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第18章 聖女召喚編
322話 慈悲はないっ!!
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「お出迎えありがとうございます」
近衛騎士の方の手を借りて馬車を降り、エルヴァンおじさんの前で誰もが見惚れるような完璧なカーテシーを披露する。
すると……周囲から感嘆のため息が溢れ出る!
「ふふふ」
まっ! いかに王宮の使用人達といえども、男女問わず私の美しさに見惚れちゃうのも無理はない!!
自分で言うのもなんだけど、私ってそれはもう絶世の美女だもん!
イストワール王国の社交界で、月の女神と称されているのは伊達じゃないのである!
エルヴァンおじさんですら、私の妖艶な笑みを見て軽く頬を染めちゃってるほどだし……
「まさか陛下自らお出迎えしていただけるなんて」
「ははは、セドリックがいれば話は別だが、アイツは今この王城にはいないからな。
セドリックの父親として、そしてソフィア嬢を招待した身としてこのくらいは当然だよ」
まぁ、セドリックはちょうど一週間前にルスキューレ公爵領の公爵邸で行われた私の誕生日パーティーに出席……というか乗り込むために、ルスキューレ公爵領に来てたわけだしね。
ルスキューレ公爵領は王都から馬車で片道、一週間半ほどはかかる距離にある。
私達みたいに転移魔法を好きに使えるのなら話は別だけど、高等魔法である転移魔法を使いこなせる人なんてそうそういないわけで。
流石に使いこなせるとまではいかなくても、魔法師団には転移魔法を使える人も何人かいるだろうけど……
そう都合よくその人材が今、セドリックと一緒にいるはずもない。
というわけで今頃セドリックは馬車の中だろうから、不在の婚約者に代わって父親で、なおかつ私を招待したエルヴァンおじさんがセドリックの代わりに出迎えてくれるのも納得できなくはないけど。
「しかし、国王陛下が公爵令嬢に過ぎない私を御自ら出迎えられるなど……とても恐れ多く、気後れしてしまいますわ」
「気後れする必要などないさ。
ソフィア嬢はもう私の家族みたいなものだからね」
チッ! 言外に帰りたいって言ってみたけど、やっぱりダメだったか。
「では、この私にご令嬢をエスコートする栄誉を与えてくれるかな?」
「ふふっ、勿論ですわ」
エルヴァンおじさんの腕に手を添えて……
「さっき私に見惚れてた事は、しっかりとフローラ様に報告させてもらいますからね」
「っ!?」
「陛下? いかがなさいましたか?」
せっかく周囲に聞こえないように、優雅に見える微笑みを崩さずに小声で言ったのに……そんなギョッとして私を凝視してると、周囲の人達に訝しまれてしまいますよ?
「い、いや、なんでもないよ」
むふふ! フローラ様に怒られるエルヴァンおじさんの姿が目に浮かぶわ!!
「ソ、ソフィー、言っておくが、私は別にソフィーに見惚れては……」
「むっ、じゃあエルヴァンおじさんは私に魅力がないとおっしゃるんですか?
酷いです、傷ついたので帰らせていただいても?」
「いやいやいや! 別にそこまでは言ってないよ?
あの……だね、どうかこの事はフローラには内密に……」
「ふふふ……イヤです」
「そ、そんな……やっぱり、もしかしなくても怒ってる?」
「えぇ、無理やり巻き込まれたので」
あんな同情とを誘って、断れば罪悪感を感じさせるような手紙で、私をこの場に引き摺り出したんだし。
このくらいの意趣返しはあって然るべき!!
すぐ後ろをついてきてるエルヴァンおじさんの側近の方々とか、ファナ達には思いっきり聞かれちゃってるけど……細かい事は気にしない。
私とエルヴァンおじさんのやり取りが聞こえてるであろう人達には、エルヴァンおじさんやフローラ様と私、と言うよりもルスキューレ公爵家の砕けた関係は周知の事実だし。
「そ、そうだ! 何か好きな物をプレゼントさせてもらうよ?
だから今回の事は……」
「まぁ! 陛下からのプレゼントなど畏れ多いのでご遠慮させていただいます」
「そ、そこをなんとか!」
「ふふふ、そろそろ会議室に到着しますよ」
フローラ様の凍えるような視線を向けられて怒られる事を思うと、ちょっと可哀想だと思わなくもないけど……私をこの場に引き摺り出したのはエルヴァンおじさんだし、慈悲はないっ!!
近衛騎士の方の手を借りて馬車を降り、エルヴァンおじさんの前で誰もが見惚れるような完璧なカーテシーを披露する。
すると……周囲から感嘆のため息が溢れ出る!
「ふふふ」
まっ! いかに王宮の使用人達といえども、男女問わず私の美しさに見惚れちゃうのも無理はない!!
自分で言うのもなんだけど、私ってそれはもう絶世の美女だもん!
イストワール王国の社交界で、月の女神と称されているのは伊達じゃないのである!
エルヴァンおじさんですら、私の妖艶な笑みを見て軽く頬を染めちゃってるほどだし……
「まさか陛下自らお出迎えしていただけるなんて」
「ははは、セドリックがいれば話は別だが、アイツは今この王城にはいないからな。
セドリックの父親として、そしてソフィア嬢を招待した身としてこのくらいは当然だよ」
まぁ、セドリックはちょうど一週間前にルスキューレ公爵領の公爵邸で行われた私の誕生日パーティーに出席……というか乗り込むために、ルスキューレ公爵領に来てたわけだしね。
ルスキューレ公爵領は王都から馬車で片道、一週間半ほどはかかる距離にある。
私達みたいに転移魔法を好きに使えるのなら話は別だけど、高等魔法である転移魔法を使いこなせる人なんてそうそういないわけで。
流石に使いこなせるとまではいかなくても、魔法師団には転移魔法を使える人も何人かいるだろうけど……
そう都合よくその人材が今、セドリックと一緒にいるはずもない。
というわけで今頃セドリックは馬車の中だろうから、不在の婚約者に代わって父親で、なおかつ私を招待したエルヴァンおじさんがセドリックの代わりに出迎えてくれるのも納得できなくはないけど。
「しかし、国王陛下が公爵令嬢に過ぎない私を御自ら出迎えられるなど……とても恐れ多く、気後れしてしまいますわ」
「気後れする必要などないさ。
ソフィア嬢はもう私の家族みたいなものだからね」
チッ! 言外に帰りたいって言ってみたけど、やっぱりダメだったか。
「では、この私にご令嬢をエスコートする栄誉を与えてくれるかな?」
「ふふっ、勿論ですわ」
エルヴァンおじさんの腕に手を添えて……
「さっき私に見惚れてた事は、しっかりとフローラ様に報告させてもらいますからね」
「っ!?」
「陛下? いかがなさいましたか?」
せっかく周囲に聞こえないように、優雅に見える微笑みを崩さずに小声で言ったのに……そんなギョッとして私を凝視してると、周囲の人達に訝しまれてしまいますよ?
「い、いや、なんでもないよ」
むふふ! フローラ様に怒られるエルヴァンおじさんの姿が目に浮かぶわ!!
「ソ、ソフィー、言っておくが、私は別にソフィーに見惚れては……」
「むっ、じゃあエルヴァンおじさんは私に魅力がないとおっしゃるんですか?
酷いです、傷ついたので帰らせていただいても?」
「いやいやいや! 別にそこまでは言ってないよ?
あの……だね、どうかこの事はフローラには内密に……」
「ふふふ……イヤです」
「そ、そんな……やっぱり、もしかしなくても怒ってる?」
「えぇ、無理やり巻き込まれたので」
あんな同情とを誘って、断れば罪悪感を感じさせるような手紙で、私をこの場に引き摺り出したんだし。
このくらいの意趣返しはあって然るべき!!
すぐ後ろをついてきてるエルヴァンおじさんの側近の方々とか、ファナ達には思いっきり聞かれちゃってるけど……細かい事は気にしない。
私とエルヴァンおじさんのやり取りが聞こえてるであろう人達には、エルヴァンおじさんやフローラ様と私、と言うよりもルスキューレ公爵家の砕けた関係は周知の事実だし。
「そ、そうだ! 何か好きな物をプレゼントさせてもらうよ?
だから今回の事は……」
「まぁ! 陛下からのプレゼントなど畏れ多いのでご遠慮させていただいます」
「そ、そこをなんとか!」
「ふふふ、そろそろ会議室に到着しますよ」
フローラ様の凍えるような視線を向けられて怒られる事を思うと、ちょっと可哀想だと思わなくもないけど……私をこの場に引き摺り出したのはエルヴァンおじさんだし、慈悲はないっ!!
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