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Chapter 5
白日 ③
しおりを挟む——鎮まれ、あたしの心臓……
ばくばくする心臓を抑えて、宥めつつ、稍は自分自身に「余計なこと」を考えないようにと言い聞かせた。
そして、とにかく仕事に集中することを目指す。
だが、そんな稍とは裏腹に、隣でタブレットを操作する青山は、少しも表情を変えず「通常運転」のままだった。
すると、だんだん自分だけが心臓をばくばくさせて、AEDを必要としているのがバカらしくなってきた。
——やっぱり「やぎ」と呼んだのを、聞き間違えたんだ。
゜゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*:.。. .。.:*・゜
稍は、ミーティングルームの端に置かれたプロジェクターを「最近のは小型で軽くなったなぁ」と思いながら持ち上げて、所定の位置に置いた。
パワーポ◯ントを立ち上げたPCに、プロジェクターを接続する設定をする。プロジェクターを作動させて、前のスクリーンにスライドを投影し、手元のワイヤレスリモコンを操作して、さくさく移り変わるか確認する。
そして、レーザーポインターの動作確認をしているとドアが開いて、
「……準備はできてるか?」
青山が入ってきた。
ミーティングルームの中に入ると、ドアを閉め、プレートを【In Use】にスライドさせたあと、カチリと鍵を掛けた。
——社外秘どころか「社内秘」だもんなぁ。
ライバルがどこで聞き耳を立ててるか、知れやしない。
「ところで……」
青山が振り向いて、稍の方に近づいてきた。
「おまえ、いつまで、そんなけったいな格好してる気ぃや? ……稍」
——やっぱり、「やぎ」ではなく、「やや」と呼んでいたかぁ。しかも……関西弁やし。
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