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第7章 新人戦編
117話 お酒は飲まないっ!!
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「ん……ぅ……ここは?」
……目の前に広がる、この1ヶ月で見慣れた天井。
まず間違いなくここはオルガマギア魔法学園の寮にある私の部屋だ。
「お嬢様?」
「ん? ファナ? おはよう」
「ふふっ、おはようございます」
なんでファナがベッド脇に椅子を持って来て座ってるのかはわからないけど、とりあえず水を……
「ッ!?」
な、なに!? なにこれっ!!
「うぅ~……!」
胃がムカムカして気持ち悪いし、ズキズキして頭が痛いっ!!
「大丈夫ですか? お嬢様……」
だ、大丈夫じゃない。
心配そうに背中をさすってくれてるのにお礼をいうことすらできそうにない!!
「どうぞ、お水です」
「ぅ~、あり、がと」
「ふふっ、お嬢様にお仕えする事が私の使命であり、願いでもありますので当然です!」
「ファナ……」
「お水を飲まれたら少し安静に。
既に回復魔法をかけているので、直に良くなるとは思いますが……念のためにお嬢様の主治医であるマリア様をお呼びいたしますね」
しゅ、主治医!?
マリア様先生って私の主治医だったのっ!?
「っ~!」
うぅ、頭が! 頭が割れるぅ~!!
そもそも、なんでこんなことにっ!!
「お嬢様……眠りの魔法をお掛けしますので、少しお休みになられてください。
すぐにマリア様をお呼びします」
「ファナ」
「お嬢様……?」
「ファ、ナ……側に、いて」
「ッ!!」
側にいてほしいなんて我儘で私のためにマリア先生を呼びに行こうとしてくれてるファナの邪魔をしちゃうのは申し訳ないけど……5年前から加護のおかげか、体調を崩すことなんて一度もなかった。
だから、今は不安で不安でたまらない。
こんなの子供っぽくて恥ずかしいけど……実際、私はまだ10歳の子供だし。
せめて、ファナが今かけてくれた魔法で私が眠るまでは近くにいてほしい。
「ふふっ、仕方ありませんね。
では、お嬢様がお眠りになられるまで私がここでお嬢様の手を握っていますね」
「あり、がと」
『あら、私だっているわよ?』
「ルミエ、様……もう、いままで、どこに」
さっき起きたときに枕元にルミエ様がいなかったから心配したんですよ?
『まぁ、ちょっとね。
けど私の用事も終わったし、私もファナも側にいるから安心して眠りなさい』
「うん……ファナ、ルミエ様、ありがと……」
『……もう眠ったようね。
まったく、ちょっと安心すればすぐ眠っちゃうんだから……この無防備さが心配になるわ』
「ふふっ、それだけ私達が信頼されていると言う事ですよ。
では、私はマリア様をお呼びして来ますね」
『えぇ、ソフィーの事は私が見てるわ』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「魔力経路、身体機能ともに異常なし。
意識もはっきりしてるようだし、頭痛等の症状も見られない……何も問題ないわね」
「えっと……ありがとうございました」
「よ、良かったです……」
おぉう、またしてもファナに結構な心配をかけちゃってたようだ。
「ファナの回復魔法のおかげよ」
「ファナもありがとう」
「いえ、お嬢様がお元気になられて良かったです!」
うん、今度ちゃんとファナを労わないと!!
「けど……どうして私はあんなことに?」
そもそも、なんで私は自分の部屋で寝てたんだろ?
「はっ! そういえば新人選は! 決勝トーナメントはっ!?」
「安心しなさい。
ソフィーちゃんがダウンしてからまだ6時間、今は早朝だから決勝トーナメントはまだ始まってもいないわ」
「ほっ……よかった」
原因不明の理由で寝込んでる間に新人戦が終わっちゃったなんて事態になったら目も当てられない所だった。
「でも、なんでこんなことに……?」
フィルとミラさん達と一緒にお祭りを楽しんで、それからクラスのみんなと一緒に打ち上げをしてたはず。
「う~ん、乾杯してからの記憶がまったく思い出せない……」
「ソフィーちゃんはジュースと間違ってお酒を飲んじゃったのよ」
「えっ?」
お、お酒?
『そうよ、それで酔っ払って寝ちゃったソフィーをフィルとミラがここまで連れて帰ってきたってわけ』
ちょ、ちょっと待って!
じゃあ、私はミラさん達のまえで寝顔をさらして……!?
「お嬢様、あのお2人にしっかりとお礼をしなければなりませんよ」
「う、うん」
そ、そうだ。
寝顔を見られちゃったのは恥ずかしいけど、今日会ったらお礼をいわないと!
「それと……今後は間違ってお酒を飲んでしまわれないように気をつけてください」
「うっ、はい……ごめんなさい」
まさか、間違えてお酒を飲んでしまっただけでこんな事態になるとは……もう絶対にお酒は飲まないっ!!
「ふふっ、とりあえず体調不良が残ってなくて良かったわ。
あと数時間で決勝トーナメントが始まるからしっかりね」
「はい!」
「まぁ、ソフィーちゃんなら大丈夫でしょうけど」
むふふっ! アルトお兄様も優勝した新人選、私も頑張らないとっ!!
……目の前に広がる、この1ヶ月で見慣れた天井。
まず間違いなくここはオルガマギア魔法学園の寮にある私の部屋だ。
「お嬢様?」
「ん? ファナ? おはよう」
「ふふっ、おはようございます」
なんでファナがベッド脇に椅子を持って来て座ってるのかはわからないけど、とりあえず水を……
「ッ!?」
な、なに!? なにこれっ!!
「うぅ~……!」
胃がムカムカして気持ち悪いし、ズキズキして頭が痛いっ!!
「大丈夫ですか? お嬢様……」
だ、大丈夫じゃない。
心配そうに背中をさすってくれてるのにお礼をいうことすらできそうにない!!
「どうぞ、お水です」
「ぅ~、あり、がと」
「ふふっ、お嬢様にお仕えする事が私の使命であり、願いでもありますので当然です!」
「ファナ……」
「お水を飲まれたら少し安静に。
既に回復魔法をかけているので、直に良くなるとは思いますが……念のためにお嬢様の主治医であるマリア様をお呼びいたしますね」
しゅ、主治医!?
マリア様先生って私の主治医だったのっ!?
「っ~!」
うぅ、頭が! 頭が割れるぅ~!!
そもそも、なんでこんなことにっ!!
「お嬢様……眠りの魔法をお掛けしますので、少しお休みになられてください。
すぐにマリア様をお呼びします」
「ファナ」
「お嬢様……?」
「ファ、ナ……側に、いて」
「ッ!!」
側にいてほしいなんて我儘で私のためにマリア先生を呼びに行こうとしてくれてるファナの邪魔をしちゃうのは申し訳ないけど……5年前から加護のおかげか、体調を崩すことなんて一度もなかった。
だから、今は不安で不安でたまらない。
こんなの子供っぽくて恥ずかしいけど……実際、私はまだ10歳の子供だし。
せめて、ファナが今かけてくれた魔法で私が眠るまでは近くにいてほしい。
「ふふっ、仕方ありませんね。
では、お嬢様がお眠りになられるまで私がここでお嬢様の手を握っていますね」
「あり、がと」
『あら、私だっているわよ?』
「ルミエ、様……もう、いままで、どこに」
さっき起きたときに枕元にルミエ様がいなかったから心配したんですよ?
『まぁ、ちょっとね。
けど私の用事も終わったし、私もファナも側にいるから安心して眠りなさい』
「うん……ファナ、ルミエ様、ありがと……」
『……もう眠ったようね。
まったく、ちょっと安心すればすぐ眠っちゃうんだから……この無防備さが心配になるわ』
「ふふっ、それだけ私達が信頼されていると言う事ですよ。
では、私はマリア様をお呼びして来ますね」
『えぇ、ソフィーの事は私が見てるわ』
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「魔力経路、身体機能ともに異常なし。
意識もはっきりしてるようだし、頭痛等の症状も見られない……何も問題ないわね」
「えっと……ありがとうございました」
「よ、良かったです……」
おぉう、またしてもファナに結構な心配をかけちゃってたようだ。
「ファナの回復魔法のおかげよ」
「ファナもありがとう」
「いえ、お嬢様がお元気になられて良かったです!」
うん、今度ちゃんとファナを労わないと!!
「けど……どうして私はあんなことに?」
そもそも、なんで私は自分の部屋で寝てたんだろ?
「はっ! そういえば新人選は! 決勝トーナメントはっ!?」
「安心しなさい。
ソフィーちゃんがダウンしてからまだ6時間、今は早朝だから決勝トーナメントはまだ始まってもいないわ」
「ほっ……よかった」
原因不明の理由で寝込んでる間に新人戦が終わっちゃったなんて事態になったら目も当てられない所だった。
「でも、なんでこんなことに……?」
フィルとミラさん達と一緒にお祭りを楽しんで、それからクラスのみんなと一緒に打ち上げをしてたはず。
「う~ん、乾杯してからの記憶がまったく思い出せない……」
「ソフィーちゃんはジュースと間違ってお酒を飲んじゃったのよ」
「えっ?」
お、お酒?
『そうよ、それで酔っ払って寝ちゃったソフィーをフィルとミラがここまで連れて帰ってきたってわけ』
ちょ、ちょっと待って!
じゃあ、私はミラさん達のまえで寝顔をさらして……!?
「お嬢様、あのお2人にしっかりとお礼をしなければなりませんよ」
「う、うん」
そ、そうだ。
寝顔を見られちゃったのは恥ずかしいけど、今日会ったらお礼をいわないと!
「それと……今後は間違ってお酒を飲んでしまわれないように気をつけてください」
「うっ、はい……ごめんなさい」
まさか、間違えてお酒を飲んでしまっただけでこんな事態になるとは……もう絶対にお酒は飲まないっ!!
「ふふっ、とりあえず体調不良が残ってなくて良かったわ。
あと数時間で決勝トーナメントが始まるからしっかりね」
「はい!」
「まぁ、ソフィーちゃんなら大丈夫でしょうけど」
むふふっ! アルトお兄様も優勝した新人選、私も頑張らないとっ!!
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