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第6章 魔法学園入学編

100話 来るべき日に

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「あ~ん!」

 むふっ、むふふふっ!
 私は今!  四大国の一角である魔導学園都市王国の首都たる第一都市の大通りを、屋台で買ったクレープを食べながら歩いているっ!!

 屋台で買い食いなんて。
 ましてや街を歩きながらなにかを食べるなんて初めての経験だから、なにかちょっと悪いことをしてるような感じがしてドキドキする!

「あっ!  お嬢様、お口にクリームがついていらっしゃいますよ」

「っ!?」

 こ、この私が!  たった1年足らずで公爵令嬢としての淑女教育を終わらせて神童と噂されるこの私が、ク、クリームをっ!?
 い、いやいやいや!  ない、さすがにそれはないわ!
 いくら初めての経験で興奮してたとしても、私がそんなことをするなんて……

「ふふっ、買い食い程度ではしゃぐソフィーも可愛いわ」

「ル、ルミエ様!?」

 私の口元についたクリームを指で拭ってペロッて!
 この人ならざるって感じの妖艶な色気!  周囲から息を呑む声が鳴り響いたし、さすがはルミエ様だわ……

「それはそうと、ソフィーちゃん。
 我が魔導学園都市王国はどうかしら?」

「それはもう!  すごいの一言です!!
 この第一都市の活気もですが、街中に当然のように溢れる数々の魔道具!
 それに防壁の代わりに展開されている、有名な巨大結界!!」

「ふふっ、昔はこの国にも他国のような防壁があったのだけど、今は魔導学園都市王国は国土全てを覆う国土結界に加えて、この第一から第十五までの都市それぞれを守る結界。
 二重の結界で防衛されているから、他の国のように防壁は必要ないのよ」

「ほぇ~」

 さすがは四大国に数えられる魔法大国!
 いったいどうやって、そんなに大規模な結界を多数展開してるんだろ?

「っと、そうこうしている間に着いたわよ」

「ここが、オルガマギア魔法学園……」

 なんか思ってたよりも普通……?

「っ!!」

 なにこれ、オルガマギア魔法学園の門を通った瞬間のあの感覚!  いや、それ以前に!!
 さっきまでは確かに広くて、綺麗だけどイストワール王国にある王立学園と大して変わらない感じの思ってたよりも普通の学園が広がってたのに……

「驚いたかしら?」

 この信じられないくらいに広大な学園はなにっ!?
 建物のサイズも、敷地の広さも、さっきまで見えてた光景の比じゃないっ!
 というかコレは学園なの?  普通にお店とかもあるし、もはやこの学園自体が1つの都市!!

「オルガマギア魔法学園の敷地は空間魔法で拡張されているの。
 改めて、ようこそ!  オルガマギア魔法学園へ、私達は貴女達を歓迎するわ」





 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「やっと全員揃ったか」

 壁も床も……何もかもが白く、厳かな空気に包まれた空間。
 どこか神官にも見える純白のローブを身に纏った9名の人物達が、美しき女神像の前に設置された円卓を囲う10個の席の内9つの席に腰掛ける。

「皆も既に知っていると思うが……我らが同胞、魔王の一柱ヒトリとして魔王共を監視していたナルダバートが特異点に敗れて死んだ」

 女神像の真下に位置する席に腰掛けるフードを深く被り、男とも女とも思えるような声の人物が静かに円卓を囲う他の面々に告げる。

「相手は特異点とはいえ、所詮はまだ10歳足らずの小娘でしょう?」

「ふん、だから私は末席とはいえ、奴を我ら十使徒の一席に加えるのは反対だったのだ」

「まったくです。
 あの者は10歳の少女に負けた恥晒しですね」

「まぁ、そう言ってやるな。
 今回は大賢者や現人神、冒険王もいたのだろう?」

「まぁ、相手が悪かったとしか言えませんね」

「あの邪魔で忌々しい魔王共の名を落としてくれただけでも良しとしよう」

「ふふっ、そうですね……貴女は同胞としてどう思いますか?」

「アレを私と一緒にしないで欲しいわね」

「皆の気持ちもわからなくもないが……ナルダバートは我ら十使徒の一席に名を連ねた仲間だ。
 それを悪し様に罵るのは例えキミたちでも許されない」

「「「「「「「「っ!」」」」」」」」

「彼は……ナルダバートは急ぎすぎた。
 我らの計画に〝愛子たる特異点〟であるソフィア・ルスキューレが必要なの事実だが、今はまだその時ではない。
 今はただ静かに我らが友の死を悼もう。
 ナルダバート、キミの意志は我々が引き継いで行こう……来るべき日に」

「「「「「「「「来るべき日に」」」」」」」」
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