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第10章 英雄台頭編

177話 いざ行かんっ!!

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「ふんふんふ~ん」

 オルガマギア魔法学園の夏休み初日!
 昨日は王都にある公爵邸に帰ってきて、そしたらギルドマスターであるグレンさんが私を待っていたわけだけど……

 冒険者ギルドは、どこの国家にも属さない独立機関!
 にも関わらず、ギルドマスターであるグレンさんがルスキューレ公爵家を訪ねて、私を待っていた理由。

「むふっ」

 それは私にとある提案をするため。
 グレンさんが私に持ちかけてきた提案……それすなわち、Sランク冒険者への昇格っ!!

「まったく……ソフィーお嬢様、朝からずっと頬が緩みっぱなしですよ?」

「むっ、そんなことない」

 仮にも私は第一王子であるセドリックの婚約者。
 たった一年足らずで淑女教育を完璧に熟してみせた天才にして、将来的には淑女の鏡と称され、社交界を優雅に舞う悪役令嬢なのだ!

 その私がずっと頬が緩みっぱなしなんて、あるはずがない。
 確かに朝ご飯を食べてるときは、残念なお父様とお兄様は当然として、お母様まで生暖かい微笑ましそうな顔をしてたけども!
 私は今もキリっとした表情を……

「あぁ~!  喜びを抑えきれないお姉様も麗しいです!!」

「確かにご主人様は、朝からずっとだらしない……失礼、嬉しそうなお顔をなさっていますね。
 ご主人様が嬉しそうで、私も嬉しいです」

 うっ……ミネルバにルーまでっ!!
 い、いや!  キリッとした凛々しい表情をしているはずっ!!

「こほん、で、では!  私はそろそろギルドに行ってきます。
 ミネルバはお勉強をしっかりと頑張るように」

「はい!」

「ルーはいつも通りの任務を頼みます」

「かしこまりました」

 うんうん!  ルーに負担をかけちゃうのは申し訳ないけど……ルーの任務。
 私の不在時に公爵令嬢としての私の代わりを演じることは、めちゃくちゃ重要な任務。

「お気になさらないでください、私はそのために生み出された存在ですので。
 ただ……久しぶりにご褒美をいただきたいです」

「ふふっ、わかったわ。
 じゃあ今日帰ってきたら、たくさん撫でてあげる」

「ありがとうございます」

 任務をこなしてくれるルーに対するご褒美が、頭を撫でることなんかで本当にいいのかな?
 いやでも、ルー本人がこのご褒美を望んでるわけだし……う~ん、とりあえず今日はお土産を買ってこよう!

「ファナ、ルーとミネルバをお願いね」

「ふふっ、かしこまりました」

「じゃあ、行ってきます」

「「「行ってらっしゃいませ」」」

 綺麗に一礼する3人を尻目に……いつもの仮面を被って、転移魔法を展開っ!!

「っと」

 一瞬で到着!  冒険者ギルド~!!
 さすがにギルド内に転移するのはまずいかな~って思って、ギルドの入り口前に転移したんだけど……

『まぁ、こうなるのも当然ね』

「……」

 いきなり転移で現れたせいで、周囲でどよめきが巻き起こって、結構な騒ぎになっちゃてるけど……ま、まぁ!  細かいことは気にしないっ!!

 そんなことよりっ!  猫ちゃんサイズのルミエ様を腕に抱き!
 ギルドで待ってるグレンさんと副ギルドマスターであるミレーネさんの元へいざ行かんっ!!

「お待ちしておりました」

 ……うん、まぁなんとなくこんな気はしてたよ?
 初めてお兄様達とギルドに来たときもこうだったし。
 ただ意気込んでギルドに足を踏み入れた身としては、ちょっと恥ずかしいといいますか……

「ふふっ、お久しぶりです。
 ソフィーさん」

「「「「「「「「ッ!!!」」」」」」」」

 私を出迎えてくれた美女。
 副ギルドマスターであるミレーネさんの言葉に……ギルド内がどよめいた。
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