4 / 11
第一章
初恋
しおりを挟む ――明弘に抱きしめられ、告白された。もちろん答えは決まっている。私は声が震えないように注意しながら、返事を返した。
「............はい」
明弘は私の返事を無言で聞いていた。なにも言わない代わりだろうか、抱きしめる強さが増した気がした。
私はふと考える。小さい頃からずっと明弘が好きだったけど、明弘はどうなんだろう......
気になった私は、たった今彼氏になった明弘に聞いてみることにした。
「明弘はさ、いつから私のこと好きだったの?」
抱きついたままそう聞いてみるが、反応がない。不思議に思った私は明弘の顔を見上げた。その顔は、何か他の事を考えているように、遠くを見つめていた。
「ねえ! 聞いてる?」
私は明弘の体を揺する。
「ああ、ごめん。ボーとしてた。なに?」
明弘はそう言うと私の頭を撫でてくれた。くすぐったいような、恥ずかしいようななんか変な気持ちだ。でも、悪くない。
「......んーん。なんでもない」
私はそう言うと、明弘の胸に顔を埋めた。とても幸せだった。今までは友達だったから、はでなスキンシップはできなかったけど、これからは違うんだ......。
私はこれから、明弘の隣で重ねていく時間を想像する。デートしたり、え、エッチなことしたりもするのかな......も、もしかしたら結婚とかも......
「どうした?」
私は無意識に明弘の顔を見つめていた。恥ずかしくなってしまい、私は視線を逸らす。
「なんか調子狂うな」
明弘は笑いかけてきた。
「そだね.....わ、私ちょっとトイレに行ってくるね」
そう誤魔化し、火照った顔を冷ますため部屋を出た。もう明弘のせいでドキドキしっぱなしだ。
私は洗面所へ向かうと、顔をばしゃばしゃと洗い、冷たい水で熱をさましながら考える。
こんな調子じゃ、うまく明弘と喋れないよ.....ダメダメ! しっかりしないと! 私彼女なんだし!
顔を洗い終わった後、気合いを入れ直すためにほっぺたをパシパシと叩く。
そして私は彼氏の待つ部屋に入っていった――。
俺はドアの影に隠れ、息を潜めながら、唯を気絶させるタイミングを待っていた。
唯が部屋に入ってきた瞬間、持ってきていた棒で殴り倒した。もちろん親友である透を気絶させた武器と同じものだ。声をあげる間も無く唯は倒れこみ、ピクリとも動かない。
気絶した唯を抱えあげ、部屋を出ていく。自前に調べていた通り、首の後ろを殴ったら一発で気絶してくれた。便利なものだ。
そのまま止めていた車に積み込むと、目隠しをし、タイラップで手足を縛った。急いで運転席に乗り込み、車を発進させる。
今回、俺は唯を『九人目』にする事を決めた。理由は特に無いが、透を殺しておいて、唯だけ殺さない訳にはいかないだろう。そして『十人目』は唯の妹を殺すことにした。やはり姉妹は一緒にいないといけない。俺なりの優しさだ。
そして集大成として、『五人目』の為に幼稚園を襲撃する。将来幼稚園の先生になりたかったらしいし、いっぱい子供たちを送ってあげよう。
俺はそこまで考え、首を振った。ダメだ。今は『九人目』の殺害に集中しないと。気合いを入れ直すため、軽く頬を叩いた。そして気絶している唯を見る。
うん。今夜は焼き肉だな。
「............はい」
明弘は私の返事を無言で聞いていた。なにも言わない代わりだろうか、抱きしめる強さが増した気がした。
私はふと考える。小さい頃からずっと明弘が好きだったけど、明弘はどうなんだろう......
気になった私は、たった今彼氏になった明弘に聞いてみることにした。
「明弘はさ、いつから私のこと好きだったの?」
抱きついたままそう聞いてみるが、反応がない。不思議に思った私は明弘の顔を見上げた。その顔は、何か他の事を考えているように、遠くを見つめていた。
「ねえ! 聞いてる?」
私は明弘の体を揺する。
「ああ、ごめん。ボーとしてた。なに?」
明弘はそう言うと私の頭を撫でてくれた。くすぐったいような、恥ずかしいようななんか変な気持ちだ。でも、悪くない。
「......んーん。なんでもない」
私はそう言うと、明弘の胸に顔を埋めた。とても幸せだった。今までは友達だったから、はでなスキンシップはできなかったけど、これからは違うんだ......。
私はこれから、明弘の隣で重ねていく時間を想像する。デートしたり、え、エッチなことしたりもするのかな......も、もしかしたら結婚とかも......
「どうした?」
私は無意識に明弘の顔を見つめていた。恥ずかしくなってしまい、私は視線を逸らす。
「なんか調子狂うな」
明弘は笑いかけてきた。
「そだね.....わ、私ちょっとトイレに行ってくるね」
そう誤魔化し、火照った顔を冷ますため部屋を出た。もう明弘のせいでドキドキしっぱなしだ。
私は洗面所へ向かうと、顔をばしゃばしゃと洗い、冷たい水で熱をさましながら考える。
こんな調子じゃ、うまく明弘と喋れないよ.....ダメダメ! しっかりしないと! 私彼女なんだし!
顔を洗い終わった後、気合いを入れ直すためにほっぺたをパシパシと叩く。
そして私は彼氏の待つ部屋に入っていった――。
俺はドアの影に隠れ、息を潜めながら、唯を気絶させるタイミングを待っていた。
唯が部屋に入ってきた瞬間、持ってきていた棒で殴り倒した。もちろん親友である透を気絶させた武器と同じものだ。声をあげる間も無く唯は倒れこみ、ピクリとも動かない。
気絶した唯を抱えあげ、部屋を出ていく。自前に調べていた通り、首の後ろを殴ったら一発で気絶してくれた。便利なものだ。
そのまま止めていた車に積み込むと、目隠しをし、タイラップで手足を縛った。急いで運転席に乗り込み、車を発進させる。
今回、俺は唯を『九人目』にする事を決めた。理由は特に無いが、透を殺しておいて、唯だけ殺さない訳にはいかないだろう。そして『十人目』は唯の妹を殺すことにした。やはり姉妹は一緒にいないといけない。俺なりの優しさだ。
そして集大成として、『五人目』の為に幼稚園を襲撃する。将来幼稚園の先生になりたかったらしいし、いっぱい子供たちを送ってあげよう。
俺はそこまで考え、首を振った。ダメだ。今は『九人目』の殺害に集中しないと。気合いを入れ直すため、軽く頬を叩いた。そして気絶している唯を見る。
うん。今夜は焼き肉だな。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる