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Chapter 8

蓮台 ⑤ ♡

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   最初はお互い様子を伺うように、顔を見ながらペースを探る。

   そのうちに、「あぁ、この相手なら」と「判断」できるところまできたら——あとは、欲望と本能の赴くままに互いに腰を動かすのみだ。

   智史が上体を起こして、稍を抱える体位をとる。

   これで、稍自身も腰を動かしやすくなる。智史も、稍のつんと上を向いた形のよい乳房に、顔をうずめやすくなる。

   稍の喘ぎ声は、悲鳴に近いものになっていた。


「……稍、悪い。一回、イカしてくれ」

   永遠かと思えるほどの抽送の末に、智史がくるしそうに言った。
   稍もとっくに限界を迎えていた。

「おまえ……今まで、どれだけの男とヤッてきたんやっ……あぁっ、もう発狂しそうやっ!」

   智史が、今まではなんだったのか?というほどの激しさで、稍の胎内なかを突き上げてくる。

——そっちこそ。

   そう言いたかったけれども、悲鳴のような喘ぎ声の合間には、とても差し込められなかった。


   そして、一瞬、稍の膣内なかで……

   智史の「先」が、すわっ、と当たった。

   稍のカラダが、ぞわっ、と震えた。


「……おまえの子宮が降りてきよったな」

   稍の乳房に顔を埋めていた智史が、あの妖艶な目で満足げに見上げた。
   その直後、いつの間にか入り口付近まで引き抜いていた智史が、一気に最奥まで突き上げた。

「さ……智……史……っ」

   その瞬間、稍の腰が砕けて、崩れ落ちた。


゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚


   稍は今までに何人かの男に抱かれてきた。

   だが、「演技」で達した振りは何度もしてきたけれど、ガチで気が遠くなるほど意識を飛ばしたことは、一度もなかった。

   ぼんやりと霞んで見える先に、智史がいた。

   どうやら彼も一緒に達したようだ。今は、稍の身体の上に、どさりと覆い被さっている。

   そして、稍の膣内なかには、どくどくと彼の「生命の源」が吐き出されていた。もちろん、〇・〇数ミリの薄ーい膜の中に、ではあるが。

   落ち着いたところで顔を上げた智史は、稍のくちびるに、ちゅっ、と軽くキスをした。

   まるで……「誓いのキス」のようだった。


   智史は、稍と一緒にいた「少年」の頃の……あの人懐っこい笑顔を見せた。

   稍の顔が一瞬にして歪み……智史と一緒にいた頃の「少女」に戻った。

   稍は智史にしがみついた。

「さとくん……さとくん……さとくんっ」

   そう何度も名を呼び、ちいさな子どものように泣き出した。

「やや……ずっと、さとくんに会いとうて、会いとうて……たまらんかったっ」

   智史が、ちいさな女の子にかえってしまった稍を、ぎゅーっと力いっぱい抱きしめる。

「やや……さとくんが突然おらへんようになって、さみしゅうて寂しゅうて、たまらんかったぁっ」

   先刻さっきまでの智史に組み敷かれて淫らな姿態を見せていた稍とは、別人のようだ。
   智史はそんな稍の髪を、いたわるようにやわらかく、いとおしむように甘く撫でた。

   そして……耳元でささやいた。


「ぼくもやで……ややちゃん」

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