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第2章 ギルド登録編

28話 冒険者ギルドへっ!

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「むふっ、むふふっ」

「ソフィー、ご機嫌だね」

「朝から頬が緩みっぱなしだぞ」

『ニマニマしてるのソフィーも可愛いわ~』

 そう!  お兄様達がいう通り私は今、非常に機嫌がいい!!
 昨日は勝手に私の部屋に入ってきて、私の専属メイドたるファナを侮辱したクソ王子を王宮に追い返してやることに成功したし!

 おかげで、あのストーカー王子にエスコートされることもなく。
 2時間におよぶ話し合いの結果、ジャンケンで見事勝利を収めたエレンお兄様にエスコートされて王都にあるルスキューレ公爵邸で行われた私の誕生日パーティーは恙無く終了したのだから!

 普通ならお兄様達は婚約者やお嫁さんをエスコートしなきゃダメなわけだけど。
 23歳のアルトお兄様も21歳のエレンお兄様もイストワール王国の貴族としては非常に稀なことにまだ結婚はしていない。

 無論、婚約者の方はいらっしゃるけど……残念なお兄様達の婚約者のお2人も……お兄様達と一緒になって私を溺愛するちょっと残念?  というか変わった方達だからなぁ。

 まぁ、お兄様やお父様よりはだいぶマシだけど。
 昨日もなぜかお兄様が私をエスコートすること反対するどころか賛成して。
 それどころかセドリックを追い返した私のことを褒めたえて、撫で回してたし。

 まぁ、そんなわけでエレンお兄様と婚約者であるオルガラミナ武術学園がある騎士王国の大公家の御令嬢。
 ディアお姉様との3人で一緒に会場入りすることなったわけだけど……アホな王子が乗り込んでくるとか、特に問題もなくパーティーは終了した。

 そして今!
 馬車でゴトゴトと、膝の上に乗せた猫ちゃんサイズのルミエ様を撫でながら冒険者ギルドに向かっているのだ!!
 これが機嫌がよくないわけがない。

「ふふっ」

 長年の……前世の記憶を思い出して、私が乙女ゲームの悪役令嬢であると知り。
 破滅の運命をぶち壊すために最強になることを決意したあの日からの目標だった冒険者登録!

 私が最強に至るための第一歩であり第一目標!
 ついに、ついに!  大賢者マリア先生や、現人神たる皇帝陛下達に続く新たな伝説が……私の最強伝説が幕を開ける刻がきたっ!!

「にゅふふっ!」

 腰に一本の剣を刺し。
 道行く人達に見惚れられ、羨望の眼差しを向けられながら!  周囲の視線なんて一切気にすることなく堂々と!  優雅に歩く最強の私……

「ふへへへ……」

『ソフィーって、黙っていれば凛としていて美しいのに……ちょっと残念なところがあるわね』

「まぁ、もともとソフィーは結構なお転婆ですからね。
 昔から冒険小説の主人公とかに憧れて、私達に隠れて騎士団の訓練に潜り込み、剣を振り回してるような子でした」

「それに加えて何回か話を聞かされましたが、どうやら前世の記憶にあるライトノベルという小説やアニメ、マンガと言った物がソフィーの琴線にそれはもう激しく触れたようで。
 かなりの影響を受けたようですよ」

『あぁ~、なるほど。
 まぁでも、そんなソフィーも可愛いんだけど』

「そうなんですよ!」

「流石はルミエ様!  わかっていらっしゃいますね!」

 うへへっ、いずれ最強に……

「はっ!」

 っと!  こんな妄想をしてる場合じゃなかった!

「ん?  お兄様、そんなにニヤニヤしてどうかしたんですか?」

 てか、なんでアルトお兄様もエレンお兄様もルミエ様も!  みんなして私をガン見してるの?
 も、もしかして、妄想してて変な顔でもしちゃってたのかな?

「いや、なんでもないよ」

「そうですか?」

 まぁ、なんでもないのなら別にいいけど……っと、お兄様達の態度が変だったから忘れちゃうところだったけど。
 今は最強になったカッコいい私!  を妄想してる場合じゃない。

「エレンお兄様、冒険者ギルドはもうすぐですか?」

「あぁ、もうすぐだぞ~」

「わかりました!」

 もうすぐ冒険者ギルドに到着する。
 となると、当然があるハズ!  気合を入れていかないとっ!!

「すぅ~はぁ……よしっ!」

「ソフィー?」

「どうかしたの?」

「ふっふっふ~、今向かっているのは冒険者ギルドなんですよ?」

「うん、そうだね」

「それがどうかしたの?」

「冒険者ギルドに行って、冒険者登録をするということはアレが起こるということなのです!!」

『ソフィーの言ってる事は何となくわかるわ……まぁ、そんな事は起こらないと思うけど』

 おっ!   後半、声が小さくて何をいってるのか聞こえなかったけど、さすがはルミエ様!!
 それに比べてお兄様達はまだまだですね!  ふふん!  仕方ないからお兄様達にも教えてあげよう!!

「テンプレイベント!
 三下冒険者に絡まれるイベントが発生するのですっ!!」

 そして、私は絡んできた三下冒険者を圧倒して期待の新人として注目される!!

『やっぱり……』

「「……」」

 むふふ!

「っと!  到着したようですね!」

 待ってなさい、三下冒険者!  優雅に、華麗に圧倒してやるわ!!

「お兄様!  お兄様!  早く行きましょう!!」

 さぁ、いざ行かん!  冒険者ギルド、イストワール王国王都支部っ!!
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