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第5章 魔王襲来編
88話 王都防衛戦 その6
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「旦那様、騎士団の布陣、完了いたしました」
「あぁ、わかった」
真っ直ぐに前方を見据えるヴェルトに付き従う執事長バルトが恭しく頭を下げる。
「それで……閣下、アレが例の〝五死〟ですか?」
「そうだ。
八魔王が一柱、魔王ナルダバート配下の最高幹部〝五死〟の1人。
どうかな? リーメル君、ルスキューレ公爵家の私設騎士団団長として彼に勝てそう?」
「閣下もお人が悪い、わかってて聞いてるでしょう?
私ではアレに勝つ事はまず無理ですね」
ルスキューレ騎士団が騎士団長リーメルが苦笑いを浮かべて肩をすくめて見せる。
「まぁ、そうだよね。
さて、どうしたものか……」
王都北門にて、門を守るようにルスキューレ騎士団が布陣し。
それを率いるルスキューレ公爵家が現当主ヴェルト・ルスキューレ、執事長バルト、団長リーメルが並び立つ。
そんな彼らに対するは、王都の周囲に広がる広大な草原を埋め尽くす数万もの不死者の軍勢と、それを率いる巨漢。
魔王ナルダバート配下の最高幹部〝五死〟が1人、暴殺のドレイク。
双方が軍勢を率いて睨み合い。
大賢者マリアが展開した結界で分たれた場に……すぐに戦場と化すであろう場に重苦しい重圧が、緊張感が張り詰める。
「旦那様」
そんな場所に現れたのはメイド服に身を包んだ1人の少女。
「っ! バルト……」
「公爵邸で避難しているように指示を出したのですが……」
「はぁ、どうしてここに……ファナ」
「ふふっ、実はもしもの時のためにマリア様に頼んで転移魔法の魔道具を用意してもらっていたんです。
旦那様、私も戦います」
「ファナ、ヤツはたった1人で簡単に都市一つを壊滅させる事もできる本当に危険な存在です。
今はまだ睨み合ってるだけだけど、戦いが始まったら命懸けの戦場になるんですよ?」
「リーメル君の言う通りだよ。
そんな場所にソフィーの専属である君が参戦するなんて許可できない。
第一、キミに何かあればソフィーに顔向けできないからね……ここは危険だから公爵邸で避難していなさい」
「お言葉ですが、旦那様達に何かあればお嬢様に顔向けできないのは私も同じです。
それに、お嬢様が危険を顧みず戦っておられるのにお嬢様の専属メイドである私が安全圏でジッとしているなんてできません!!」
「しかし……」
「確かに私には高い戦闘能力はなく、魔王の一角であるナルダバートの配下の中でも最高幹部にあたる〝五死〟の1人を相手にするには力不足でしょう。
ですが、私は守りと回復に特化した後衛。
戦う皆様の支援をして微力ながら皆様の力になる事くらいはできるはずです!!」
「……はぁ、素直に避難する気はないようだね。
まったく、この一度決めたら曲げないところは誰に似たのやら……わかった。
けど、自身の身の安全を第一に考えること、いいね?」
「かしこまりました」
ヴェルトの言葉を受けて、ファナが真剣な面持ちで頭を下げ……
「クックック、話はついたようだな」
楽しげな笑い声が戦場に鳴り響く。
「ならば……」
スッと腕を持ち上げたドレイクが大賢者マリアが展開した結界に軽く触れた瞬間──
ピシピシピシピシッ!
一気に結界に亀裂が走って……
────バリィッン!!!
砕け散る。
「さぁ! 圧倒的な暴力の前に絶望するがいい!!」
「あぁ、わかった」
真っ直ぐに前方を見据えるヴェルトに付き従う執事長バルトが恭しく頭を下げる。
「それで……閣下、アレが例の〝五死〟ですか?」
「そうだ。
八魔王が一柱、魔王ナルダバート配下の最高幹部〝五死〟の1人。
どうかな? リーメル君、ルスキューレ公爵家の私設騎士団団長として彼に勝てそう?」
「閣下もお人が悪い、わかってて聞いてるでしょう?
私ではアレに勝つ事はまず無理ですね」
ルスキューレ騎士団が騎士団長リーメルが苦笑いを浮かべて肩をすくめて見せる。
「まぁ、そうだよね。
さて、どうしたものか……」
王都北門にて、門を守るようにルスキューレ騎士団が布陣し。
それを率いるルスキューレ公爵家が現当主ヴェルト・ルスキューレ、執事長バルト、団長リーメルが並び立つ。
そんな彼らに対するは、王都の周囲に広がる広大な草原を埋め尽くす数万もの不死者の軍勢と、それを率いる巨漢。
魔王ナルダバート配下の最高幹部〝五死〟が1人、暴殺のドレイク。
双方が軍勢を率いて睨み合い。
大賢者マリアが展開した結界で分たれた場に……すぐに戦場と化すであろう場に重苦しい重圧が、緊張感が張り詰める。
「旦那様」
そんな場所に現れたのはメイド服に身を包んだ1人の少女。
「っ! バルト……」
「公爵邸で避難しているように指示を出したのですが……」
「はぁ、どうしてここに……ファナ」
「ふふっ、実はもしもの時のためにマリア様に頼んで転移魔法の魔道具を用意してもらっていたんです。
旦那様、私も戦います」
「ファナ、ヤツはたった1人で簡単に都市一つを壊滅させる事もできる本当に危険な存在です。
今はまだ睨み合ってるだけだけど、戦いが始まったら命懸けの戦場になるんですよ?」
「リーメル君の言う通りだよ。
そんな場所にソフィーの専属である君が参戦するなんて許可できない。
第一、キミに何かあればソフィーに顔向けできないからね……ここは危険だから公爵邸で避難していなさい」
「お言葉ですが、旦那様達に何かあればお嬢様に顔向けできないのは私も同じです。
それに、お嬢様が危険を顧みず戦っておられるのにお嬢様の専属メイドである私が安全圏でジッとしているなんてできません!!」
「しかし……」
「確かに私には高い戦闘能力はなく、魔王の一角であるナルダバートの配下の中でも最高幹部にあたる〝五死〟の1人を相手にするには力不足でしょう。
ですが、私は守りと回復に特化した後衛。
戦う皆様の支援をして微力ながら皆様の力になる事くらいはできるはずです!!」
「……はぁ、素直に避難する気はないようだね。
まったく、この一度決めたら曲げないところは誰に似たのやら……わかった。
けど、自身の身の安全を第一に考えること、いいね?」
「かしこまりました」
ヴェルトの言葉を受けて、ファナが真剣な面持ちで頭を下げ……
「クックック、話はついたようだな」
楽しげな笑い声が戦場に鳴り響く。
「ならば……」
スッと腕を持ち上げたドレイクが大賢者マリアが展開した結界に軽く触れた瞬間──
ピシピシピシピシッ!
一気に結界に亀裂が走って……
────バリィッン!!!
砕け散る。
「さぁ! 圧倒的な暴力の前に絶望するがいい!!」
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