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Chapter 3
告解 ④
しおりを挟む稍からのLINEメッセージは、
【栞、突然ごめん。このGWの後半に神戸へ帰ることになってんけど、会えるかな?】
というものだった。
すでに京都の町家をを引き払っているため、今の「実家」は神戸だ。
——おねえちゃん、婚約破棄しはったこと、おとうさんに話さはるつもりやねんやろなぁ。
姉のためにぜひとも同席しなくては、と思うと、栞の顔が自然と引き締まった。
「栞、だれからだ?もしかして……男からか?」
ふと視線を感じて顔を向けると、神宮寺が今にも人をぶっ殺しそうな目で自分を見つめていた。
「ち、違いますっ!東京に住む姉からです」
恐れをなした栞は、あわてて首を左右に振った。
「何の用だって?」
まるで刑事の尋問のように、すかさず訊かれる。
「このGWにこっちに帰ってくるから会いたいと言うので、今からとりあえずOKのスタンプでも送ろうかと……」
そして、栞がディスプレイめがけてタップしようとした指をがっ、と掴まれた。
「栞、忘れたのか?おれたちは……ここからは出られないんだぞ?」
——ああぁっ、そうやった!
「……でも、一日くらいやったら……」
という栞のつぶやきにも、神宮寺から「ダメだ」と即座に却下される。
「その『一日』が命取りになることがあるんだ。のこのこ外出した際に、ここぞとばかりにパパラッチみたいなヤツに撮られでもしたらどうするんだ?栞を世間の目から守るために、おれたちはここにいるんだぞ」
それでも、栞は諦めきれなかった。ほかでもない、姉の稍のことだからだ。
「あの……姉はこの六月に結婚するはずやったんですけど、急に婚約破棄になったんです。そのことを、神戸の実家に帰って父親に説明するんやと思うんです。一人では心細いやろうから、一緒についていてあげたいんです」
そして、ダメ元で、栞は上目遣いをして神宮寺の「情」に訴えてみる。
「……それでも……あきませんか?」
ところが、その直後、栞は「情」欲の炎を復活させた神宮寺にがっちり抱き竦められ、そのままベッドに沈められることになった。
結局、GWに姉に会えるどころか、北◯ホテルも真っ青の朝食も不発弾に終わった。
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚
それでも、栞は姉に会うのをどうしても諦めきれなかった。
なんとしても神宮寺から「外出許可」を勝ち取るために、文字どおりカラダを使って積極的にがんばった。
栞が「別件」で計画プランを練っていた「たっくんをいつまでもつなぎ留める作戦」も功を奏した。
その「行為」自体はかなり神宮寺を悦ばせたはずなのに——それでも彼は決して首を縦には下さなかった。
そして……とうとう「その日」になってしまった。
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