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第12章 アクムス王国編

225話 完敗だ

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 美味しそうな大量の料理!
 光り輝くようなスイーツ!
 そして……

「そ、そんな!  バカな……っ!!」

 愕然と目を見開き、頭を抱えて嘆く人物が1人。

「またしても……またしても負けるなんてっ!!」

 この人物が四大国が一角に名を連ねるアクムス王国が現国王陛下だと、果たして誰が思うだろうか?
 今のアルバ様をみて、大国の国王陛下だと思う人は誰もいないと思う。

 まっ、アルバ様がこんなふうになっちゃう気持ちもわかるけど!
 そもそも!  アルバ様がこんな有様になっちゃってる、原因は私なわけだし。

「ふふ~ん!」

 あれから歓迎の宴……という名の宴会?  これって宴会なのかな?
 どちらかというとホームパーティーって感じがするけど……

 とにかく!!  アクムス王国の国王陛下であるアルバ様に案内されて、やってきたここ。
 アルバ様のお部屋にて、私達は今っ……!

「また私の勝ちですね!」

 熾烈な戦いを繰り広げているのであるっ!!

「くっ!  やるわね。
 これがSランク冒険者の力……!!」

 地面に四つん這いになって、負け犬の如く……いや!  恨めしそうな目で私を見上げるアルバ様を!

「ふっ、もはやアルバ様は私の敵ではありません」

 負け犬を見下ろしてドドンっ!!

「ふ、ふふふ……言ってくれるじゃない!
 認めましょう、確かに貴女は強い」

「む?」

「この国でも……いや、この大陸でもトップクラスの実力者と言っても過言ではないでしょう。
 しかし!  この程度でいい気になられては困るわ!!」

 この程度って……

「負け惜しみですか?
 四大国が一角に数えられる大国、アクムス王国の国王陛下ともあろう者が言い訳なんて……」

「ふふふ、果たして負け惜しみかどうか。
 貴女には特別に、私の本当の力を見せてあげるわ!」

 ほほう、本当の力ね。

「ふっ……いいでしょう!
 そこまでおっしゃるのなら、本当の力とやらを見せてもらうじゃありませんかっ!!」

「その調子に乗った鼻をへし折ってあげる」

「またボコボコにして差しあげましょう」

 むふふっ!  もうどんな手を使ったって、アルバ様には私は倒せないのだよ!!

「「勝負っ!!」」

 その事実を教えてあげるわっ!!

「……」

「あの……フィル様、これはいったい……」

「あぁ、うん。
 まぁリアットさんの言いたいこともわかるけど……2人ともノリノリみたいだし、しばらく放っておこう。
 気にしたら負けだよ」

「で、ですが……」

「ほらほら、リアットさんもお兄さんみたいに少し落ち着いて。
 僕達はここでゆっくりと、お茶でもいただくとしよう」

 むっ、フィルめ……なんだその呆れたような声は!
 こっちに集中してても、ちゃんと聞こえてるんだからなっ!!

「あら、よそ見をしてていいのかしら?」

「ふっ、問題ありません」

 なにせ!  私の実力はアルバ様の遥か上をいくのだから!!
 むしろ、このくらいのハンデがあった方が面白いというもの!

「ふふふ、そう……それはそうと、貴女のお兄さん達は元気かしら?
 ソフィア・ルスキューレさん」

「ほぇ!?」

 な、ななななにを!!

「と、突然なにをいって……」

「ふふっ、動揺が見て取れるわよ?
 ほらほら、しっかり防がないと」

「くっ……!」

「安心しなさい、彼等には聞こえてないから」

「な、なんのことでしょう……?」

「ふふっ、私も最初は驚いたわ。
 まさか魔王の一角を崩し、七大迷宮のスタンピードを抑え込んだ若き英雄。
 世間を騒がせる最年少Sランク冒険者の正体が、ルスキューレ公爵令嬢だったなんてね」

「っ!」

「しかも、加護持ちの愛子だなんて」

 な、なんでそれまでっ!?

「動きが鈍っているわよ?
 それに私の情報網を舐めてもらっては困るわ。
 商人にとって情報は宝!  当然、世間を騒がせる貴女の事も知っているに決まっているでしょう」

「っ~!!」

 うぅ~!  まずいっ、捌き切れないっ!
 このままじゃ……

「はい、私の勝ち!」

「そん、な……」

 ま、負けた……

「心理戦も作戦の1つ!
 どんな者でも、動揺すれば必ず隙が生じる。
 これが昔から経験を積んできたこの私の!  本気になった私のテレビゲームの実力よ!!」

 うっ……返す言葉もない!  完敗だ。

「さすがですね……」

「貴女もなかなかの実力だったわ」

「次は負けませんよ!」

「ふふふ、かかってらっしゃい。
 いつでも受けて立ってあげるわ!」

 これが商人の聖地と称される、大国アクムス王国の国王陛下……!!

「さて……盛り上がってるところ申し訳ないんだけど、そろそろ本題に入りませんか?」

 フィ、フィルめ、淡々と正論を……せっかくアルバ様と握手を交わして、感傷に浸ってたのに!
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