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第13章 動き出す運命編
235話 イストワール王立学園
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イストワール王立学園があるのは、ルスキューレ公爵邸から王城を挟んで反対側。
距離的には、別にそこまで遠いわけじゃない。
それに、お父様達と話してたせいで、結構ギリギリの時間に公爵邸を出発したからか。
道も混んでなくて、馬車は順調に学園はと進む。
「この調子だと、無事に間に合いそうですね」
「うん」
まぁぶっちゃけ、間に合わなそうだとしても問題ないんだけどね。
馬車自体に認識阻害の魔法をかけてから、学園の近くまで転移で移動したらいいわけだし。
そんなことより!
今重要なのは……もうすぐイストワール王立学園に到着してしまうということっ!!
「うぅ~緊張してきた……」
お父様達の前では、大丈夫っていったけど。
いざ学園に到着するとなると、不安になってきたわ……
「大丈夫ですよ!
私もルミエ様もお側に控えておりますから!!」
「ファナの言う通りよ。
ファナがあれば怪我をしても問題ないでしょうし、私がいる限り誰にも手出しはさせないわ」
「ファナ、ルミエ様……」
確かにそうかもしれないけど……
「でも……あの予言もあるし……」
2週間ほどまえに依頼でリアットさん達を護衛し、クラーケンを討伐するために行ったアクムス王国。
そこで帰る日の朝……リアットさんが呼びに来た日に、あの人から告げられた予言。
「予言というと……いずれ避けようのない、困難を極めるだろう悪魔の試練が訪れるっていう、あれでしょうか?
アクムス王国で海竜から告げられたという」
そう! あのときリアットさんと一緒に向かった場所にいたのは……綺麗な青い髪に、透き通るような水色の瞳をした絶世の美女!!
さりげなくリアットさんがいってたお客様。
それがまさか! 私が聖女と呼ばれるようになってしまった理由。
私の祈りで怒りを鎮めた海竜さんだったことには驚いた。
それはもう、思わず変な声が出ちゃったほどにびっくりした。
けど……今重要なのはわざわざ迷惑をかけたてごめんなさいねって、謝りにきた海竜ミュールさんから告げられたと予言!!
「あぁ、あの予言ね」
ミュールさんには少しだけ未来を覗く力があるらしく、それで予言したもらったんだけど……避けようのない、困難を極めるだろう悪魔の試練。
それって、悪魔のように辛く厳しい試練ってことでしょっ!?
しかも……前世の記憶にある、乙女ゲームの中の私が送っていたイストワール王立学園での生活。
朝から学園で勉強し、学園が終わると即王城へ向かって王子妃教育および王妃教育。
第一王子の婚約者として、将来の勉強のためという名目で割り当てられる執務をこなして家に帰ればもう深夜。
それはもう多忙を極める、1日びっしりと埋まった分刻みのスケジュール!
そのせいで親しかった友人達とも疎遠になり、さらに聖女エマが召喚されてからは……それはもう悲惨なものだったといえる。
「はぁ……」
むろん、そんな乙女ゲームみたいな学園生活を送るつもりなんて毛頭ないけど……緊張しちゃうのは仕方ない。
だって実際に行ったことはないけど、イストワール王立学園はいい思い出がない場所なわけだし。
「大丈夫よ。
ミュールの予言が学園のことを指しているとは限らないでしょ?」
「それはそうかもしれませんけど……そもそも! 本音をいってしまえば、私はこの学園に入学したくなかったんです!!」
だってオルガマギア魔法学園でフィルやミラさん達と遊……げふん! げふん! 魔法の研究をしてた方が楽しいし!!
王子妃教育を終わらせて、王妃教育も殆ど終了している私にイストワール王立学園で学ぶことなんて、殆どないに等しい。
まぁ、それでも学園は社交界の縮図みたいなもの。
人脈を築くことも学園での大事な目的となってわけで。
仮とはいえ第一王子たるセドリックの婚約者という立場の私が、入学しないわけにもいかない。
そもそも! イストワール王立学園はなにか特別な理由がない限り、満12歳から16歳までのイストワール王国の貴族の子弟は全員通うように義務付けられている。
だからこんなことをいっても、しょうがないんだけども……
「あっ! お嬢様、そうこうしている間に到着したみたいですよ」
「えっ、もう?」
ちょっと待って! まだここの準備ができてないんですけど!!
あぁ~! 馬車を止めないでっ!!
「さぁ! 参りましょう!!」
「ちょ、ファナ! ちょっと待ってぇ……!!」
「いいえ待ちません!
急がないと遅刻してしまいます!!」
「うぅ~!」
さすがに入学式から遅刻するのはまずい……というか、恥ずかしいし。
「お嬢様、お手を」
「わ、わかったわ」
ここまで来てしまったら、うじうじしててもどうしようもない。
えぇい! ままよっ!!
ファナの手をとって、馬車から優雅に降りると……立派な門に広大な庭、そして鎮座する白亜の校舎。
そこに広がるのは、私自身は初めて見る。
けど前世の記憶にある乙女ゲームで、何度も見た見慣れた光景。
「ここが……イストワール王立学園」
私が断罪されて、破滅する場所……
「ふふっ」
今の私は乙女ゲームの私ではない。
待っていなさい! 運命なんて、力ずくでぶち壊してやるわっ!!
距離的には、別にそこまで遠いわけじゃない。
それに、お父様達と話してたせいで、結構ギリギリの時間に公爵邸を出発したからか。
道も混んでなくて、馬車は順調に学園はと進む。
「この調子だと、無事に間に合いそうですね」
「うん」
まぁぶっちゃけ、間に合わなそうだとしても問題ないんだけどね。
馬車自体に認識阻害の魔法をかけてから、学園の近くまで転移で移動したらいいわけだし。
そんなことより!
今重要なのは……もうすぐイストワール王立学園に到着してしまうということっ!!
「うぅ~緊張してきた……」
お父様達の前では、大丈夫っていったけど。
いざ学園に到着するとなると、不安になってきたわ……
「大丈夫ですよ!
私もルミエ様もお側に控えておりますから!!」
「ファナの言う通りよ。
ファナがあれば怪我をしても問題ないでしょうし、私がいる限り誰にも手出しはさせないわ」
「ファナ、ルミエ様……」
確かにそうかもしれないけど……
「でも……あの予言もあるし……」
2週間ほどまえに依頼でリアットさん達を護衛し、クラーケンを討伐するために行ったアクムス王国。
そこで帰る日の朝……リアットさんが呼びに来た日に、あの人から告げられた予言。
「予言というと……いずれ避けようのない、困難を極めるだろう悪魔の試練が訪れるっていう、あれでしょうか?
アクムス王国で海竜から告げられたという」
そう! あのときリアットさんと一緒に向かった場所にいたのは……綺麗な青い髪に、透き通るような水色の瞳をした絶世の美女!!
さりげなくリアットさんがいってたお客様。
それがまさか! 私が聖女と呼ばれるようになってしまった理由。
私の祈りで怒りを鎮めた海竜さんだったことには驚いた。
それはもう、思わず変な声が出ちゃったほどにびっくりした。
けど……今重要なのはわざわざ迷惑をかけたてごめんなさいねって、謝りにきた海竜ミュールさんから告げられたと予言!!
「あぁ、あの予言ね」
ミュールさんには少しだけ未来を覗く力があるらしく、それで予言したもらったんだけど……避けようのない、困難を極めるだろう悪魔の試練。
それって、悪魔のように辛く厳しい試練ってことでしょっ!?
しかも……前世の記憶にある、乙女ゲームの中の私が送っていたイストワール王立学園での生活。
朝から学園で勉強し、学園が終わると即王城へ向かって王子妃教育および王妃教育。
第一王子の婚約者として、将来の勉強のためという名目で割り当てられる執務をこなして家に帰ればもう深夜。
それはもう多忙を極める、1日びっしりと埋まった分刻みのスケジュール!
そのせいで親しかった友人達とも疎遠になり、さらに聖女エマが召喚されてからは……それはもう悲惨なものだったといえる。
「はぁ……」
むろん、そんな乙女ゲームみたいな学園生活を送るつもりなんて毛頭ないけど……緊張しちゃうのは仕方ない。
だって実際に行ったことはないけど、イストワール王立学園はいい思い出がない場所なわけだし。
「大丈夫よ。
ミュールの予言が学園のことを指しているとは限らないでしょ?」
「それはそうかもしれませんけど……そもそも! 本音をいってしまえば、私はこの学園に入学したくなかったんです!!」
だってオルガマギア魔法学園でフィルやミラさん達と遊……げふん! げふん! 魔法の研究をしてた方が楽しいし!!
王子妃教育を終わらせて、王妃教育も殆ど終了している私にイストワール王立学園で学ぶことなんて、殆どないに等しい。
まぁ、それでも学園は社交界の縮図みたいなもの。
人脈を築くことも学園での大事な目的となってわけで。
仮とはいえ第一王子たるセドリックの婚約者という立場の私が、入学しないわけにもいかない。
そもそも! イストワール王立学園はなにか特別な理由がない限り、満12歳から16歳までのイストワール王国の貴族の子弟は全員通うように義務付けられている。
だからこんなことをいっても、しょうがないんだけども……
「あっ! お嬢様、そうこうしている間に到着したみたいですよ」
「えっ、もう?」
ちょっと待って! まだここの準備ができてないんですけど!!
あぁ~! 馬車を止めないでっ!!
「さぁ! 参りましょう!!」
「ちょ、ファナ! ちょっと待ってぇ……!!」
「いいえ待ちません!
急がないと遅刻してしまいます!!」
「うぅ~!」
さすがに入学式から遅刻するのはまずい……というか、恥ずかしいし。
「お嬢様、お手を」
「わ、わかったわ」
ここまで来てしまったら、うじうじしててもどうしようもない。
えぇい! ままよっ!!
ファナの手をとって、馬車から優雅に降りると……立派な門に広大な庭、そして鎮座する白亜の校舎。
そこに広がるのは、私自身は初めて見る。
けど前世の記憶にある乙女ゲームで、何度も見た見慣れた光景。
「ここが……イストワール王立学園」
私が断罪されて、破滅する場所……
「ふふっ」
今の私は乙女ゲームの私ではない。
待っていなさい! 運命なんて、力ずくでぶち壊してやるわっ!!
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