226 / 460
第12章 アクムス王国編
226話 怒れる海の覇者
しおりを挟む
「さてと……」
ソファーに腰掛け、セバスさんがすかさず差し出したお茶を一口。
うん、さすがは大国たるアクムス王国が国王陛下!
優雅で優美な、洗練された所作。
品があるのに滲み出すような……この色っぽさ! 特にさてとっていいながらの流し目の威力はすごかった!!
同じ女性である私ですら、そう思うんだ。
男性のフィルとサイラスはきっと、今のアルバ様の仕草で頬を赤く染めて……
「では早速本題ですが、今回の依頼。
クラーケンの討伐にあたって、詳しい状況を教えてください」
あ、あれ? おかしい。
サイラスは……予想通り、アルバ様の色気に当てられて、頬を赤くしてるけど。
フィルはまったく動じてない!?
「っ~!! フィ、フィル、もしかして……」
い、いや! だからってなにも問題はないよ!?
そういうのは人それぞれなわけだし!
確かにイストワール王国の王侯貴族は、古臭い考え方の人が多い。
同性愛なんて絶対に認めない! って考えの人が多いだろうけど……私は違う!!
心配しなくても前世の記憶がある私は、そういうことにも理解がある!!
「お姉様?」
「リアットさん……大丈夫です。
あとでリアットさんにも、そういう世界があることを教えてあげますから」
そう! 前世の記憶にもある世界……腐の世界があるということをっ!!
「ソフィー……」
「っ!」
ま、まずい!
このフィルの声……笑顔だけど怒ってるときの感じだっ!!
「大丈夫だから!
たとえフィルがそうだったとしても、フィルは私の大切なお友達で仲間なのは変わらないよ!!」
「……」
あ、あれ? なにこの微妙な空気。
なんで黙り込んじゃうの!? フィルから呆れたような、ジト目を向けられてる気がするんですけどっ!!
「ふふふ、フィル殿。
話には聞いていたけど、貴方も大変ね」
「もう慣れましたよ……」
えっ、なんの話?
「ソフィー、一応、念のために言っておくけど……ソフィーが考えてる事は勘違いだからね?」
「うんうん、私はわかってるから」
「わかってないね……」
「いつまでも経っても覚悟を決めないからこうなるのよ。
そうなったら今まで以上に手強いわよ? まぁ自業自得だけれど」
「ルミエ様! もういいんですか?」
もっと猫ちゃんサイズのルミエ様を愛で……こほん、休んでもらっててよかったのに。
「ふふっ、今から依頼の話をするんでしょう?
だったら私もいないとね」
まぁ……確かに。
猫ちゃんサイズの竜種の姿のときは、私とフィル以外には見えないわけだしね。
ちょっと残念だけど、これは仕方ないか~。
「はぁ……それで、現状を教えてもらえますか?」
「本当なら今日はゆっくりしてもらおうと思っていたんだけれど、フィル殿がそう言うなら仕方ないわね。
セバス、地図を」
「かしこまりました」
おぉ~! さすがはセバスの名を持つセバスチャンさん!
アルバ様に言われて即座に、机の上に地図を広げるとは準備がいい!!
「クラーケンが出没するようになったのは一月程前、場所はこの王都フェニルの港から約500メートル程の海域よ。
幸いな事に、まだ大きな人的被害は出ていないわ」
「王都の港から500メートルですか……不自然ですね」
「お姉様、なにが不自然なのですか?」
ん? まぁイストワール王国は海に面してないし、貴族令嬢たるリアットさんが知らないのは当然か。
「クラーケンとは本来、深海で生息している魔物で、陸地から500メートルなんて近くの海域に現れる事はないんですよ」
クラーケンの生息域は陸地から、数十キロ以上離れた海域。
にも関わらず、陸地からたった500メートルの場所に出没するとなると……なにか理由があるはず。
「ふふっ、クラーケンがそこに出没する理由なら簡単よ」
「えっ?」
マジですか。
さすがはルミエ様だわ!
「それで、その理由とは?」
「そのクラーケンは逃げてきたのよ」
逃げて、きた?
大海の怪物と称されるクラーケンが?
「ここから見える海。
あの海の奥から感じる……激しい怒りの波動」
いわれてみれば、海の奥からなに……
「っ! こ、この感じはまさか!!」
「ふふっ、ソフィーも気づいたようね」
この感じは紛れもない……
「そう、なにをやらかしたのかは知らないけど、あのクラーケンは愚かにも海の覇者を怒らせたのよ」
「海の覇者というと……まさか」
さすがはアクムス王国の国王陛下。
アルバ様もその異名を知ってるみたいだ。
「えぇ、あのクラーケンは怒り狂う海竜から逃げてきたのよ」
海の奥から感じるこれは……怒れる竜種の気配っ!!
ソファーに腰掛け、セバスさんがすかさず差し出したお茶を一口。
うん、さすがは大国たるアクムス王国が国王陛下!
優雅で優美な、洗練された所作。
品があるのに滲み出すような……この色っぽさ! 特にさてとっていいながらの流し目の威力はすごかった!!
同じ女性である私ですら、そう思うんだ。
男性のフィルとサイラスはきっと、今のアルバ様の仕草で頬を赤く染めて……
「では早速本題ですが、今回の依頼。
クラーケンの討伐にあたって、詳しい状況を教えてください」
あ、あれ? おかしい。
サイラスは……予想通り、アルバ様の色気に当てられて、頬を赤くしてるけど。
フィルはまったく動じてない!?
「っ~!! フィ、フィル、もしかして……」
い、いや! だからってなにも問題はないよ!?
そういうのは人それぞれなわけだし!
確かにイストワール王国の王侯貴族は、古臭い考え方の人が多い。
同性愛なんて絶対に認めない! って考えの人が多いだろうけど……私は違う!!
心配しなくても前世の記憶がある私は、そういうことにも理解がある!!
「お姉様?」
「リアットさん……大丈夫です。
あとでリアットさんにも、そういう世界があることを教えてあげますから」
そう! 前世の記憶にもある世界……腐の世界があるということをっ!!
「ソフィー……」
「っ!」
ま、まずい!
このフィルの声……笑顔だけど怒ってるときの感じだっ!!
「大丈夫だから!
たとえフィルがそうだったとしても、フィルは私の大切なお友達で仲間なのは変わらないよ!!」
「……」
あ、あれ? なにこの微妙な空気。
なんで黙り込んじゃうの!? フィルから呆れたような、ジト目を向けられてる気がするんですけどっ!!
「ふふふ、フィル殿。
話には聞いていたけど、貴方も大変ね」
「もう慣れましたよ……」
えっ、なんの話?
「ソフィー、一応、念のために言っておくけど……ソフィーが考えてる事は勘違いだからね?」
「うんうん、私はわかってるから」
「わかってないね……」
「いつまでも経っても覚悟を決めないからこうなるのよ。
そうなったら今まで以上に手強いわよ? まぁ自業自得だけれど」
「ルミエ様! もういいんですか?」
もっと猫ちゃんサイズのルミエ様を愛で……こほん、休んでもらっててよかったのに。
「ふふっ、今から依頼の話をするんでしょう?
だったら私もいないとね」
まぁ……確かに。
猫ちゃんサイズの竜種の姿のときは、私とフィル以外には見えないわけだしね。
ちょっと残念だけど、これは仕方ないか~。
「はぁ……それで、現状を教えてもらえますか?」
「本当なら今日はゆっくりしてもらおうと思っていたんだけれど、フィル殿がそう言うなら仕方ないわね。
セバス、地図を」
「かしこまりました」
おぉ~! さすがはセバスの名を持つセバスチャンさん!
アルバ様に言われて即座に、机の上に地図を広げるとは準備がいい!!
「クラーケンが出没するようになったのは一月程前、場所はこの王都フェニルの港から約500メートル程の海域よ。
幸いな事に、まだ大きな人的被害は出ていないわ」
「王都の港から500メートルですか……不自然ですね」
「お姉様、なにが不自然なのですか?」
ん? まぁイストワール王国は海に面してないし、貴族令嬢たるリアットさんが知らないのは当然か。
「クラーケンとは本来、深海で生息している魔物で、陸地から500メートルなんて近くの海域に現れる事はないんですよ」
クラーケンの生息域は陸地から、数十キロ以上離れた海域。
にも関わらず、陸地からたった500メートルの場所に出没するとなると……なにか理由があるはず。
「ふふっ、クラーケンがそこに出没する理由なら簡単よ」
「えっ?」
マジですか。
さすがはルミエ様だわ!
「それで、その理由とは?」
「そのクラーケンは逃げてきたのよ」
逃げて、きた?
大海の怪物と称されるクラーケンが?
「ここから見える海。
あの海の奥から感じる……激しい怒りの波動」
いわれてみれば、海の奥からなに……
「っ! こ、この感じはまさか!!」
「ふふっ、ソフィーも気づいたようね」
この感じは紛れもない……
「そう、なにをやらかしたのかは知らないけど、あのクラーケンは愚かにも海の覇者を怒らせたのよ」
「海の覇者というと……まさか」
さすがはアクムス王国の国王陛下。
アルバ様もその異名を知ってるみたいだ。
「えぇ、あのクラーケンは怒り狂う海竜から逃げてきたのよ」
海の奥から感じるこれは……怒れる竜種の気配っ!!
0
お気に入りに追加
1,673
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢ですが最強ですよ??
鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。
で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw
ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。
だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw
主人公最強系の話です。
苦手な方はバックで!
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
異世界転生は、0歳からがいいよね
八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。
神様からのギフト(チート能力)で無双します。
初めてなので誤字があったらすいません。
自由気ままに投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる