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Last Chapter
⑩
しおりを挟む「Thank you so much for inviting me to be a part of your celebration.」
〈あなたの儀式の一部として招待していただいてとてもうれしいわ〉
麻琴もまた、まるで案内状の返信でもするかのように答えて、にっこりと微笑んだ。
先刻はガラにもなく、バスローブの紐を両手で抑えてしまったけれど、恭介とそういう仲になることに関してはまったく抵抗はない。
恭介があからさまにほっとした顔になる。
——あたりまえじゃない。結婚するんだもの。
それに、わたしたち、処女でも童貞でもないもうアラフォーよ?
そう思うと、なんだかおかしくなってくる。今までにカラダの関係がなかったことが不思議なくらいだ。
きっと、麻琴も恭介も、十年ほど前には今よりずっと気軽に、異性に対してカラダを開いていたはずなのに。
「Is there anything I can bring?」
〈なにか用意するものある?〉
麻琴はおどけて訊いてみる。「招待」を受けたときの決まり文句だ。
すると、恭介に正面から、ぎゅーっと力いっぱい抱きしめられた。
「...Only your love for me.」
〈きみの愛だけでいいよ〉
この恋が、この愛が——「真実の愛」なのかどうかは、だれにもわからない。
もしかしたら、上司の守永と友人の瑞季、そしてJubileeの鮫島社長と先妻たちのように「別れ」が待っているかもしれない。
彼らだって、初めは「真実の愛」だと信じていたかもしれない。
だけど、この瞬間の麻琴には、このことだけで心が満たされていた。
——やっと、わたし、「自分が本当に愛する人」から「こんなにも愛してもらえる人」になれたんだわ。
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