真実(まこと)の愛

佐倉 蘭

文字の大きさ
上 下
57 / 76
Chapter 7

しおりを挟む
「……太陽十架ラナ・クルセ?」
 いつものように中庭パティオに出て長い鎖につながれた時、中庭パティオ片隅かたすみに、弟は、今までは無かった小さな太陽十架ラナ・クルセを見つけた。

 弟は、その小さな太陽十字ラナ・クルセに、鎖が届くギリギリまで寄って行き、しゃがんで見た。
 藍黒らんこく石に金や銀で象嵌ぞうがんされて造られていた、手のひら程の太陽十架ラナ・クルセは、美しかった。

「すごく綺麗……ーーだけれど」

 これは……でなければ、奥つ城おくつき……。

「リシェ」
「兄さま……」
 兄に腕を取られ立ち上がると、弟は自分から兄の頬に口づけた。それから唇に触れると、直ぐに兄に頭を引き寄せられ、濃厚な口づけを与えられた。
 深く唇を合わせ、何度も舌を絡ませる。それだけで良く調教されている弟の身体は、簡単に火が着いた。

それラナ・クルセが、気になるか?」
「んっ……は……ぁ……」
 背後にまわられた兄に耳をまれ、胸のとがりを……口づけだけで、既にっている乳首を弾かれ、弟はあっという間に陥落かんらくする。

「その太陽十架ラナ・クルセは、兄の罪の刻印しるし
「あ…………や……ぁ、リシェ、の……」
「違う」

 ーーこれは純然たる、兄自身の罪。

 兄は、言いながら弟をさいなんでいき、弟は立っているのも覚束おぼつかなくなっていく。

「兄さま……ーーおね…が……、抱……て……くだ……い」

 内腿うちももれたしずくで、兄が、弟の肛門アヌスふちをくるくるたわむれででる頃には、ツーーと、弟の頬を快感による生理的な涙が伝っていた。

「ーーここで? こんな明るい空の下で」
 揶揄やゆする兄の言葉に、素直に弟は頷いた。

「はい、兄……さま、ここで。ーーリシェ足……、開…く、から……抱いて……?」
 兄は、弟の足をすくって横抱き、中庭パティオに据え置いてある大きなソファファラへと歩み、弟を降ろした。

「何をそんな泣き出しそうな表情かおをしているんだ」
「だ…って……! リシェ……初めて、“嫉妬”っていう言葉が……意味、を……」

 ーー知った。

「何故……? そうだ、リシェが自分が言ったのだから……自分で足を抱えて大きく開いて見せなさい」
「んっ……、に…さま……」
 頬に朱をいても、弟は、震える手で足を開く。

「さぁ、どんな恥ずかしいことを言わせようか……? それとも、自分で言うのか? リシェ」
「い…いつも……いつもたくさん、言っているのに……言…わなきゃ、駄目、なの……?」

 くすくす笑って兄は、弟をうながす。
「駄目だよ、リシェ。何回でも言わせると言ったろう? ーーそれに、……? ここで……明るいところで、恥ずかしいことが」

 弟は、コク、と頷いた。
 何回も口にした、恥ずかしいねがいを今日も口にて、兄にねだる。

「あ……、リシェリシェ……ど…うか、この恥ずかしい恰好で、肛門アヌス……兄さま、リシェ肛門アヌスめて、くださ……い。に、さまの舌、とがらせて、リシェ肛門アヌス、くにくにって……いっぱい、えぐって、中まで、 濡らして……!! リシェ……お尻……お尻を振りたい……! ぃあ……っ」

「兄さまが良い、と言う前にもうリシェの尻はれている」

 くちゅり……


「あ……にい、さま……どうか、ゆる……許して……」

 くちゅ……くちゅ、ちゅぷ……っ……

「ひぁっ……あ……い……」

「もうひとつ。じめて欲しいところが
 、……ある、だろう?」
 兄は、焦らすように肛門アヌスをくすぐって、弟に嬌声きょうせいを上げさせた。

「乳首っ……乳首を、一緒にいじめてくださいーーっ! はぅ……っ!!」



 §



「あ……あぁ……っ、…………」

 弟は兄の膝に座らされ、背を兄の胸に預けながら突き上げられていた。

 キツく乳首をまむ、背後から回された兄の指に、弟も手を重ね、身もだえながら、腰を使った。

「何故……“嫉妬”を知った、と……?」
 恍惚こうこつと、しながらさぶられている弟に、兄はささやいた。

「あ……ぅんっ……気持ち……ぃっ……! ーー……って、……ぃさま、あのコに……情を……かけた……でしょ……う? ひぅっ!」

「ーーあの子?」

「あの、十架クルセの、コーーんっ!」

「…………」

「綺麗、だもの。ーーあの、十架クルセ……は……ぁっ……」

「兄さまの情は、お前だけのものだよ。ーーあれは、ただ一人だけの理解者。ーーそれでも、首を切った」

「そう…………あ、あ……もっ……と! もっと、男根ペニス突いてっ!! あ……ーーイく、イかせてにい、さま……あ……っ、ーーリシェドライメスイキしちゃう……っ!!」


「良いよ、リシェ」



 §



「ーーん………ぁ…………」
 弟が、眼を開けると身体はゆったりと、揺れていて、肛門アヌスには兄の男根ペニスで貫かれたままだった。

「にいさま……」

「……リシェお前も兄さまに切られたかったか……?」

 ぐりっと、男根ペニスが奥へ当たり、弟は、気持ちい……と、涙をこぼしながら、ふふっと花がほころぶように笑う。

「は……ぁ…………ぃ……」

「リシェ……」

「兄さま……リシェは、兄さまの重荷になるくらいなら、はかなくなってしまいたかった」

 ーーでも、と、弟は続ける

「でもね、リシェ……、兄さまが思うほど良い子じゃない……」

 ーー罪深いのは、リシェ

「リシェ……」

「兄さまが、リシェを赦してくれるなら……。生きて、こうして……兄さまに可愛がってもらえる方が良い……。兄さま……助けてくれて、ありがとう。リシェは、兄さまと生きたい……だから、兄さまの性奴隷でしかない身だけれど……どうか、罪は半分、リシェにも負わせてください」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

カラダから、はじまる。

佐倉 蘭
現代文学
世の中には、どんなに願っても、どんなに努力しても、絶対に実らない恋がある…… そんなこと、能天気にしあわせに浸っている、あの二人には、一生、わからないだろう…… わたしがこの世で唯一愛した男は——妹の夫になる。 ※「あなたの運命の人に逢わせてあげます」「常務の愛娘の『田中さん』を探せ!」「もう一度、愛してくれないか」「政略結婚はせつない恋の予感⁉︎」「お見合いだけど、恋することからはじめよう」のネタバレを含みます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

きみは運命の人

佐倉 蘭
恋愛
青山 智史は上司で従兄でもある魚住 和哉から奇妙なサイト【あなたの運命の人に逢わせてあげます】を紹介される。 和哉はこのサイトのお陰で、再会できた初恋の相手と結婚に漕ぎ着けたと言う。 あまりにも怪しすぎて、にわかには信じられない。 「和哉さん、幸せすぎて頭沸いてます?」 そう言う智史に、和哉が言った。 「うっせえよ。……智史、おまえもやってみな?」 ※「偽装結婚はおさない恋の復活⁉︎」のExtra Story【番外編】です。また、「あなたの運命の人に逢わせてあげます」「お見合いだけど、恋することからはじめよう」のネタバレも含みます。 ※「きみは運命の人」の後は特別編「しあわせな朝【Bonus Track】」へと続きます。

お茶をしましょう、若菜さん。〜強面自衛官、スイーツと君の笑顔を守ります〜

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
陸上自衛隊衛生科所属の安達四季陸曹長は、見た目がどうもヤのつく人ににていて怖い。 「だって顔に大きな傷があるんだもん!」 体力徽章もレンジャー徽章も持った看護官は、鬼神のように荒野を走る。 実は怖いのは顔だけで、本当はとても優しくて怒鳴ったりイライラしたりしない自衛官。 寺の住職になった方が良いのでは?そう思うくらいに懐が大きく、上官からも部下からも慕われ頼りにされている。 スイーツ大好き、奥さん大好きな安達陸曹長の若かりし日々を振り返るお話です。 ※フィクションです。 ※カクヨム、小説家になろうにも公開しています。

芙蓉の宴

蒲公英
現代文学
たくさんの事情を抱えて、人は生きていく。芙蓉の花が咲くのは一度ではなく、猛暑の夏も冷夏も、花の様子は違ってもやはり花開くのだ。 正しいとは言えない状況で出逢った男と女の、足掻きながら寄り添おうとするお話。 表紙絵はどらりぬ様からいただきました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

わたしの愛した知らないあなた  〜You don’t know me,but I know you〜

藤野ひま
恋愛
あなたが好きだった。 とてもとても好きだった。 でもそれを受け止めてくれる人は、もういない、のだろうか。 全部なくなってしまったの? そしてあなたは、誰? 〜You don’t know me,but I know you〜 館野内一花 (たてのうち いちか) x 四条榛瑠 (しじょう はる) 元(?)世話係とお嬢様 現在 会社の上司と平社員 そして、秘密の恋人 幼い時に両親を亡くし、一花のいる館野内家で育った榛瑠 。彼は18歳の時に家を出て行き、そのまま手紙の一つもないまま9年、ある日いきなり一花の前に現れあなたの婚約者だと名乗る。 混乱し受けいられない一花だったが、紆余曲折の末、想いを伝え合い付き合う事に。 それから一年。あいも変わらず社長令嬢であることをふせながら地味な事務職員として働く一花。榛瑠とも特に問題もなく、いつも通りの平凡な毎日……のはずだったが、榛瑠が出張先で事故にあったと連絡が入る。 命に別状はないと聞きほっとするのも束の間、彼が記憶をなくしているとわかり? シリーズ⑶ 以前書いた『天使は金の瞳で毒を盛る』『おやすみ、お嬢様』と同シリーズ、同じ登場人物です。 前作を読んでなくても上記あらすじでわかるつもりです、つもりです……。 (別サイトから改稿しての転載になります)

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

処理中です...