天候操作とか範囲の広い広域殲滅魔法をいきなり使わないくれるかな?」

「……すみませんでした」
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