上 下
118 / 460
第7章 新人戦編

118話 決勝トーナメント

しおりを挟む
「あ、あの……」

「ふふっ、なぁ~に?」

「い、いえ」

 こ、これはいったい……どういう状況っ!?
 昨夜のこともあるし、迷惑をかけちゃったみんなにお礼と謝罪をしないとダメなのはわかってる。
 わかってるけど、昨夜のことがあるからこそ気まずい!!

 教室に設置された、クラスのみんなはもう既に待機してるだろう昨日と同じ控え室代わりの訓練場へ続く転移陣の前でうろうろすること数分。
 集合時間までもう時間もないし、葛藤を乗り越え!  意を決して訓練場に転移……したのに……

「あぁ、恥ずかしがってるソフィーちゃんも可愛い~!」

 なんでミラさんに抱きしめられてるのっ!
 なんで他のクラスメイトのみんなは微笑ましげな生暖かい目で私を見てくるのっ!?

「あはは……ミラさん、ソフィーも驚いてるしそのくらいで」

「フィルっ!」

 さすがはフィル!
 頑張れフィルっ!
 私をこのなんとも居た堪れない場所から救い出してっ!!

「あら、ごめんなさい。
 ソフィーちゃんが可愛いからつい」

 ……ミラさんが段々と残念なお兄様達に似てきたような気がする。

「ソフィー、昨日の事はどこまで覚えてる?」

「あの……実はみんなで乾杯したところまでしか覚えてなくて……」

「あぁ、なるほど」

「フィルとミラさんが私を寮の部屋まで送ってくれたんだよね?  その、ありがとう。
 他のみんなもありがとう!  そして、ご迷惑をかけてしまってごめんなさい」

 よし!  とりあえず、みんなにお礼と謝罪をするっていうノルマは達成した!!

「ふふふ、気にしなくても良いわよ。
 ねっ、みんな!」

「うんうん!」

「可愛かったから気にしなくても大丈夫だよ!」

「そうだぜ!」

「気にすんなよ!」

「確かに~!」

「へっ?」

 えっ?  えっ!?  
 な、なに?  なんでさらに微笑ましそうな空気が増してるのっ!?

「あ~、なんて言ったらいいかな……ソフィーが間違ってお酒を飲んじゃった後なんだけどね」

「フィル?」

「最初はすやすや眠ってたんだけど……ふと目を覚ましちゃって、みんながワイワイ楽しそうにしてるのを見て除け者にされてるって感じたのか、酔っ払ったままみんなに甘え始めてね」

「ほぇっ!?」

 あ、甘え……!!

「とくにミラさんと……いや、ミラさんにはベッタリと甘えてたからね。
 みんなに散々甘えて満足したのか、最後には満足げな表情でまた寝始めたけど、みんなの視線が生暖かいのはそのせいだよ」

「ッ~!!」

 間違ってお酒を飲んで寝ちゃったとは聞いてたけど……まさか、まさか!  そんな粗相をしでかしていたなんてっ!!

「うぅ……」

「あはは、まぁみんなの言う通り、甘えるソフィーも可愛かったよ。
 子猫みたいで」

「子猫……」

 それはつまり、猫ちゃんサイズになったときのルミエ様みたいな感じってことかな……?
 って!  そんなことよりっ!!

「あ、あの!  みんな、昨日の私の醜態は忘れてください!!」

「……」

「ふふっ今日も空振りのようね、フィル」

「揶揄わないでください……」

 むっ?  なんかフィルが苦笑いしながら肩を落としてるけど……どうしたんだろ?

「貴方達、はしゃぐのも良いけれど……そろそろ時間よ」

「っ!  マリア先生!
 おはようございます」

「えぇ、おはよう。
 ソフィーちゃん、具合はもう大丈夫?」

「はい!  おかげさまで、問題ありません!!」

「ふふっ、それは良かったわ。
 ソフィーちゃんの活躍を期待しているわよ?」

「任せてください!!」

 むふふっ!  今日、アルトお兄様と同じく私の名前を世界に轟かせてみせるっ!!

「さて、ソフィーちゃんだけじゃなくて昨日の予選を無事に勝ち抜いて決勝トーナメントに出場する皆の活躍を期待しているわ。
 そして、予選で敗れてしまった者もクラスメイト達の応援をしっかりね」

「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」

「じゃあ行くわよ。
 いよいよ決勝トーナメントが始まるわ」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた

八又ナガト
ファンタジー
名作恋愛アクションRPG『剣と魔法のシンフォニア』 俺はある日突然、ゲームに登場する悪役貴族、レスト・アルビオンとして転生してしまう。 レストはゲーム中盤で主人公たちに倒され、最期は哀れな死に様を遂げることが決まっている悪役だった。 「まさかよりにもよって、死亡フラグしかない悪役キャラに転生するとは……だが、このまま何もできず殺されるのは御免だ!」 レストの持つスキル【テイム】に特別な力が秘められていることを知っていた俺は、その力を使えば死亡フラグを退けられるのではないかと考えた。 それから俺は前世の知識を総動員し、独自の鍛錬法で【テイム】の力を引き出していく。 「こうして着実に力をつけていけば、ゲームで決められた最期は迎えずに済むはず……いや、もしかしたら最強の座だって狙えるんじゃないか?」 狙いは成功し、俺は驚くべき程の速度で力を身に着けていく。 その結果、やがて俺はラスボスをも超える世界最強の力を獲得し、周囲にはなぜかゲームのメインヒロイン達まで集まってきてしまうのだった―― 別サイトでも投稿しております。

悪役令嬢ですが最強ですよ??

鈴の音
ファンタジー
乙女ゲームでありながら戦闘ゲームでもあるこの世界の悪役令嬢である私、前世の記憶があります。 で??ヒロインを怖がるかって?ありえないw ここはゲームじゃないですからね!しかも、私ゲームと違って何故か魂がすごく特別らしく、全属性持ちの神と精霊の愛し子なのですよ。 だからなにかあっても死なないから怖くないのでしてよw 主人公最強系の話です。 苦手な方はバックで!

“絶対悪”の暗黒龍

alunam
ファンタジー
暗黒龍に転生した俺、今日も女勇者とキャッキャウフフ(?)した帰りにオークにからまれた幼女と出会う。  幼女と最強ドラゴンの異世界交流に趣味全開の要素をプラスして書いていきます。  似たような主人公の似たような短編書きました こちらもよろしくお願いします  オールカンストキャラシート作ったら、そのキャラが現実の俺になりました!~ダイスの女神と俺のデタラメTRPG~  http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/402051674/

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。

ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった 16歳の少年【カン】 しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ これで魔導まで極めているのだが 王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ 渋々それに付き合っていた… だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである ※タイトルは思い付かなかったので適当です ※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました 以降はあとがきに変更になります ※現在執筆に集中させて頂くべく 必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします ※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください

最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である

megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。

処理中です...