上 下
121 / 460
第7章 新人戦編

121話 勝者は……

しおりを挟む
「では、いきますよ!
 舞いなさい……」

「っ!」

 メイさんの背後に咲き誇っていた水の花が、ブワッて一斉に花びらになって散ったっ!!

「水花の花弁」

「おぉ~」

 無数の水の花が散って、更に膨大な数となった水の花びらが視界いっぱいに広がって襲いかかってくる!

「ふむ……」

 あれほどの数の水球を一度に生み出す魔力量。
 それら全てを完全にコントロールして水の花を咲かせて見せた魔力制御と魔力操作。
 どれをとっても申し分ない!

 しかも……よく見ると、あの花びらの1つ1つが流動して高速回転してる。
 この高速回転する水の花びらなら鉄さえも容易く切り裂くだろうし、学園の保護結界も簡単に破壊できる。
 つまり!  襲いかかってくる無数の花びら1つにでも触れてしまった瞬間、私の敗北が決定する……わけだけど。

「むふふっ!」

 思考能力、思考速度、演算能力を向上させるスキル・森羅万象の上位互換にして。
 それに加えて更に事象に対する理解力すら上昇させるエクストラスキル・叡智!!

 これをほぼ常時発動している私には、思考加速で思考速度を加速させれば無数の花びらもゆっくり止まっているように見える!!
 まぁ、だからこそ今まさに花びらが襲いかかって来てる真っ最中にも関わらずこんなにのんびりとメイさんの攻撃を観察できてるわけだけども……

「さて」

 どうしたものか。
 叡智に魔力感知を組み合わせて、この攻撃をかわすこと自体はそう難しくないけど……避けてるだけじゃあ試合には勝てないし……

「よし!」


 スッと優雅な所作で前方に……迫り来る水でできた無数の花びらに手を翳し……


「ふふっ!」


 パキッ──ッ!!!


「なっ!?」

 まるで津波のような襲いかかって来ていた無数の水の花びらが一瞬で凍りつく!!

「ふふ~ん!」

 水の花びらが凍りつき、出来上がった幻想的な氷像!!
 むふふっ!  どうだ見たか!!  世界よ、これが私の力の一端なのだ!!
 そしてっ!!


 パチンっ!


 私が指を打ち鳴らした瞬間!
 凍りついていた花びらが全て砕けて、氷の結晶となってキラキラと輝きながら消滅する!!

「……ふふっ、話には聞いていたけれど、まさかこれ程とは。
 残念ですが、私ではソフィーちゃんの相手にはならないようですね。
 降参します、私の負けです」

「えっ、もういいのですか?」

 メイさんの水魔法に関する造詣は素晴らしい。
 私としてはもっと手合わせをしたいんだけど……

「えぇ、今のを見てしまうと……ふふっ、先程の攻撃は今の私にできる全力だったのですよ?
 それに、これでは流石にこれ以上続けるのは厳しそうですから」

「へっ?  っ!?」

 メ、メイさんの足が凍りついてっ!?
 な、ななななんで!!  学園の保護結界があるからメイさんに影響は出ないはずじゃ……!

「大丈夫ですか!?」

 もしこれが原因で凍傷になったりしたら……ど、どうすれば!  私のせいでメイさんがっ!!

「はいはい、ソフィーちゃん落ち着いて」

「マ、マリア先生っ!!」

「大賢者様っ!?」

「ソフィーちゃんの氷結魔法の冷気が保護結界を凍り付かせちゃったようね。
 まぁ、このくらいなら凍傷になる事もないから大丈夫よ」


 ピシっ!!


「「っ!!」」

 マリア先生が軽く手を翳しただけで、次の瞬間にはメイさんの足を凍りつかせていた氷が砕けて消えた!

「だ、大賢者様……どうして貴女様が……」

「ふふっ、私はオルガマギア魔法学園の学園長なのよ?  生徒の安全を守るのは当然でしょう?」

「っ!!」

「おぉ~」

 さすがはマリア先生!  カッコいいっ!!


『え~、学園の保護結界が凍り付くという前代未聞のイレギュラーがあったようですが……メイ選手の棄権により!  第一試合の勝者は~、白銀の天使っ!  ソフィア選手っ!!』
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢ですが最強ですよ??

鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。 で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。 だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw 主人公最強系の話です。 苦手な方はバックで!

異世界転生 転生後は自由気ままに〜

猫ダイスキー
ファンタジー
ある日通勤途中に車を運転していた青野 仁志(あおの ひとし)は居眠り運転のトラックに後ろから追突されて死んでしまった。 しかし目を覚ますと自称神様やらに出会い、異世界に転生をすることになってしまう。 これは異世界転生をしたが特に特別なスキルを貰うでも無く、主人公が自由気ままに自分がしたいことをするだけの物語である。 小説家になろうで少し加筆修正などをしたものを載せています。 更新はアルファポリスより遅いです。 ご了承ください。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった 16歳の少年【カン】 しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ これで魔導まで極めているのだが 王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ 渋々それに付き合っていた… だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである ※タイトルは思い付かなかったので適当です ※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました 以降はあとがきに変更になります ※現在執筆に集中させて頂くべく 必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします ※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

処理中です...