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第20章 ゲーム進行編

337話 教えてあげよう!!

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「では、これより模擬戦を開始します。
 ルスキューレさんとエマさん以外の人は、結界の外へ出てください」

 私の言葉を受けて、騒つく生徒たちへとそう切り出したのはこの授業を受け持つ先生。
 魔法師団に所属している魔法使いで、その実力は魔法師団の第四席に位置しており、魔法士の称号を持つ実力者!!

 なぜ王立とはいえ、学園の授業なんかを、そんな実力者が受け持っているのか。
 答えは簡単!  それはここに私がいるからに他ならないっ!!

「ふふっ」

 ことの発端はミネルバとウェルバーの一件にまで遡る。
 あのとき私が話題沸騰中の冒険者ソフィーの正体だと、国王であるエルヴァンおじさんや王妃のフローラ様にバレた事で、お父様や私も参加した極秘会議にて誰に、どこまで情報を共有するべきか議論された。

 その際、王姉であり現在は魔法師団と騎士団双方を統括する総帥の地位にいるネヴィラ・ルイーザ公爵こと。
 ネヴィラお姉様の提案を受けて、厳重な契約魔法のもと国の上層部と、魔法師団と騎士団の上位十席以上に位置する実力者には私の事が告げられた。

 当時はまだ王太子じゃなかったセドリック第一王子の仮の婚約者であり、天才の名前を欲しいままにしている才媛!
 ソフィア・ルスキューレ公爵令嬢は、冒険者ソフィーであり、オルガマギア魔法学園の生徒であり、魔塔に属する大魔導士である……と。

 そして魔法師団と騎士団の中で勃発したのは、2年後に私が入学する予定だったここ。
 イストワール王立学園の講師の座を勝ち取るための争奪戦っ!!

 まっ、当時最もSランクに近いといわれ、魔王の一角を崩したAランク冒険者にして、魔塔に属する大魔導士だもん。
 私とお近づきになって、色々と手解きを受けたいと思うのも当然というもの!!

 そんなわけで、熾烈な争奪戦を見事突破し!
 この学園での魔法講師の座をその手に掴んだのが、生徒達からの人気もある金髪の美女。
 このカリア先生なわけなんだけど……

「もう一度確認しておきますが、これはあくまでも互いの魔法の実力を見せ合うのが目的の模擬戦です。
 危険と判断したら私が介入しますが……危険な魔法は行使しないように注意してください」

 むっ、今私の事を一瞬だけチラッと見ましたね?
 まったく、失敬な!  私を誰だと思っているんだか、そんなミスをするわけないじゃないですか!!

 そりゃ確かにカリア先生と、剣術講師となった騎士団第三席のグリバル先生との手合わせでは、2人ともボロボロになっちゃってたけど。
 ちゃんと五体満足で、エマに怪我ひとつ負わせることなくこの模擬戦を終わらせてあげますよ。

「わかりました!」

「えぇ、勿論です」

 さて、どうしようかな?
 あんまり派手な魔法を使うと……私とエマの実力差だと手加減していても、大怪我を負わせかねないし。

「では……模擬戦、開始っ!!」

 カリア先生の声を受けて……周囲で見ている生徒達などよめきが走る!
 さっきまでの不安だけど頑張る健気な私!  みたいな表情はどこへ行ったのか。

 私の正面に立ち、自信に満ちた笑みを浮かべたエマから迸るその膨大な魔力!!
 もっとも?  私からすれば大した事はないんだけど。

 パッと見た感じだと、今のエマの魔力量は50万ほど。
 この世界における魔力量の平均値が約10万だから、エマが発する魔力を見て生徒達が驚くのも無理はない。

 というか、さっきカリア先生に危険な魔法を使うなって言われたばかりなのに。
 こんな魔力で放たれる魔法なんて、普通の生徒なら死んでもおかしくないよ?

「これは……」

 無論、その事はカリア先生もわかっている。
 なにせエマの魔力量はカリア先生よりも多いし。
 けど……驚いているだけで、先生は動かない。

「ふふっ」

 何故なら!  この程度では、私に傷ひとつつける事もできないと知っているから!!

「魔法とは」

 乙女ゲームのストーリー通りの流れとはいえ、膨大な魔力によるゴリ押しで私をどうにかできると思っているおバカさんに教えてあげよう!!

「魔法の実力とは、魔力量で決するものではないのですよ?」

 さぁ!  刮目せよっ!!
 初歩的な魔法だけで、エマを圧倒して見せよう!!
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