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あなたの運命の人に逢わせてあげます
Chapter 7 ③
しおりを挟むおれは美咲の小さな顔を両手で包み込み、ゆっくりとそのくちびるに自分のくちびるを重ね合わせた。
美咲のくちびるがおれに応える。おれは開きかかったそのくちびるの隙間に舌を差し入れて、美咲の舌を探った。
ところが、美咲の舌に触れた、と思った瞬間、しなやかに逃げられる。おれはさらに深く、舌を侵入させた。そして、逃げ場がなくなるまでその舌を追いつめ、とうとう捕まえる。
あの頃夢見ていた美咲の舌は、蕩けるようにやわらかかった。このままずっとこの感触を味わっていたいと思った。
だが、ゴンドラは情け容赦なくどんどん下りていく。もうすぐビルの中へ吸い込まれていく、というところで、美咲がくちびるを離した。
もの足りなくて不機嫌になったおれの顔を見て、
「……子どもみたいに拗ねた顔してる」
美咲がさもおかしそうに笑った。
しかし、おれはそんな美咲とは裏腹に、おれたちはこんなキスもできるような大人になったんだなぁ、としみじみ思っていた。
ゴンドラがとうとう下まで降りて観覧車が止まった。おれは美咲の細い手首をつかんでゴンドラを降りた。
それから、表の大通りに出て、大股でずんずん歩いていった。おれに手を牽かれた小さな美咲は、歩幅も歩数も合わず小走り気味になっていた。
「……魚住くん、どしたの?怒ってるの?」
問いかけてくる美咲の言葉も無視して、おれはひたすら歩いた。
「……あのう……手首痛いんだけど」
おれはそれを聞いてやっと立ち止まり、美咲の方へ向いた。
そして、美咲の手首から手を離して、今度は彼女の手のひらと自分の手のひらをぴったり合わせ、彼女の指と自分の指をしっかりからませ、ガッチリと手をつないだ。あの頃できなかった「恋人つなぎ」だ。
おれは振り返って前を向き、またずんずん歩き出した。相変わらず小走り気味の美咲だったが、もうなにも言わずついてきた。
大通りの角を曲がり、長いアーケードを抜け、いつの間にか人気のない通りに出ていた。
そこにはホテル街が広がっていた。
おれはつないだ手を離して、今度は美咲の肩を抱き寄せた。
それから、目の前にあるホテルの入り口をくぐった。
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