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Secret 4
⑦
しおりを挟む一九六七年六月二十六日、カンヌ近郊で休暇を妹のカトリーヌと過ごしたフランソワーズは、ロンドンでの主演映画の撮影に臨むべく、自ら車のハンドルを握ってニース空港へと向かった。
そして、彼女が運転するその車は、高速道路で横転した。運悪く炎上し、車の中に取り残された彼女は焼死した。
その遺体は判別できないほど、ひどいものだったらしい。
その年、「ロシュフォールの恋人たち」が公開されて、これが女優フランソワーズ・ドルレアックの遺作となった。
享年二十五歳であった。
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚
いつの間にか、エンドロールが流れていた。
わたしの瞳からは、つうーっと涙がひとすじ、流れていた。
幸せな結末しか考えられない映画だから、不思議だった。
——だけど……やっと、泣くことができた……
そのあとは、今まで泣かなかったことの方が不思議なくらいに涙が止めどなく溢れ、どうすることもできないほどだった。
わたしは布団をすっぽり被って胎児のように蹲り、声を押し殺してひたすらすすり泣いた。
隣の七海の部屋に……聞こえないように……
七海には……
——決して、この気持ちを気づかれないように……
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