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第1章 幼少期編
05話 過保護なお兄様
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「熱もないし、意識もハッキリとしていて、魔力・身体共にどこにも異常は見られないわ。
もう大丈夫でしょう」
「先生、ありがとうございます」
「ふふっ、元気そうで何よりね」
あのあと、最強になった自分の姿を想像していたら結局いつの間にか寝てしまっていたようで。
ファナに起こされて目が覚めたのが30分ほど前。
それから一応ファナに着替えさせてもらって、お医者様と一緒に部屋に入って来たお父様とお兄様達にギュッと抱きしめられたたり。
いきなり私を抱きしめたお父様とお兄様達がお母様に怒られたりとしてたけども……
なにはともあれ! お医者様の太鼓判も出たことだし、これで名実ともに私復活っ!!
ふふふっ、いずれ最強になる私には寝込んでる暇なんてない!
早く強くなるための特訓を開始しなくては!!
「確かに熱は下がっているけど、まだ病み上がりだから最低でも今日1日は部屋で安静にするのよ?」
「えっ」
「いいわね?」
「わ、わかりました!」
むぅ、先生にはいつもの秘密の特訓でケガをした時とかにお父様達に内緒でこっそりと治してもらってる借りがある。
いずれ最強になる私に恐れるものなんて何もない! 何もないけど……秘密の特訓がバレてお母様に怒られるのは嫌だから逆らえないっ!!
「ふふふ、よろしい」
先生……恐るべし!
見た目は初老の優しげなお婆ちゃんなのに、公爵令嬢たるこの私の弱みを握って手玉に取るとは!!
「マリア先生、お忙しいところをありがとうございました」
「気にしなくてもいいわ。
ソフィーちゃんはアルトの妹で、私も知らない仲ではないし。
それに……これが私の仕事でもあるからね。
では私はこれで失礼させてもらうけれど、何かあればすぐに連絡をしてね」
次の瞬間、マリア先生の姿が一瞬で掻き消える。
「転移魔法……いつも思うのですが、あのお医者様は何者なのでしょうか?」
確かに……アルトお兄様いわく、転移魔法というのはとても難易度の高い魔法らしく、転移魔法を自由自在に使える人はごく一握りだけらしい。
何気に怪我をしちゃった時はいつもファナに頼んで呼んでもらって治してもらってるけど、もしかしたら凄い人なのかな?
別に私は全然気にしてないけど、公爵令嬢である私をちゃん付けで呼んでるのに誰も咎めないどころかアルトお兄様の事なんて呼び捨てにしてたし、というか……
「ファナも知らないの?」
「は、はい。
私はマリア様をお呼びするための連絡方法しか存じ上げておりません」
「へぇ~」
「ふふふ、実はマリア様を最初にお呼びしたのは僕なんだよ」
「アルトお兄様が?」
それにマリア様?
「いかにも! まぁ、医者ではないけど、僕の知る限りあのお方以上に回復魔法を使いこなせる人はいないからね」
「えっ、お医者様じゃないの?」
「安心して、マリア様は僕の母校であるオルガマギア魔法学園の理事長だから変な人ではないよ?
それで、昔ソフィーが怪我をしたって聞いた時に急いで来てもらったんだ!」
「「「「「……」」」」」
アルトお兄様の言葉に部屋の中が静まり返る。
ドヤ顔をして褒めて欲しそうに私を見てくるアルトお兄様だけど……ちょっと今、聞き捨てならないことがあった気がする。
気のせいかな?
「ア、アルト様、いま、もしかして理事長と仰いましたか?」
そう! オルガマギア魔法学園の理事長っ!?
やっぱり聞き間違いじゃなかったっ!
「えっ? そうだけど……あっ! ファナはソフィーの専属だからマリア様が不審者じゃないか心配してたんだね?
けど大丈夫、確かにあの姿も本当のお姿じゃないし、名前も偽名らしくて結構謎に包まれてるけど」
そう言う問題じゃないっ!!
アルトお兄様が3年前に卒業したオルガマギア魔法学園の理事長ってことは伝説の大賢者様っ!?
アルトお兄様がちょっとウザいくらいに過保護なのはわかってたつもりだったけど。
まさか私の怪我のために大賢者様を呼び出すほどだったとは……
「じゃ、じゃあマリア先生はお医者様じゃなくて大賢者様なの?」
「うん、マリア様は僕のお師匠様でもあるから問題ないよ。
それに、内緒だけどマリア様の本当の姿は妖艶な美女なんだよ」
問題ないの? というかマリア先生の本当の姿が美女って……?
う~ん、まぁアルトお兄様が問題ないっていうのならもう、気にしないことにしよう。
いくら考えても過去は変えられないわけだし。
「アルト、後でお父様の執務室に来なさい。
少し話があります」
「えっ、何故……」
「いいですね?」
「は、はい」
お母様の笑顔の前に屈したアルトお兄様はあとで慰めてあげるとして。
「お父様、お母様、お兄様……夕食後でいいのでお話があります」
もう大丈夫でしょう」
「先生、ありがとうございます」
「ふふっ、元気そうで何よりね」
あのあと、最強になった自分の姿を想像していたら結局いつの間にか寝てしまっていたようで。
ファナに起こされて目が覚めたのが30分ほど前。
それから一応ファナに着替えさせてもらって、お医者様と一緒に部屋に入って来たお父様とお兄様達にギュッと抱きしめられたたり。
いきなり私を抱きしめたお父様とお兄様達がお母様に怒られたりとしてたけども……
なにはともあれ! お医者様の太鼓判も出たことだし、これで名実ともに私復活っ!!
ふふふっ、いずれ最強になる私には寝込んでる暇なんてない!
早く強くなるための特訓を開始しなくては!!
「確かに熱は下がっているけど、まだ病み上がりだから最低でも今日1日は部屋で安静にするのよ?」
「えっ」
「いいわね?」
「わ、わかりました!」
むぅ、先生にはいつもの秘密の特訓でケガをした時とかにお父様達に内緒でこっそりと治してもらってる借りがある。
いずれ最強になる私に恐れるものなんて何もない! 何もないけど……秘密の特訓がバレてお母様に怒られるのは嫌だから逆らえないっ!!
「ふふふ、よろしい」
先生……恐るべし!
見た目は初老の優しげなお婆ちゃんなのに、公爵令嬢たるこの私の弱みを握って手玉に取るとは!!
「マリア先生、お忙しいところをありがとうございました」
「気にしなくてもいいわ。
ソフィーちゃんはアルトの妹で、私も知らない仲ではないし。
それに……これが私の仕事でもあるからね。
では私はこれで失礼させてもらうけれど、何かあればすぐに連絡をしてね」
次の瞬間、マリア先生の姿が一瞬で掻き消える。
「転移魔法……いつも思うのですが、あのお医者様は何者なのでしょうか?」
確かに……アルトお兄様いわく、転移魔法というのはとても難易度の高い魔法らしく、転移魔法を自由自在に使える人はごく一握りだけらしい。
何気に怪我をしちゃった時はいつもファナに頼んで呼んでもらって治してもらってるけど、もしかしたら凄い人なのかな?
別に私は全然気にしてないけど、公爵令嬢である私をちゃん付けで呼んでるのに誰も咎めないどころかアルトお兄様の事なんて呼び捨てにしてたし、というか……
「ファナも知らないの?」
「は、はい。
私はマリア様をお呼びするための連絡方法しか存じ上げておりません」
「へぇ~」
「ふふふ、実はマリア様を最初にお呼びしたのは僕なんだよ」
「アルトお兄様が?」
それにマリア様?
「いかにも! まぁ、医者ではないけど、僕の知る限りあのお方以上に回復魔法を使いこなせる人はいないからね」
「えっ、お医者様じゃないの?」
「安心して、マリア様は僕の母校であるオルガマギア魔法学園の理事長だから変な人ではないよ?
それで、昔ソフィーが怪我をしたって聞いた時に急いで来てもらったんだ!」
「「「「「……」」」」」
アルトお兄様の言葉に部屋の中が静まり返る。
ドヤ顔をして褒めて欲しそうに私を見てくるアルトお兄様だけど……ちょっと今、聞き捨てならないことがあった気がする。
気のせいかな?
「ア、アルト様、いま、もしかして理事長と仰いましたか?」
そう! オルガマギア魔法学園の理事長っ!?
やっぱり聞き間違いじゃなかったっ!
「えっ? そうだけど……あっ! ファナはソフィーの専属だからマリア様が不審者じゃないか心配してたんだね?
けど大丈夫、確かにあの姿も本当のお姿じゃないし、名前も偽名らしくて結構謎に包まれてるけど」
そう言う問題じゃないっ!!
アルトお兄様が3年前に卒業したオルガマギア魔法学園の理事長ってことは伝説の大賢者様っ!?
アルトお兄様がちょっとウザいくらいに過保護なのはわかってたつもりだったけど。
まさか私の怪我のために大賢者様を呼び出すほどだったとは……
「じゃ、じゃあマリア先生はお医者様じゃなくて大賢者様なの?」
「うん、マリア様は僕のお師匠様でもあるから問題ないよ。
それに、内緒だけどマリア様の本当の姿は妖艶な美女なんだよ」
問題ないの? というかマリア先生の本当の姿が美女って……?
う~ん、まぁアルトお兄様が問題ないっていうのならもう、気にしないことにしよう。
いくら考えても過去は変えられないわけだし。
「アルト、後でお父様の執務室に来なさい。
少し話があります」
「えっ、何故……」
「いいですね?」
「は、はい」
お母様の笑顔の前に屈したアルトお兄様はあとで慰めてあげるとして。
「お父様、お母様、お兄様……夕食後でいいのでお話があります」
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