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第7章 新人戦編

120話 手加減はなしでお願いね?

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 オルガマギア魔法学園の新人戦。
 昨日の予選もすごかったけど、今日の本戦……決勝トーナメントの注目度は昨日を更に上回る。
 まさしく世界中が注目する大舞台!!

 まぁ、この大会で活躍した者は魔法研究、国防、冒険者としてなどなど。
 立場は様々だけど、いずれも次世代を背負って立つ人物になることが多いわけだし!  世界中がこの新人戦に注目してるのは当然なわけだけど……

「むふっ!」


『決勝トーナメント第一試合を戦うのはこの2人っ!!
 美しく鮮やか!  見事な水の魔法を操り、予選1組を勝ち抜いたBクラスの才女!
 〝水華〟メイ選手の入場だぁっ!!』


 さぁ……世界よ!  刮目せよ!!


『そしてっ!  そんなメイ選手と相対するはこの人!
 予選を僅か5分ほどという今大会最速記録で圧倒して見せた幼き少女!  この新人戦の舞台に舞い降りた可憐な天使!!  
 〝白銀の天使〟ソフィア選手~!!』


 この私の実力をっ!!

「ふふん~!」

 最初はちょっと恥ずかしかったけど……知らない間に浸透してた白銀の天使って二つ名にももう慣れたし。
 会場の観客を盛り上げてくれる、この実況も慣れたら素晴らしく思えてくる。
 まぁ、誰が実況をしてるのかは気になるけど……

「ふむ」

 この会場全体を魔力感知とか千里眼を駆使して探しても、誰が実況をしているのかがわからない。
 この場合、考えられる可能性は2つ!

 1つは、そもそも実況してる人がこの会場にいない可能性。
 そして、もう1つは……今の私じゃあ看破できないほどに高位の魔法とか、スキルで存在が隠蔽されている可能性。

「ふ~む」

「ふふ、対戦相手を目の前にして考え事ですか?」

「っ!  ご、ごめんなさい!」

 わ、私としたことが!  まだ試合が始まってないとはいえ、まさか対戦相手を前にして別のことに気を取られてしまうなんて!!

「別にメイさんを侮ってるとか、そいうのじゃないんです!!

 戦場では慢心して、油断した者から死んで行く。
 油断大敵っ!  それは、油断してくれたからこそナルダバートに勝てた私が。
 圧倒的な格上だったナルダバートに勝った私自身が一番身に染みてわかってたはずなのに……

 しかも、メイさんはすさまじい倍率を誇るオルガマギア魔法学園に入学して、新人戦の予選を突破できるほどの実力者!
 当然、だからといって負けるつもりは一切ないけど……油断大敵は私の冒険者心得の第一条!
 それに!  これじゃあ対戦相手であるメイさんに失礼すぎるっ!!

「あ、あの!  その……つい、あの実況は誰がやってるのか気になってしまって……」

「ふふふ、冗談ですよ。
 私も実況を誰がやっているのかは気になっていました」

「っ!  やっぱり気になりますよね!!」

 メイさん……私の失態を冗談だって笑って許してくれるなんてっ!
 この柔らかで優しい雰囲気に、華やかな微笑み!
 まさしく水華!  メイさんのバックに水の花が咲いてるように見えるっ!!

 なんだろう。
 ミラさんはいつも強気で明るくて元気な、エレンお兄様の婚約者であるディアお姉様みたいなタイプなのに対して!  メイさんは厳しくもお淑やかでクールだけど優しいアルトお兄様の婚約者のフィアナお姉様と同じ感じがする!!

「今……なんとなくソフィアさんが白銀の天使と呼ばれる理由がわかりました。
 ミラはソフィーちゃんって呼んでるようだし、私もそう呼んでもいいでしょうか?」

 ミ、ミラっ!?

「も、もちろんです!」

 それよりミラって!  メイさんってミラさんとは仲がいいのかな?

「ふふ、ミラと私は従姉妹同士なのよ」

「従姉妹!」


『では!  いよいよ……オルガマギア魔法学園、新人戦!
 決勝トーナメント第一試合……開始っ!!』


「っと、お話はこのくらいにして……」

 メイさんの周囲に無数の水球が……本当に水の花が咲き誇るっ!

「そろそろ始めましょうか。
 ミラの話からもソフィーちゃんの方が私よりも強いのはわかっているけれど……手加減はなしでお願いね?」

「ふふっ!  もちろんです!!」
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