契約結婚はつたない恋の約束⁉︎

佐倉 蘭

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Chapter 3

共寝 ④ ♡

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   栞に穿ちつける、神宮寺の乾いた音が部屋中に響き渡る。

   無意識とはいえ、無防備に「健全な二十二歳の男子」を煽ってしまった栞は、神宮寺に性欲の限りをぶつけられ、とことんまで貪り尽くされていた。

   何度も〇、〇数ミリの薄い「膜」を取り替えながら、神宮寺は「まだ足りない」とばかりに、たった今自身で開いたばかりの栞の膣内なかへすかさず穿うがち、ゆさゆさと揺さぶり、そして極まったのちにはまた、精をほとばしらせる。

   ここのところ、神宮寺が半強制的に「オンナを断たされていた」状況であったのも、彼に追い討ちをかける結果となった。

   そのうちに、とうとう栞は、あまりの痛みのために口から漏れ出る獣じみた唸り声すらあげる気力もなくなって、こときれたように意識が遠のいていった。

「……栞……悪い……どうしても、止められなかった……」

   ぼんやりと霞んでいく意識の中で、神宮寺のつぶやきが聞こえてきた。
   ひさかたぶりに、オンナの膣内に全力で精を吐き切った彼もまた、こときれたように栞の上に崩れ落ちた。

   だが、神宮寺の有り余る熱を受け続けた栞には、たとえ「初めて」の経験であっても、彼から「求められた」のはセックスだけであることがわかっていた。

   そこには、互いを狂おしいまでに求める「恋」も、互いがすべてを委ねて慈しむ「愛」も、存在しないということも……

   所詮——栞は神宮寺にとって「仮初かりそめの妻」なのだ。

   にもかかわらず、栞は今までにだれからも乞われずにいた「求められた」よろこびを、それこそ「肌」で実感していた。

——たっくんが、こんなふうにあたしのカラダを「求めて」くれはるんやったら……

   男を通したばかりの途方もない痛みの中で、それでも神宮寺にはますます激しく何度も突き立てられ、穿ちつけられていたというのに……

   なにも考えず、だれかにただひたすらこの身を任せ、されるがままになっているのが、こんなにも心地よいということを知ってしまった。
   男の手でこんなに荒っぽく扱われているのに、逆にえもいわれぬ「安心感」があることを、このカラダが覚えてしまった。

——せやったら、カラダだけの関係でもいい。

   栞は生まれて初めて、そこに「自分の居場所」を見つけたような気さえしていた。

——たっくんがあたしのカラダを好きにしたいと思うてくれてる間は……「ここ」におれるから。

   そして、そんなふうに思う自分が……今までずっと「寂しかった」のだ、ということに——

   栞はようやく気づいた。

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