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あなたの運命の人に逢わせてあげます
Chapter 8 ① ♡
しおりを挟む壁一面に、ずらりと並んだ部屋の写真パネルを目の前にして、
「……どこにする?」
おれは腕組みしながら美咲に訊いた。
「……ほんっとに相変わらず、強引なんだから」
美咲は呆れ果てた口調であったが、自らの人差し指で、あるパネルの下のボタンへタッチした。天蓋が付いたベッドのある、アラビアンナイトに出てくるような部屋だった。
すぐさま、その部屋への道順の矢印が点灯し、おれは美咲の腰に手を回して部屋へ向かった。
部屋に入ったとたん、おれたちはどちらからともなく、しっかりと抱き合った。そして、貪るように互いのくちびるを求めた。おれは部屋の中央にあるアラビアンナイトみたいなベッドへ美咲を押し倒した。
美咲の首筋にくちびるを這わせながら——チュニックっていうんだっけ——ダボッとした幼稚園児のスモッグみたいな服を捲り上げようとしていたら、
「……シャワーを浴びたいんだけど……」
美咲が囁いた。
そんなことはどうだっていいおれは、
「いいじゃん、このままで……」
そう言ってこのまま続けようとしたが、美咲は聞かなかった。
仕方がないので、先におれがシャワーを浴び、そのあと美咲がバスルームへ入っていった。
シャワーを浴びている女を、ベッドで今か今かと待ってるって、なんてマヌケな時間なんだろう。
女はいったんバスルームへ消えたら、なにをしているのかなかなか戻ってこない。こんなとき、手持ち無沙汰になって、せっかく止めたタバコが欲しくなる。
だいたい、男には「タイミング」ってものがあるんだ。機械のように都合よく、っていうわけにはいかないのだ。
おまけに、相手があの頃あんなに好きだった女ときている。できたら、「勢い」で進めたかった。「間」が開けば開くほど、期待とともに焦りが押し寄せる。
それが「プレッシャー」となって、男にのしかかる。
゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜・*:.。. .。.:*・゜゜
美咲がバスルームから現れた。団子頭の髪を下ろし、バスタオルで身を包んでいる。
「……ちょっと、明る過ぎるんじゃない?」
蛍光灯の煌々とした光の中で、照れくさそうな笑みを浮かべていた。
美咲はベッドの隅にピンと背筋を伸ばして腰を下ろし、ベッドボードの調節パネルをいじって光を落とし始めた。
そんなことするより早くこっちへ来い、と思ったが、
「顔が見えなくなるまで暗くするなよ」
おれは苦笑しながら言った。
「あたしもこの歳だから、真っ暗にして、なんてもう言えないよ」
美咲がおれの方をちらりと見て、首を竦める。だが、もともと童顔な彼女は、年齢よりずっと若く見えた。
オレンジ色の仄暗い灯りになると、美咲は背を向けて、身につけていたバスタオルをはらりと床へ落とした。くっきり見える肩甲骨の辺りにも、キュッと引き締まった腰のくびれの下にも、下着はなかった。
堪らずおれは、後ろから露わになった美咲の素肌を抱きしめた。小さな美咲はすっぽりと、おれの身体に包み込まれる。
すかさずベッドの中へ美咲を引き込み、仰向けにさせる。思わずおっぱいがぽろりと溢れ、あわてた美咲が起き上がろうとするところを馬乗りになる。
そして、美咲の肢体を上からしっかりと見た。成長期の真っ最中に離れて以来、現在の美咲があまりに華奢な体型だったので、子どもの頃のままのカラダだと思っていたが、違っていた。
丸みを帯び、成熟した、大人の女性の裸身だった。特におっぱいは、ほかの華奢な部位からは想像できないくらい、大きく育っていた。しかも、すでに乳首がぷくりと勃ち上がっている。
なのに、髪を下ろして市松人形のような髪形になった美咲は、一段と若く——幼く見えた。
おれの下半身の中心に、一気に熱が集まった。
込み上げてくる淫らな気持ちを押さえ切れず、おれは美咲のくちびるへ、自分のくちびるを荒々しく押しつけた。
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