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Chapter 5

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  寝室でベッドの隣に横たわる妻に、声をかける。

「……明日、やっと休みなんだ。せっかく大阪に来たんだから、どこか出かけないか?」
 豊かでやわらかな髪を弄びながら訊く。
「行ってみたいところはないのか?車もあるし、どこへでも連れてってやるぞ」
 
 大阪からのドライブは府内だけでなく、阪神高速の湾岸線で神戸、第二京阪で京都、その先京滋バイパスを使えば琵琶湖、さらに第二阪奈で奈良、阪和道で和歌山と選り取り見取りだ。

「……うーん……そうねぇ……」
 なんだか、気乗りしてなさそうだ。
「……紗香?」
 引き寄せて、顔を覗き込む。とろーんとして、子どもの気配が漂っていた。

 もしかして、眠いのか?と思ったら、次の瞬間、くーっと眠っていた。

「おいっ……まだ寝るなよっ」
 焦ったおれは、彼女をゆさゆさと揺さぶる。だが、いったん眠りについた紗香は起きない。
 ——夕飯のときには確か、期間限定の氷◯ ルビーグレープフルーツを一本しか呑んでなかったはず……

 彼女は割と酒好きで、酔うとご陽気になってますますかわいいのだが、そんなに強くないため眠たくなるタイプだ。だからといって、さすがに缶チューハイ一本くらいで潰れるわけはない。

  ——明日休みだし、おれだって酒もセーブしたし、今夜はおまえを、思うぞんぶん抱こうと思っていたのによっ。
 おれは、はぁーっと盛大にため息を吐いた。

   紗香、なんだか、今夜のおまえ……やけに疲れてないか?昼間、どこへ行ってたんだ?まさか、あの歳下のホスト(推定)と会ってたのか?

 ——会って、どこで、なにをしてたんだ?


 結局、目が冴えてあまり眠れないまま、朝を迎えた。人の気も知らず、妻は隣で爆睡している。あどけない顔をして、幸せそうに眠っている。
 思わず引き寄せて、ぎゅーっと抱きしめる。朝が超弱い彼女は、こんなことくらいでは起きない。

「……ぅん……」
 くちびるからわずかに漏れ出た声を、おれのくちびるで塞ぐ。

 ——あぁ、なんてかわいい。

 もう一度、ぎゅーっと抱きしめる。

 ——絶対に、よその男なんかに渡さない。

   紗香は未来永劫……おれのものだ。 

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