上 下
249 / 460
第14章 白銀の教師編

249話 講義を始めます!!

しおりを挟む
「こほん……」

 私に注がれる視線を感じながら、咳払いを1つ。
 優雅で優美な所作で周囲を軽く見渡し……

「ようこそ!  私の講義へ!!」

 先生に相応しい、余裕たっぷりな笑みを浮かべて言い放つ。
 決して、決して!  内心の動揺を悟られてはいけない!  なぜなら……私は先生なのだからっ!!

「先日の入学式で挨拶をさせてもらいましたが、改めて自己紹介させていただきます」

 先生たる者、生徒の前では常に余裕ある毅然とした姿を見せなくてはならない。
 これは公爵令嬢として、悪役令嬢としての矜持でもある!  んだけど……

「この講義を受け持つ、特別名誉教授のソフィアです」

 なんでこんなに大勢がいるのっ!?
 オルガマギア魔法学園では1クラス30人で、SからFの全7クラスだから学年で210名。
 それが5学年あるから、全校生徒は1050名。

 まぁ、中には飛び級で卒業した人……は、私が入学してからは聞いたことないわ。
 とにかく!  留年しちゃって退学になったりして、学園を去った人もいるだろうし、正確にはもっと少ないだろうけど……

「また、第一魔塔に所属する、最年少の大魔道士にして最年少Sランク冒険者でもあります」

 ちなみに!  同い年のフィルも当然とのように私と同じ第一魔塔に所属してるし、私の同じSランク冒険者。
 しかしっ!  フィルの誕生日は私よりも早い。

 よって、私が最年少大魔道士だったり、最年少Sランク冒険者と呼ばれているのだっ!!
 むふふ~……って!  そうじゃなくてっ!!

 この教室にいる生徒の人数!
 おかしい、確かにこの学園の教室はそのほとんどが空間魔法によって空間が拡張されてるよ?

 それこそ、空間を拡張させてる魔法を調整すれば、全ての教室に全校生徒が入れちゃうわけだし。
 けど!  けどだよ!?

「皆さん、よろしくお願いします」

 なんでこの教室にっ!  私の講義に、こんな大勢がいるわけっ!?
 私の講義は基本的には1年生向けなのに、ぱっと見でも確実に210人以上はいるんですけどっ!!

 いやまぁ、確かに1年生向けってだけで、他の学年の生徒が履修できないわけじゃないけども!
 それでもこの人数は異常すぎる!!  私が今まで履修してきたどの講義でも、この半分もいなかったのに……!

「そしてこちらが、私の補佐をしてくれる」

「皆さん、初めまして」

 と、とりあえず!  フィルが自己紹介をしてる間に、生徒達にバレないように深呼吸して落ち着かないと……

「ソフィア先生と同じく、第一魔塔所属の大魔道士にしてSランク冒険者でもあるフィルです」

 ソ、ソフィア先生っ!

「むふっ」

 いい!  とてもいい響きだわっ!!

「はっ!」

 危ない、危ない。
 もうちょっとで、すごい先輩にしてすごい先生って私のイメージが崩れちゃうところだったわ。
 こんな大勢の生徒達の前で、子供みたいにはしゃぐわけにはいかないのである!!

「しかし……」

 なるほど。
 このまえマリア先生に呼ばれたとき、大変だろうからフィルに補佐をしてもらうようにっていわれたけど……こういうことだったのか。

 まさか、私の講義にこれほどの人数が集まるなんて。
 さすがに想定外だったし、講義をするなんて初めてだから1人だったら取り乱していた可能性は大いにある。
 それを見越してのフィルの補佐!  さすがはマリア先生だわ!!

「ソフィー?」

「っと」

マリア先生の慧眼に感心してる場合じゃなかった!

「こほん!  それでは……講義を始めます!!」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた

八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』 俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。 レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。 「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」 レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。 それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。 「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」 狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。 その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった―― 別サイトでも投稿しております。

悪役令嬢ですが最強ですよ??

鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。 で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。 だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw 主人公最強系の話です。 苦手な方はバックで!

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった 16歳の少年【カン】 しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ これで魔導まで極めているのだが 王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ 渋々それに付き合っていた… だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである ※タイトルは思い付かなかったので適当です ※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました 以降はあとがきに変更になります ※現在執筆に集中させて頂くべく 必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします ※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

処理中です...