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第12章 アクムス王国編

232話 翌朝

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「ん~!!」

 ぐっと両手を上に伸ばして、凝り固まった身体をほぐし……

「ふぅ~」

 吸い込んだ空気を一気に吐き出す。

「……」

 おかしい。
 ふかふかなベッドで、ぐっすり寝たはずなのに。
 いつもならスッキリと気分爽快に起きられるはずなのに……なんか、まだ眠たい。

「ふむ」

 やっぱり疲れが溜まってるんだ。
 まぁ昨日は色々とあったし、疲れが取れてなくても仕方ない。
 だから私がこれから、二度寝しちゃうのも仕方ない!

「ルミエ様~」

『ふふっ、まったくソフィーは甘えん坊なんだから』

 別に甘えてるわけじゃないんです!
 ただ……枕元で寝そべってる猫ちゃんサイズのルミエ様が、可愛すぎるだけなんですっ!!

 果たして誰が、今のルミエ様を目にして抱きしめずにいられようか?
 いいや!  我慢できるはずがないっ!!

 かわいいは正義!  これは神ですら抗えない世界の真実、真理なのだ!
 というわけで、ルミエ様を抱きしめて……

「おやすみなさい~」

 いざ!  夢の世界へ……


 コンコン


 ゆ、夢の世界……


 コンコン


 ひぃ~!  悪魔の足音が聞こえるっ!!

「お姉様?」

 聞こえない!  聞こえない!
 私はまだ寝たいんだ!  なにも聞こえない~っ!!

「失礼します。
 お姉様、まだ眠ってらっしゃるのですか?」

「ぅ~」

 やだやだやだ!  私はまだ寝るのだ!!
 というより!  この安息の地から出たくないっ!!

「ふふっ、フィル様のおっしゃる通りですね」

 えっ、フィル?
 なんでここでフィルが……って!  そんなことはどうでもいい!!
 とにかくっ!  私はここでルミエ様と一緒に立て籠るんだ!!

「お姉様、寝たフリをされても無駄ですよ?
 きっと部屋から出たくないから、寝ているフリをしてベッドで丸まってるだろうって、フィル様がおっしゃっていましたからね」

「むぅ」

 さすがはフィル。
 だてに私と付き合いがないわけじゃないわ。

「お姉様、みんな待っているんですよ?
 だから早く身支度を整えて、朝食をいただきに行きましょう」

 こうなっては仕方ない。
 寝てるフリがバレちゃってる以上、お布団を頭からかぶっていてもどうしようもないし……とりあえず顔だけは、お布団をからだして……

「みんなって、誰がいるの?
 昨日の夜みたいになってない?」

「心配なさらずとも大丈夫です。
 今日は女王陛下と私達、そしてお客様が1人いらっしゃるだけですから」

「お客様?」

「とにかく!  早く参りましょう!!」

「わ、わかったわ!  わかったから、そんなに引っ張らないで!!」

 そもそも、まだ着替えてもいないんだから!
 けど……まぁ、昨日の夜みたいなことになってないなら問題ない。

 昨日の夜は……急遽、事態解決を祝うお祭りが開催されたことはいい。
 さすがは商人の聖地、それはもう王都をあげての盛大なお祭りだった。

 けど……本当にさすがは情報を大事にする商人たちの聖地。
 どこかからかもれた、私が海竜の怒りを鎮めたって話が一瞬で広まり。
 そのせいで王都中の人達から聖女様って呼ばれるハメに……

換装魔法ドレスチェンジ

「っ!?」

 ベットから降りつつ、服を着替えて身支度を済ませてっと。

「お、お姉様、今の魔法はいったい……」

「ふふっ、この魔法は換装魔法ドレスチェンジ
 空間魔法を応用することで一瞬にして服を着替えて、身支度を整えることができちゃう便利な魔法なの」

 私的、冒険者活動に必須魔法の1つ!!

「準備もできたみたいだし、そろそろ行きましょうか」

「ル、ルミエ様っ!?
 い、いつからこそに!!」

 まぁ……実は最初からこの部屋にいて、普通に椅子に座って人の姿になっただけなんだけど。
 リアットさんには猫ちゃんサイズのルミエ様は見えないんだし、驚くのは仕方ない。

「こほん、これ以上みんなを待たせるのも悪いですし。
 とりあえず行きましょう!」
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