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Last chap. あたしの愛しい人

⑩ ♡

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   あたしは今まで、セックスしたひとから、胎内なかで出されたことがなかった。

——挿入はいったときから、やたらぴっとり・・・・と吸いつくような感じがしたのは「ナマ」だったからなんだわぁー。

   あたしは妙に納得した。

   そう言われてみれば……頭の先から爪先までカラダ中「翻弄」されて、いっぱいいっぱいだったけれども、諒くんが達したとき、胎内なかの奥があったかくなって、なにかが逆流するような感覚が……

——確かにあった。

   そうか……「あれ」がいわゆる「中出し」っていうものかぁ。


「な……ななみん……あのさ……」

   諒くんが、目を細めて微笑んでいた。

「な……『中出し処女』……って……」

   そして、その微笑みはどんどん大きくなり、やがて、くくくっ…と、肩を揺らして笑い始めた。

——うっわあぁーーーっ!この期に及んで、またやってしまったぁっ‼︎

   諒くんは、今や、息も絶え絶えになって、ヒィヒィ笑っている。

   あたしはくるりと反転して壁の方を向いた。諒くんからは背を向けた形になる。

「……ななみん?」

   不穏な空気を察したのか、諒くんがあたしの顔を覗き込んできた。

   あたしは、ぷいっ、と目を逸らす。

「ななみん、笑って悪かった。怒らないでくれ」

   諒くんが背後からすっぽりと、あたしを包むように抱きしめる。

「あまりにも……かわいかったからさ」

   「行為」が終わって、まだなにも身につけていないままのカラダを、ぴったりと重ね合わせてくる。

「それに……うれしかったんだ。七海の——『処女』をもらえて……」

——もおっ、諒くんてば、やっぱり……ずるいぃっ!

「肌身離さず着けてくれていて……うれしいよ」

   背後からあたしの耳元に口を寄せて、そうささやいた諒くんが、今、あたしの裸体が唯一身に着けているネックレスへと、指を這わせる。
   誕生日のプレゼントとして、一緒に選んだアメシストのネックレスだ。

   誓子さんがあたしのアメシストを見て、
『情熱の赤と冷静の青が混ざった『紫』が、
『真実の愛』を見抜く力をもたらすらしい』
と言っていたが、そのとおりになった。

   目黒先輩のときも、赤木さんのときも、見抜かれた「真実の愛」によって、ちゃあんとあたしを諒くんに引き戻してくれた。


   そして、そのまま、その指がつつ…っと下に降りてきて、やわらかな胸のふくらみに触れる。

「んぅ……っ」

   筋張った大きな手のひらで、もふもふっと揉まれ、先端を親指でむぎゅっ、と潰される。

「やっ……諒…くん……っ」

   みるみるうちに、そこが尖っていき、あたしは堪らず、せつなげな甘さを伴った息を吐き出した。

「……ほんとに……イヤなのか?」

   耳元で、息を吹きかけるように問いかけられる。その息が、熱い。
   あたしのお尻にぴたりと押しつけられた諒くん自身が、また猛々しくなっている。

   だから、たとえ「イヤだ」と答えたとしても……

——きっと、離してくれるはずがない。

   さらに、指が降りてきて、あっという間に下腹部を通り過ぎる。そして、先刻さっき諒くんの熱を貪り尽くしたその場所へと到達する。

   そこはまだ飽き足らないのか、すぐにぱくりとその指を呑み込んだ。

   先刻のラウンドで、すっかりあたしの感じるポイントを掴んでしまった、こういう面でも「学習能力」の高い諒くんは、あたしの胎内なかを容赦なく搔き回し始めた。

   互いの荒くなっていく息と、ぴちゃぴちゃという恥ずかしい音だけが部屋中に響く。

   とたんに、あたしの胎内なかからあふれ出したものが、内腿を伝っていくのがわかった。
   こうなると、ガマンしてもガマンしても、あたしの口からこぼれるのは、あられもない喘ぎ声だ。

「まだ、顔を見せてくれないんだったら、このまま……後ろから挿れようか?」

   あたしはあわてて振り向いた。

「……七海、愛してる」

   振り向きざま、その言葉とともに諒くんからものすごいキスが降ってきた。

   先刻さっきのラウンドで、すでにこれでもか、というほど味わわされている、海鮮丼を食べてからと言っていた「フライング」のキスだ。

「……んっ……ぅん……っ……」

   あたしの口の中で、ねっとりと互いの舌を絡ませ、まるで互いの息まで自分のものにして全部吸いつくしてやりたいと思うような……そんな激しいくちづけが始まる。

   途中で、ほんの一刹那、互いのくちびるが離れた。

「また……諒くんが……ほしいの……」

   声にもならないかすれた声で、あたしは彼に「おねだり」をする。

   すると、次の瞬間、待ちに待ったものが諒くんから与えられる。
   そして、あたしはまた貪るように諒くん自身を、自らの胎内なかに受け容れた。

   もちろん——今回も「ナマ」だ。


    もう、どうなってもよかった。一度味わった「その感触」を忘れられないのは——男だけではないのだ。

「ぁん…はぁっ…はっ…はっ…あたしもっ」

   とたんに始まった子宮にまで響く突き上げの中で、息も絶え絶えになりながらも……

——あたしだって、言いたい。


「……諒くん……愛してる」

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