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第二部「さくら、さくら」
第五話
しおりを挟む「……どしたん」
わしの着流しの帯を締め終えた廣子が、わしの顔をまっすぐ見上げて云った。
わしは廣子の頬を両手ですっぽりと包んだ。
見合いのときも、結納のときも、廣子は俯いてばかりで、こんなふうにわしを見てはくれなかった。
迷ったが、廣子をここに呼んだのは正しかった。
今、この手の中に、わしが長い間求めてきた、あの目がある。
——わしの心を射抜いた、あの強い眼差しが……
わしは身を屈めて顔を近づけ、廣子のくちびるにそっと唇を重ねた。背伸びをした廣子が、わしの首に腕を回す。
わしは廣子のくちびるの隙間から舌を差し入れた。夕べ初めて味わった、なめらかな廣子の舌を探る。廣子の頬から手をずらし、首筋を撫でた。廣子がくすぐったそうに、身をよじる。
さらに手をずらし、ブラウスの上から胸をまさぐった。わしに塞がれたくちびるの端から、廣子の声が漏れる。
「・・・ぅん・・・ん・・・」
華奢で抱きしめれば折れそうな身体の廣子なのに、乳房だけが豊かに実っているのには驚いた。着物だと目立たないが、ブラウスだとその盛り上がりがよくわかった。
朝餉のとき、神谷が廣子の胸元をちらちら見ていた。それに気づいた奴の薫子が、すごい目で奴を睨みつけていた。
——部屋に戻った今、一悶着なければよいが……
「・・・ぁあ・・・んぅ・・・」
廣子の甘い声と共に、乳の先端が固く尖っててきたのを、ブラウスの生地を通して感じとった。わしはブラウスのボタンを一つ二つ……と外していき、胸元を広げた。
そして、ブラウスの中のシュミーズの、さらにその奥の……やわらかくて温かい乳房を、手のひらでしっかりと掴み、揉みしだいた。
「・・・ぁはっ・・・ん・・・」
突然、廣子の身体じゅうの力が抜けて腰が砕けた。わしは、その場に崩れ落ちそうになる廣子を支えながら、畳の上に横たわらせた。
シュミーズを少し乱暴に押し広げる。
昨夜は暗がりの中でよく見えなかった白い乳房が、白日の下にあらわになった。
今朝わしが起きたときには、廣子はもう蒲団から出て身支度を済ませていたから、はっきりと目にするのは初めてだ。
馬乗りになったわしは、なだらかな丘の頂点の、淡い桜色した先端に唇を寄せた……
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