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第12章 アクムス王国編

224話 アクムス国王

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「えっ?」

 到着ってもう?
 あっ、本当だ!  知らないうちに、王城がもう目の前にっ!
 アクムス王国が王都フェニルの様子を見ようと思ってたのに……

 私達がいた王都フェニルの転移門から、王城までは結構な距離があったはず。
 話には聞いてたけどアクムス王国の魔導車、恐るべしスピードだわ!

 というか!  まだこっちはセバスチャンの衝撃から、立ち直ってないんですけど!?
 い、いや!  落ち着け!  落ち着くのだ私っ!

「ふぅ~」

 私は天下のSランク冒険者ソフィー!
 依頼者とはいえ、相手方に動揺を悟られるわけにはいかないっ!!

「ふふっ、お姉様でも緊張なされることがあるのですね」

「えっ!」

 これはただ精神状態を落ち着かせるための深呼吸であって、断じて緊張はしていない!

「いや……リアットさん、今のは緊張というよりも、くだらない……」

「フィル?」

 なにを口走ってくれちゃってるのかな?
 それにっ!  セバスチャン事件は、全然くだらないことなんかじゃないもん!!

「ま、まぁそんな事よりも……セバスさん、そろそろ行きましょうか」

「ほほっ、畏まりました。
 では皆様、お足元を気をつけてお降りください」

 おぉ~、すごい!  ドアが自動開いた!!

「お嬢様、お手を」

 さすがは四大国が一角に数えられる、アクムス王国の王城に仕える使用人達を統括する人物!
 佇まいと所作も洗練されてるし、なにより紳士だわ~。

「ありがとうございま……」

 えっと……なにこれ?

「ソフィー?」

「お姉様?」

 確かに私達は世界でも10数名しか存在しない、Sランク冒険者だし。
 セバスさんが迎えに来てくれたみたいに、VIP待遇を受けるのはわかる。

「もう!  お姉様ったら、いったいどうなさった……」

「あはは、なるほど。
 これは流石に……」

 わかるけども……

「Sランク冒険者、白銀の天使ソフィー。
 Sランク冒険者、光天のフィル。
 Sランク冒険者、白帝のルミエ様。
 そして私が招待したリアット・エドウィン殿と兄のサイラス・エドウィン殿」

 ずらっと、綺麗な庭園に整列した使用人達!
 そして……

「ようこそ!  我らがアクムス王国へ」

 豪奢なマントを羽織り、頭上には輝く王冠。
 最奥で朗らかな笑みを浮かべる人物……!

「私はアルバ・ジョン・アクムス。
 貴殿らに依頼を出し、我が国に招待した者であり……現アクムス王国の女王よ!」

 まさか……まさか!  四大国の国王陛下自ら、私達を出迎えるなんてっ!!

「さぁ!  こちらへ!
 貴殿らを歓迎する宴の準備をしているわ!!」

「へ、陛下!  もう少し国王としての威厳を……」

「まぁまぁ、細かい事はいいじゃない。
 本当なら、こんな重たいマントや王冠を着けるのも嫌なのに、こうしてちゃんと着けているんだし。
 それでいいでしょう?」

「陛下!!」

 ……うん、これは何というか。

「えっと……」

 大国アクムス王国の現国王陛下が、女性ってことは知ってたけど……

「ほほっ、驚かれたかもしれませんが、ああ見えて陛下はとても優秀なお方なのですよ」

 それは……そうだろうけど。
 アクムス王国という大国の国王陛下が、あんな性格の方だったなんて!
 なんかもっとこう……冷静沈着で威厳に満ち溢れた感じを予想してたから、さすがに想定外すぎて驚きだわ。

「さぁ!  宴を始めるわよ!!」
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