19 / 28
きみは運命の人
§ 8 ②
しおりを挟む「えっ、おまえ、ややちゃんとは、すでに出会ってるやないか。どうやって、彼女が『運命の相手』やってわかったんや?」
和哉が訝しげな顔になる。
「説明なんて、できませんよ。『それが不思議なことに、逢うたら、すぐにわかる』って言わはったんは和哉さんでしょ?まさに、そのとおりでしたよ」
それを言われると、和哉はなにも言えない。
「とにかく、おれの『運命の相手』は稍やったわけですから、もう文句ないでしょう?和哉さんには協力してもらいますからね。……では、稍がこの会社に嘱託社員として入社して、さらに『麻生』の姓で働く件、よろしくお願いしますよ?」
念には念を入れて、「魚住課長」からも人事部長にプッシュしてもらおう。
——絶対にしくじるわけにはいかへんからな。
実は先日、創立パーティで会った社長に直談判し、快く承諾してもらっていた。
社長からは、『なんだ、そんな相手がいるんだったら、なぜもっと早く言わないんだ?』と逆に咎められたくらいだ。
社長の葛城とその妻の誓子ともども、彼らの知人の令嬢との「見合い話」を持ちかけられていたからだ。
しかし、『これで、君がすぐにでも情報システム課に異動してくれたら言うことないんだがな』とも言われたが。
万事うまくいって、GW明けに「稍」が入社したら……
——パーティで「稍」を見つけて魅入っていた山口が、もしかしたらチョッカイを出しに来るかもしれへんな。
智史の「計画」では、GWに神戸へ戻り婚姻届を提出することになっていた。五月半ばの自分の誕生日には、晴れて妻帯者になっているはずだ。
——ま、ちゃんと結婚したあとなら大丈夫やろ。それに、「八木」と「稍」が同一人物やと見分けられへんヤツに、なにができるっちゅうねん。
そして、六月の稍の誕生日の頃に、結婚披露パーティを開くのだ。
親友の小笠原が『日もあらへんちゅうのに、大型連休が痛いなぁ』とグチりながらも、伝手を頼って準備してくれている。
『いくら「サプライズ」とはいえ、ウェディングドレスのサイズ調整もあるし、早よ、ややちゃんに会わせろよっ』と、うるさい。
——あいつは調子に乗って、ぽろっ、と言うてしまいそうなところがあるからな。そしたら「計画」が台無しや。
智史は小笠原に『サプライズにしたいから、稍とはギリギリまで会わせられへん』と言っていた。
——稍に婚姻届を書かせて、ヤツのデパートへ一緒に指輪を買いに行くまでは、会わせるわけにはいかへん。
「……智史」
改まった声で、和哉に呼びかけられる。
「あのサイトはな、確かに『運命の相手』は教えてくれるけどな」
智史は怪訝な顔で、従兄を見た。
「せやからと言うて、必ず『運命の相手』と結ばれる、ってわけやないんや」
ほんの一瞬だが、和哉の表情に美咲が離婚して自分と結婚するまでの「苦悩」が浮かんだ。
——稍をこの手にできるんやったら、おれは……なんだってする。
智史はしっかりと肯いた。
1
あなたにおすすめの小説
私の好きなひとは、私の親友と付き合うそうです。失恋ついでにネイルサロンに行ってみたら、生まれ変わったみたいに幸せになりました。
石河 翠
恋愛
長年好きだった片思い相手を、あっさり親友にとられた主人公。
失恋して落ち込んでいた彼女は、偶然の出会いにより、ネイルサロンに足を踏み入れる。
ネイルの力により、前向きになる主人公。さらにイケメン店長とやりとりを重ねるうち、少しずつ自分の気持ちを周囲に伝えていけるようになる。やがて、親友との決別を経て、店長への気持ちを自覚する。
店長との約束を守るためにも、自分の気持ちに正直でありたい。フラれる覚悟で店長に告白をすると、思いがけず甘いキスが返ってきて……。
自分に自信が持てない不器用で真面目なヒロインと、ヒロインに一目惚れしていた、実は執着心の高いヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、エブリスタ及び小説家になろうにも投稿しております。
扉絵はphoto ACさまよりお借りしております。
【完結】酒はのんでものまれるな
海月くらげ
恋愛
「ずっと先輩に近付きたかった」
自信のない28歳OLが、
完璧すぎる年下のエースと過ごした、たった一夜。
ひょんな一夜から始まるのは、
私史上いちばん不器用で、
いちばん大切な恋だった。
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
2月31日 ~少しずれている世界~
希花 紀歩
恋愛
プロポーズ予定日に彼氏と親友に裏切られた・・・はずだった
4年に一度やってくる2月29日の誕生日。
日付が変わる瞬間大好きな王子様系彼氏にプロポーズされるはずだった私。
でも彼に告げられたのは結婚の申し込みではなく、別れの言葉だった。
私の親友と結婚するという彼を泊まっていた高級ホテルに置いて自宅に帰り、お酒を浴びるように飲んだ最悪の誕生日。
翌朝。仕事に行こうと目を覚ました私の隣に寝ていたのは別れたはずの彼氏だった。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
おじさんは予防線にはなりません
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「俺はただの……ただのおじさんだ」
それは、私を完全に拒絶する言葉でした――。
4月から私が派遣された職場はとてもキラキラしたところだったけれど。
女性ばかりでギスギスしていて、上司は影が薄くて頼りにならない。
「おじさんでよかったら、いつでも相談に乗るから」
そう声をかけてくれたおじさんは唯一、頼れそうでした。
でもまさか、この人を好きになるなんて思ってもなかった。
さらにおじさんは、私の気持ちを知って遠ざける。
だから私は、私に好意を持ってくれている宗正さんと偽装恋愛することにした。
……おじさんに、前と同じように笑いかけてほしくて。
羽坂詩乃
24歳、派遣社員
地味で堅実
真面目
一生懸命で応援してあげたくなる感じ
×
池松和佳
38歳、アパレル総合商社レディースファッション部係長
気配り上手でLF部の良心
怒ると怖い
黒ラブ系眼鏡男子
ただし、既婚
×
宗正大河
28歳、アパレル総合商社LF部主任
可愛いのは実は計算?
でももしかして根は真面目?
ミニチュアダックス系男子
選ぶのはもちろん大河?
それとも禁断の恋に手を出すの……?
******
表紙
巴世里様
Twitter@parsley0129
******
毎日20:10更新
めぐり逢い 憧れてのち 恋となる
葉月 まい
恋愛
……あなたが好きです。4年前から、ずっと……
きっかけは小さな出来事
でもあなたは私を導いてくれた
あなたに憧れて 自分の道を見つけられた
いつかまた出逢えたら……
*⟡.·✼ ┈┈ 登場人物 ┈┈ ✼·.⟡*
青山 花穂(25歳) … 空間デザイナー
浅倉 大地(31歳) … プロデューサー
美大生の頃、とあるジュエリーショップに魅入った花穂は、その空間をプロデュースした男性に優しい言葉をかけてもらう。
その人と同じ会社を目指し、晴れて空間デザイナーになれたが、4年ぶりに再会したその人は、まるで別人のように雰囲気が変わっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる