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第12章 アクムス王国編
229話 天雷
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「キシィィィッ!!!」
おぉ~、怒ってる怒ってる。
自分が引き起こした大津波をフィルに止められて、かなり頭にきてるみたいだ。
「お、お姉様……」
「大丈夫ですよ」
まぁでも、リアットさんが不安に思う気持ちもわかる。
さっきの大津波だって、フィルが打ち消さなかったら、アクムス王国の王都フェニルを呑み込んで壊滅させてただろうし。
それにクラーケンはこの距離からでも、さっきみたいに海水を用いて十分に私達を攻撃できる。
それに対して、私達にはクラーケンとの間にある500メートルの海が足枷となる……
「ふふっ」
まっ! 今の状況を常識的に考えたら、こんな感じになるかな?
もっとも……それはあくまでも常識的に考えたらの場合であって、私達には関係ないんだけども!!
「私達にとって、この程度の距離は距離に入りませんから」
「白き光に滅されよ……」
クラーケンへと向けて、フィルが軽くかざした右手に急速に膨大な魔力が収束する。
「滅光」
チュン──!!
一筋縄の白い光が一瞬で……射線状にある全てを消し去りながら、海を駆け抜け……
「キシャァァァァ──!!?」
8本あるクラーケンの足のうち、1本が消滅する。
「えっ?」
「……は?」
まぁ、リアットさんとサイラスが愕然としちゃうのも仕方ない。
だって数十メートルはある、大樹みたいなクラーケンの足が一瞬で文字通り綺麗に消え去ったわけだし。
「滅光。
特殊属性である光属性魔法の上位属性である、神聖属性魔法の中でも最上位に位置する魔法。
触れたもの全てを消し去る白き光!」
無論! この滅光は、私も使えるけど……悔しいけど滅光を含めて、光属性魔法と神聖属性魔法についてはフィルには劣る。
まぁ、そもそも神聖属性最高位なだけあって、超高難易度の魔法だし。
光天と呼ばれるほどに光属性と神聖属性に精通してるフィルに劣るのは仕方ない。
「うんうん!」
劣るといっても、ちょっとだけだし!
フィルと本気で戦ったのは新人戦ときだけだけど……私の方がフィルよりも強いのは変わりない!! はず……
「フィル! いっておくけど、このパーティーのリーダーは私だからねっ!!」
「えっ? いきなりどうしたの?」
こ、この余裕!
フィル、恐ろしい子っ!
「むぅ~」
私もフィルに負けてられないわ!
フィルより私の方がすごいってことを、リアットさん達に見せつけないとっ!!
確かに滅光とかについては、私よりもフィルの方が上手だ。
それは認める。
けど……
「一気に片付けてやるわ!」
「えっ?」
そもそも! クラーケンがいるのは海上、周囲の被害を考慮する必要は一切ないっ!!
「ふふっ」
バチッ──
腕に纏った魔力が、雷となって青白く弾ける。
「まさか……」
フィルが頬を引きつらせた苦笑いを浮かべてそうな声で呟いてるけど……細かいことは気にしない!
オルガマギア魔法学園の同学年で、私に次ぐ実力を持つフィルならどうにかしてくれるだろうし。
「さぁ! 私の力を刮目せよっ!!」
1ヶ月くらい前にミラさん達と遊んでたときに披露して、そのまま不用意に危ないから使ったらダメだと、その場にいた全員にいわしめた魔法。
ドゴォォ……バリバリバリッ!!!
さっきまでさんさんと大地を照らしていた太陽が隠れて、厚く分厚い曇天に覆わた空から耳をつんざく轟音が……青白い光を放ちながら雷鳴が鳴り響く。
「やばっ!」
「降り注げ!」
部分的な魔闘法・雷によって、雷と化した右腕を頭上にかざし……振り下ろす!!
「天雷っ!!」
瞬間──
ッ────!!!
視界が真っ白に染まる!
凄まじい雷鳴とともに、大地を震わせる衝撃がが駆け抜ける!!
「うそ……」
「ばか、な……」
視界を塗り潰す光が収まり、目の前に広がるその光景に!
リアットさんとサイラスが唖然と目を見開いて、愕然と呟きをこぼす!!
「むふっ!」
一気に海水が蒸発したことによって露わになった、融解して赤く沸騰した海底!
そして……その中央で黒く焼け焦げて、プスプスと煙を上げるクラーケン!!
「ふっふっ~ん!!」
どうよ! これこそ、使っていた訓練場を破壊しちゃった魔法の威力!!
「まったく……ソフィー、僕が咄嗟に結界を張ってなかったらやばかったよ?」
むっ、怒られちゃった。
確かにこの天雷はその威力もさることながら、周囲への影響がすごい魔法だけど……
「でも、大丈夫だったでしょ?」
フィルがいるんだから問題ない!
それに、もしフィルが結界を展開するのが間に合わなかったとしても、ルミエ様がいるから大丈夫!!
「はぁ……」
まったく、フィルったらため息ばかりついてると幸せが逃げちゃうぞ!
「フィル、それよりも……」
「うん、わかってるよ」
「さすが、といったところかな?」
まさか……
「キシィィ……」
満身創痍とはいえ、私の天雷の直撃を受けて、耐え切るとは……
「ソフィー、油断したらダメだよ」
「もちろん!」
魔物は手負の、特に満身創痍のときが一番危ない。
しっかりととどめを刺すまで油断はしな……
「っ!!」
うそでしょ……
「クラーケンの頭が……綺麗に消し飛んだ」
いやそれより! この押し潰されそうな威圧感はまさか……
「ギュォォッ!!!」
激しい。
クラーケンとは比べ物にならないほどに、激しい怒りに満ちた声が鳴り響き……
「やっぱり出てきたね」
綺麗な青い鱗、透明度のある翼に長い首。
「──ッ!!!」
海水が一気に蒸発したことよって生まれた空間に、押し寄せる海水と共に姿を現した海竜が……既に頭が消し飛んだクラーケンの死体に襲い掛かった。
おぉ~、怒ってる怒ってる。
自分が引き起こした大津波をフィルに止められて、かなり頭にきてるみたいだ。
「お、お姉様……」
「大丈夫ですよ」
まぁでも、リアットさんが不安に思う気持ちもわかる。
さっきの大津波だって、フィルが打ち消さなかったら、アクムス王国の王都フェニルを呑み込んで壊滅させてただろうし。
それにクラーケンはこの距離からでも、さっきみたいに海水を用いて十分に私達を攻撃できる。
それに対して、私達にはクラーケンとの間にある500メートルの海が足枷となる……
「ふふっ」
まっ! 今の状況を常識的に考えたら、こんな感じになるかな?
もっとも……それはあくまでも常識的に考えたらの場合であって、私達には関係ないんだけども!!
「私達にとって、この程度の距離は距離に入りませんから」
「白き光に滅されよ……」
クラーケンへと向けて、フィルが軽くかざした右手に急速に膨大な魔力が収束する。
「滅光」
チュン──!!
一筋縄の白い光が一瞬で……射線状にある全てを消し去りながら、海を駆け抜け……
「キシャァァァァ──!!?」
8本あるクラーケンの足のうち、1本が消滅する。
「えっ?」
「……は?」
まぁ、リアットさんとサイラスが愕然としちゃうのも仕方ない。
だって数十メートルはある、大樹みたいなクラーケンの足が一瞬で文字通り綺麗に消え去ったわけだし。
「滅光。
特殊属性である光属性魔法の上位属性である、神聖属性魔法の中でも最上位に位置する魔法。
触れたもの全てを消し去る白き光!」
無論! この滅光は、私も使えるけど……悔しいけど滅光を含めて、光属性魔法と神聖属性魔法についてはフィルには劣る。
まぁ、そもそも神聖属性最高位なだけあって、超高難易度の魔法だし。
光天と呼ばれるほどに光属性と神聖属性に精通してるフィルに劣るのは仕方ない。
「うんうん!」
劣るといっても、ちょっとだけだし!
フィルと本気で戦ったのは新人戦ときだけだけど……私の方がフィルよりも強いのは変わりない!! はず……
「フィル! いっておくけど、このパーティーのリーダーは私だからねっ!!」
「えっ? いきなりどうしたの?」
こ、この余裕!
フィル、恐ろしい子っ!
「むぅ~」
私もフィルに負けてられないわ!
フィルより私の方がすごいってことを、リアットさん達に見せつけないとっ!!
確かに滅光とかについては、私よりもフィルの方が上手だ。
それは認める。
けど……
「一気に片付けてやるわ!」
「えっ?」
そもそも! クラーケンがいるのは海上、周囲の被害を考慮する必要は一切ないっ!!
「ふふっ」
バチッ──
腕に纏った魔力が、雷となって青白く弾ける。
「まさか……」
フィルが頬を引きつらせた苦笑いを浮かべてそうな声で呟いてるけど……細かいことは気にしない!
オルガマギア魔法学園の同学年で、私に次ぐ実力を持つフィルならどうにかしてくれるだろうし。
「さぁ! 私の力を刮目せよっ!!」
1ヶ月くらい前にミラさん達と遊んでたときに披露して、そのまま不用意に危ないから使ったらダメだと、その場にいた全員にいわしめた魔法。
ドゴォォ……バリバリバリッ!!!
さっきまでさんさんと大地を照らしていた太陽が隠れて、厚く分厚い曇天に覆わた空から耳をつんざく轟音が……青白い光を放ちながら雷鳴が鳴り響く。
「やばっ!」
「降り注げ!」
部分的な魔闘法・雷によって、雷と化した右腕を頭上にかざし……振り下ろす!!
「天雷っ!!」
瞬間──
ッ────!!!
視界が真っ白に染まる!
凄まじい雷鳴とともに、大地を震わせる衝撃がが駆け抜ける!!
「うそ……」
「ばか、な……」
視界を塗り潰す光が収まり、目の前に広がるその光景に!
リアットさんとサイラスが唖然と目を見開いて、愕然と呟きをこぼす!!
「むふっ!」
一気に海水が蒸発したことによって露わになった、融解して赤く沸騰した海底!
そして……その中央で黒く焼け焦げて、プスプスと煙を上げるクラーケン!!
「ふっふっ~ん!!」
どうよ! これこそ、使っていた訓練場を破壊しちゃった魔法の威力!!
「まったく……ソフィー、僕が咄嗟に結界を張ってなかったらやばかったよ?」
むっ、怒られちゃった。
確かにこの天雷はその威力もさることながら、周囲への影響がすごい魔法だけど……
「でも、大丈夫だったでしょ?」
フィルがいるんだから問題ない!
それに、もしフィルが結界を展開するのが間に合わなかったとしても、ルミエ様がいるから大丈夫!!
「はぁ……」
まったく、フィルったらため息ばかりついてると幸せが逃げちゃうぞ!
「フィル、それよりも……」
「うん、わかってるよ」
「さすが、といったところかな?」
まさか……
「キシィィ……」
満身創痍とはいえ、私の天雷の直撃を受けて、耐え切るとは……
「ソフィー、油断したらダメだよ」
「もちろん!」
魔物は手負の、特に満身創痍のときが一番危ない。
しっかりととどめを刺すまで油断はしな……
「っ!!」
うそでしょ……
「クラーケンの頭が……綺麗に消し飛んだ」
いやそれより! この押し潰されそうな威圧感はまさか……
「ギュォォッ!!!」
激しい。
クラーケンとは比べ物にならないほどに、激しい怒りに満ちた声が鳴り響き……
「やっぱり出てきたね」
綺麗な青い鱗、透明度のある翼に長い首。
「──ッ!!!」
海水が一気に蒸発したことよって生まれた空間に、押し寄せる海水と共に姿を現した海竜が……既に頭が消し飛んだクラーケンの死体に襲い掛かった。
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