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第2章 ギルド登録編

35話 次で最後!

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「……」

「むっ」

 また、黙り込んじゃった……しかし、急遽受けることになった特別推薦試験。
 Aランク以上の高位冒険者か、王侯貴族の推薦状。
 もしくは冒険者登録事に自ら希望して、ギルドの定める水準を満たした者が受けることができるって話だけど。

 聞いた話によると、この試験が行われるのは非常に珍しいらしい。
 だからこうして珍しい試験を見学しようと大勢の冒険者達がギャラリーとして集まってるわけだし。

「ふむ」

 Eランク試験がゴブリン3匹。
 Dランク試験ではオーク。
 Cランク試験はオーガ。

 確かにそれぞれ装備してるし、野生のやつよりも強い。
 けど……たったこれだけで何回も依頼をこなして地道にランクを上げていく手間を省いてランクを上げられるって考えるとかなりお得で楽だと思うんだけどなぁ~。

 現に特別推薦試験を受けてないけど、最年少の賢者で確実にAランク冒険者以上……Sランク級の実力を持ってるアルトお兄様ですらAランク冒険者になったのは半年前。

 つまり、冒険者登録を行なってから約4年半もの時間がかかってるわけだし。
 もっとも、アルトお兄様の場合は次期公爵としてのお仕事とかもあって、私の修行に付き合うついでに冒険者として活動してただけだからって側面もあるけど。

 まぁ、自分の手で地道に一つずつランクを上げていく過程を楽しみたいって考えもわかるけど。
 それでも手短にランクを上げれるなら上げちゃいたいって人も多いはずなのに、何でみんなこの試験を受けないんだろ?

「う~ん」

 まぁ、高位冒険者か王侯貴族の推薦って条件のハードルが高いのはわかる。
 私の場合は高位冒険者にして貴族でもあるアルトお兄様とエレンお兄様の推薦があったし、そもそも私自身がルスキューレ公爵家の御令嬢っていう高位貴族だけど。

 普通はAランク以上の冒険者とか、王侯貴族との伝手なんてそうそうないだろうし。
 でも別に推薦がなくてもギルドの定めてる水準を満たせば誰でも受けれるのに。

 ギルドの定める水準がどんなのかは知らないけど……ここまでの試験内容を考えるに、そこまで厳しいとは考えにくい。
 ふ~む、謎だわ。

「は、ははは……け、結構やるじゃないか」

 あっ!  なぜか呆けてたけど、やっと復活したか。

「次、お願い」

 むふふっ!  冒険者らしいこの言葉遣いっ!!
 今の私はルスキューレ公爵令嬢じゃなくて冒険者の一人なのだ!!  まぁ、まだ冒険者登録はしてないんだけど……細かいことは気にしない!

「……良いだろう、これよりBランク試験を開始する。
 召喚魔法・魔物召喚っ!」

「ほほう」

 さっきまでは指を鳴らす動作だけで召喚してたのに、今回は口に出して……それに魔法陣のサイズはさっきの数倍!
 さてさて、何が出てくるのかな?

「ガァァァアッ!!」

 訓練場に凄まじい咆哮が鳴り響く。

「これは……」

「Bランク試験の相手はこのワイバーンだ。
 コイツは俺の使役する魔物の中でも最上位の存在で、主力使い魔メインサーヴァントだ。
 さっきまでとは訳が違うから心しろ……では、試験開始!!」

 ワイバーン。
 亜竜とも呼ばれていて、さっきのオーガとは違って空を飛ぶこともあってその危険度はBランクでも上位に位置する魔物……なんだけど……

「ふふっ」

「ギャウッ!?」

 地面を蹴り上げて上空から私を見下ろすワイバーンに切迫し……すれ違いざまに一閃!

「っと」

 軽やかに着地した私の背後でワイバーンがチリとなって消滅した。
 ふっふっふ~ん!  身体強化を使える私にかかれば、上空とはいえこの程度の距離はあってないようなものなのだ!!

「……そん、な、バカなっ!」

 なんか試験官が取り乱しちゃってるけど……まぁ主力使い魔メインサーヴァントとかいってたし、取り乱しちゃうのも当然か。
 まっ!  何はともあれ、これでBランク試験も無事に突破!!

 Sランクになるには2カ国以上かつ伯爵位よりも上の高位貴族からの推薦が必要で、この特別推薦試験でなれるのは最高でAランクだから次で最後だ!
 さぁ!  最終Aランク試験、張り切って行ってみよ~!!
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