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10「ふたつの石」
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10「ふたつの石」
二人がシリパの会を脱会して三日。 とりあえず脱会したがその先の事は全てが未定。
「ねえケンタ、どういう形態取ればいいと思う?」
「僕も解らないから、とりあえず寝る前に今の地球を透視したんだ。
そしたら青いはずの地球が黒に近いグレーなんだよ。 こりゃ重傷だと実感したよ。
と同時に丸山公園が頭に浮かんだんだ。 とりあえず丸山でも行って高いところから街を
眺めてみるよ、どう思う……?」
「そうしようか……」
二人は円山公園から札幌の街を眺めた。
「この公園久々だね。札幌の街もちょっと見ぬまに高い建物が多くなったのね」
突然ケンタが「シッ!」と京子の言葉を遮った。
ケンタはその場に黙って立っていた。
京子はいよいよ何かが動き始める予感を感じた。
「“狸小路 ”って心の奥から……?」
その日の夜、二人は大通公園から狸小路に向かって歩いていた。
「……? ねえ、さっきから後ろに気配を感じるのよね、どう?」
「うん、僕も同じさ、これ生身の人間じゃないよ。 一回止まろうか?」
二人は同時に立ち止まった。 次の瞬間二人は後ろを振り向いた。
京子は突然気を失ったようにその場に倒れ込んだ。 咄嗟のことでケンタは状況判断ができていなかった。
「京子! 京子! 京子!」顔をさすったり背中をさすったりと意識の回復をまった。
やがて京子の意識が戻りケンタの顔を見ながら「あのね、あれと目があった瞬間私の中にいきなり
入ってきて気が遠くなったのよ。 気が付いたら私、月にいたの。
そこで色んな宇宙人が一斉に語りかけてくるの。 それが全部、何を言ってるか解るのね。
要約すると北海道内の各スポットの封印を解いて、残り二つの黒石を探せっていう事なの。
だから、石のある場所を教えてって言ったら、出来ないって言うのよね。
私もつい、じゃあ偉そうに言うな。 バカ野郎って言ってやったわよ。
腹立つ、まったく……」
「京子ちゃんホントにバカ野郎って言ったの?」
「本当よ。駄目だった……?」
「いや…… じゃあ明日からその石探しするか?」
「その前に狸小路のみんなの所行こうよ。 チョットだけでいいからさ……」
「姉さん、久しぶりです。」
「おう、元気でやってるのかい? また家出少女連れ込んでないだろうね」
「シリパ姉さんは会えば必ずそれだもんな。 もうやってませんから……」
「そうかい、真面目になったかい?」
「そうでもないけど」
「バカ野郎! ふふ、じゃあまたなっ」
ケンタが「なんか京子ちゃんは水を得た魚のようだね。 いつもこんな会話なの?」
「そう」
今度は向こうから厄介そうな男が二人歩いてきた。
京子が「おう、ミノルとエイジ久しぶりだね、何年ぶりだよ?
相変らず二人かい?
あんたらも出世しないねえ元気にしてた?
こちら私の旦那でケンタ……」
エイジが「何時結婚したん…… よろしく」
「この二人はミノルとエイジ。 いつも二人なの。 ホモなんだ」
「ばっかやろう相変らずだな、シリパも。
この人が旦那さんかい?
俺、ミノルっていう極道者なんだ。 宜しく。 シリパには世話になってます」
続けてエイジが「だ、だ、だ、旦那さんも大変なのと一緒になったねえ。
ま、ま、まっ、シリパの面倒みてやって下さいや」
「ミノル、エイジ。お前達言ってることがヤクザっぽいよ!
ウザイからとっとと消えな……」
「ガハハハ。 そっか。 じゃあな、 シリパおめでとうさん」
「ハイヨ!」
ケンタの知らない京子の顔を垣間見、複雑な思いがした。
「ここに何年座ったかな? 色々と楽しかったよ。
ここに集まる人間は正直でいいよ。
不器用だけど適当に一生懸命がいいね…… わたしすきだな」
翌日からふたりは石探しを始めた。
「ねえケンタさあ、やっぱり神社かな?
会の石は奉納されてる石でなく社務所の後ろに落ちたってたよね」
「うん、僕は氏神様のような小さな祠かなんかのような感じがするんだけど」
「神社や祠なんてそこらじゅうにあるよ。 どうやって探すのさ?」
「いや、必ず切っ掛けがあるはずだよ……」
ケンタはふとミルキーの事を思い出した。
「京子ちゃんそうだよ! ミルキーがいた! 二風谷の赤石だよ!」
「あっ、そうだ! たしか赤石と黒石も共鳴し合うのよね。
その手があったわね。 ミルキーとコンタクトとるね」
ここは二風谷。 京子はミルキーに念を送り気配を読んだ。
「あっ! 京子さん久しぶりダニ。 来てくれたダニ? うれしいダニ」
「ミルキー突然ごめんね」
「ぜんぜんかまいません。 尋ねてくれてありがとうダニ」
「実はね……」と経緯を話した。
「そうですか。たぶん二日あれば探せると思うダニ。
但し、封印が掛かってたら感知出来ない可能性もあるダニよ。
あんまり期待しないで待ってて下さいダニ」
「ミルキーありがとう。 恩に着るよ」
札幌に帰宅して数日が経ったときミルキーの気配があった。
「おや? ミルキー、ありがとうね。 で、どうだった?」
「やっぱりひとつは封印してあるみたいダニ。
もうひとつは余市の隣町で仁木の神社の小さいお堂の辺りみたいダニ」
「へ~~! そこまで解るのかい? 凄いよミルキーは!」
「シリパの会のおかげで力がついたみたいダニ」
「そっかい。 良かったね、ありがとう。 ついでにシリパの会に寄ってったら?
サキちゃんもスタッフとしていつもいるよ」
「はい寄ってくダニ」
ふたりは仁木神社に向かった。
「ここか、お堂があったよ。 まず参拝しようか?」
一瞬ケンタの様子が変わった。
「ケンタどうしたのよ?」
「ごめん。 上半身が痺れて死ぬかと思うような衝撃だったよ……?」
「へ~え! そうだったの」
ふたりはお堂の周りで石を探した。 見つかるまで時間はかからなかった。
「あった!」
京子が小さな石を手にした。
「これだよね。 ケンタ触ってみてよ」
ケンタは石を握った。 次の瞬間また電気が走り異空間を移動した。
ケンタが視たのは大正時代の仁木村。 数人の村人らしき人と神主さんがこのお堂に祝詞をあげていた。
この神社のご神体に魂入れをしてるようだった。
天地を貫く紫色の光が視える。
天照大御神とガイドが教えてくれた。
「この石で間違いない。 久々に石でトリップしたけど、同じ感触だった間違いない」
ふたりは寄り道せずに札幌に帰った。 部屋に戻って石を綺麗に洗い太陽光を浴びせた。
「ねえ、ケンタさあ、この仕事も使命感があっていいけどさ、もう米びつの底が見えてるよ。
私、また狸小路にでも座るかい?」
「そっか、僕も一緒に座ろうかな……?」
「イヤだよ。 ふたりでなんか」
「違うよ。僕は僕で絵とか詩を描いてやり方を変えた占い師ってどう?」
「なるほど……面白いかも」
ふたりは夜、狸小路に座ることになった。
「言い掛かり付ける奴がいたら私にいいなよ。 それとここじゃ、
アタシはシリパで通してるから呼ぶとき気をつけてね。 じゃあ宜しく! 新米くん……」
「僕はKENでいくよ。 シリパ先輩宜しくお願いします」
「おう任せな新入のKEN。 但し、売上の30%は私に上納しなよ新米くん」
ケンタは久々にガッペむかついた。 KENは占い相談に来てくれた客に
ガイドからのメッセージをひと言書にして添え営業した。
途中シリパは何度も冷やかしに顔を出した。平日はふたりで売上が一万円程度。
帰りは早くても十二時近かった。 残りの石の捜索方法をふたりで話し合うのが日課になった。
「砂の中からダイヤを探すようで滅入ってきそう。 ケンタはどう?」
「うん。さすが手掛かりが無いのは滅入るね……」
ある朝、ケンタは夢を視た。
『大切な山は神河の東』……? ケンタには理解できなかった。 京子に聞いても謎は解けない。
半分諦めかけふた月ほど経ったある日、ケンタの客のひとりが「僕の出身は上川町です」と話していた。
ケンタは首を傾げ「上川? それってどの辺でしたっけ?」
「大雪山の下、層雲峡と旭川の間ですけど」
ケンタはピンときた。
「あっ!」
「どうかしました?」当然客は何のことか理解できない。
「あのう、神河ってありますか?」
「神河って聞いたことあります。 東川町の方じゃないですか?」
さっそくケンタと京子はネットで調べ飛んだ。 大雪山の東上川とふたりは仮定した。
そこは東川神社だった。 仁木神社と同じくらいの小さな御堂があった。
ケンタはポケットから石を取り出し、石の反応を注意深く観察した。 が、なんの反応もない。
次に本殿に向かった。 ここも天照大御神とあった。
京子が「なんの変化もないわね、ここじゃあないのよ。 ケンタ、せっかくだけど帰ろう」
「うん、そうしようか……」
ふたりが車に乗り、来た道を戻ろうとした瞬間、道路にいたリスが進行を妨害した。
瞬間京子が「待って!」と声をあげた。
「どうかした?」
「やっぱりここ。 リスが帰るなって進路妨害したの。 もう少し気配を感じてみようよ」
「了解」ふたりは車内で瞑想した。
ケンタが目を開けた『木の下』ふたりは車から降り意識を集中した。
一時間ほど経過した時さっきのリスがまた出てきた。
京子はそのリスに導かれたかのように近寄った。
「ケンタ!」京子の声。
「あったのかい?」
大きな木の根元には黒い小さな石があった。
ケンタが「二つの石が同調しあってる。 これだ間違いないよ」
「よかった。 リスさん導きありがとうね。 これで三位一体よ」
それからふたりは車中泊しながら足を伸ばし、たくさんの寺社の封印を解いて廻った。
ひととおり北海道を廻ったふたりは久し振りに自宅でゆっくり休息をとった。
京子が「なんか独特の達成感があるね。 廻って初めて解ったけど天照大御神って多いのね。
それって分霊って言うのかな。 あとお寺は一軒も無いのね」
「お寺は人間が造ったもので、今の役場の住民課的な役目が事の始めだから、
本来の信仰の形態と役目がすこし違うのかもね。
だから神社周りが主体だったかも……」
二人がシリパの会を脱会して三日。 とりあえず脱会したがその先の事は全てが未定。
「ねえケンタ、どういう形態取ればいいと思う?」
「僕も解らないから、とりあえず寝る前に今の地球を透視したんだ。
そしたら青いはずの地球が黒に近いグレーなんだよ。 こりゃ重傷だと実感したよ。
と同時に丸山公園が頭に浮かんだんだ。 とりあえず丸山でも行って高いところから街を
眺めてみるよ、どう思う……?」
「そうしようか……」
二人は円山公園から札幌の街を眺めた。
「この公園久々だね。札幌の街もちょっと見ぬまに高い建物が多くなったのね」
突然ケンタが「シッ!」と京子の言葉を遮った。
ケンタはその場に黙って立っていた。
京子はいよいよ何かが動き始める予感を感じた。
「“狸小路 ”って心の奥から……?」
その日の夜、二人は大通公園から狸小路に向かって歩いていた。
「……? ねえ、さっきから後ろに気配を感じるのよね、どう?」
「うん、僕も同じさ、これ生身の人間じゃないよ。 一回止まろうか?」
二人は同時に立ち止まった。 次の瞬間二人は後ろを振り向いた。
京子は突然気を失ったようにその場に倒れ込んだ。 咄嗟のことでケンタは状況判断ができていなかった。
「京子! 京子! 京子!」顔をさすったり背中をさすったりと意識の回復をまった。
やがて京子の意識が戻りケンタの顔を見ながら「あのね、あれと目があった瞬間私の中にいきなり
入ってきて気が遠くなったのよ。 気が付いたら私、月にいたの。
そこで色んな宇宙人が一斉に語りかけてくるの。 それが全部、何を言ってるか解るのね。
要約すると北海道内の各スポットの封印を解いて、残り二つの黒石を探せっていう事なの。
だから、石のある場所を教えてって言ったら、出来ないって言うのよね。
私もつい、じゃあ偉そうに言うな。 バカ野郎って言ってやったわよ。
腹立つ、まったく……」
「京子ちゃんホントにバカ野郎って言ったの?」
「本当よ。駄目だった……?」
「いや…… じゃあ明日からその石探しするか?」
「その前に狸小路のみんなの所行こうよ。 チョットだけでいいからさ……」
「姉さん、久しぶりです。」
「おう、元気でやってるのかい? また家出少女連れ込んでないだろうね」
「シリパ姉さんは会えば必ずそれだもんな。 もうやってませんから……」
「そうかい、真面目になったかい?」
「そうでもないけど」
「バカ野郎! ふふ、じゃあまたなっ」
ケンタが「なんか京子ちゃんは水を得た魚のようだね。 いつもこんな会話なの?」
「そう」
今度は向こうから厄介そうな男が二人歩いてきた。
京子が「おう、ミノルとエイジ久しぶりだね、何年ぶりだよ?
相変らず二人かい?
あんたらも出世しないねえ元気にしてた?
こちら私の旦那でケンタ……」
エイジが「何時結婚したん…… よろしく」
「この二人はミノルとエイジ。 いつも二人なの。 ホモなんだ」
「ばっかやろう相変らずだな、シリパも。
この人が旦那さんかい?
俺、ミノルっていう極道者なんだ。 宜しく。 シリパには世話になってます」
続けてエイジが「だ、だ、だ、旦那さんも大変なのと一緒になったねえ。
ま、ま、まっ、シリパの面倒みてやって下さいや」
「ミノル、エイジ。お前達言ってることがヤクザっぽいよ!
ウザイからとっとと消えな……」
「ガハハハ。 そっか。 じゃあな、 シリパおめでとうさん」
「ハイヨ!」
ケンタの知らない京子の顔を垣間見、複雑な思いがした。
「ここに何年座ったかな? 色々と楽しかったよ。
ここに集まる人間は正直でいいよ。
不器用だけど適当に一生懸命がいいね…… わたしすきだな」
翌日からふたりは石探しを始めた。
「ねえケンタさあ、やっぱり神社かな?
会の石は奉納されてる石でなく社務所の後ろに落ちたってたよね」
「うん、僕は氏神様のような小さな祠かなんかのような感じがするんだけど」
「神社や祠なんてそこらじゅうにあるよ。 どうやって探すのさ?」
「いや、必ず切っ掛けがあるはずだよ……」
ケンタはふとミルキーの事を思い出した。
「京子ちゃんそうだよ! ミルキーがいた! 二風谷の赤石だよ!」
「あっ、そうだ! たしか赤石と黒石も共鳴し合うのよね。
その手があったわね。 ミルキーとコンタクトとるね」
ここは二風谷。 京子はミルキーに念を送り気配を読んだ。
「あっ! 京子さん久しぶりダニ。 来てくれたダニ? うれしいダニ」
「ミルキー突然ごめんね」
「ぜんぜんかまいません。 尋ねてくれてありがとうダニ」
「実はね……」と経緯を話した。
「そうですか。たぶん二日あれば探せると思うダニ。
但し、封印が掛かってたら感知出来ない可能性もあるダニよ。
あんまり期待しないで待ってて下さいダニ」
「ミルキーありがとう。 恩に着るよ」
札幌に帰宅して数日が経ったときミルキーの気配があった。
「おや? ミルキー、ありがとうね。 で、どうだった?」
「やっぱりひとつは封印してあるみたいダニ。
もうひとつは余市の隣町で仁木の神社の小さいお堂の辺りみたいダニ」
「へ~~! そこまで解るのかい? 凄いよミルキーは!」
「シリパの会のおかげで力がついたみたいダニ」
「そっかい。 良かったね、ありがとう。 ついでにシリパの会に寄ってったら?
サキちゃんもスタッフとしていつもいるよ」
「はい寄ってくダニ」
ふたりは仁木神社に向かった。
「ここか、お堂があったよ。 まず参拝しようか?」
一瞬ケンタの様子が変わった。
「ケンタどうしたのよ?」
「ごめん。 上半身が痺れて死ぬかと思うような衝撃だったよ……?」
「へ~え! そうだったの」
ふたりはお堂の周りで石を探した。 見つかるまで時間はかからなかった。
「あった!」
京子が小さな石を手にした。
「これだよね。 ケンタ触ってみてよ」
ケンタは石を握った。 次の瞬間また電気が走り異空間を移動した。
ケンタが視たのは大正時代の仁木村。 数人の村人らしき人と神主さんがこのお堂に祝詞をあげていた。
この神社のご神体に魂入れをしてるようだった。
天地を貫く紫色の光が視える。
天照大御神とガイドが教えてくれた。
「この石で間違いない。 久々に石でトリップしたけど、同じ感触だった間違いない」
ふたりは寄り道せずに札幌に帰った。 部屋に戻って石を綺麗に洗い太陽光を浴びせた。
「ねえ、ケンタさあ、この仕事も使命感があっていいけどさ、もう米びつの底が見えてるよ。
私、また狸小路にでも座るかい?」
「そっか、僕も一緒に座ろうかな……?」
「イヤだよ。 ふたりでなんか」
「違うよ。僕は僕で絵とか詩を描いてやり方を変えた占い師ってどう?」
「なるほど……面白いかも」
ふたりは夜、狸小路に座ることになった。
「言い掛かり付ける奴がいたら私にいいなよ。 それとここじゃ、
アタシはシリパで通してるから呼ぶとき気をつけてね。 じゃあ宜しく! 新米くん……」
「僕はKENでいくよ。 シリパ先輩宜しくお願いします」
「おう任せな新入のKEN。 但し、売上の30%は私に上納しなよ新米くん」
ケンタは久々にガッペむかついた。 KENは占い相談に来てくれた客に
ガイドからのメッセージをひと言書にして添え営業した。
途中シリパは何度も冷やかしに顔を出した。平日はふたりで売上が一万円程度。
帰りは早くても十二時近かった。 残りの石の捜索方法をふたりで話し合うのが日課になった。
「砂の中からダイヤを探すようで滅入ってきそう。 ケンタはどう?」
「うん。さすが手掛かりが無いのは滅入るね……」
ある朝、ケンタは夢を視た。
『大切な山は神河の東』……? ケンタには理解できなかった。 京子に聞いても謎は解けない。
半分諦めかけふた月ほど経ったある日、ケンタの客のひとりが「僕の出身は上川町です」と話していた。
ケンタは首を傾げ「上川? それってどの辺でしたっけ?」
「大雪山の下、層雲峡と旭川の間ですけど」
ケンタはピンときた。
「あっ!」
「どうかしました?」当然客は何のことか理解できない。
「あのう、神河ってありますか?」
「神河って聞いたことあります。 東川町の方じゃないですか?」
さっそくケンタと京子はネットで調べ飛んだ。 大雪山の東上川とふたりは仮定した。
そこは東川神社だった。 仁木神社と同じくらいの小さな御堂があった。
ケンタはポケットから石を取り出し、石の反応を注意深く観察した。 が、なんの反応もない。
次に本殿に向かった。 ここも天照大御神とあった。
京子が「なんの変化もないわね、ここじゃあないのよ。 ケンタ、せっかくだけど帰ろう」
「うん、そうしようか……」
ふたりが車に乗り、来た道を戻ろうとした瞬間、道路にいたリスが進行を妨害した。
瞬間京子が「待って!」と声をあげた。
「どうかした?」
「やっぱりここ。 リスが帰るなって進路妨害したの。 もう少し気配を感じてみようよ」
「了解」ふたりは車内で瞑想した。
ケンタが目を開けた『木の下』ふたりは車から降り意識を集中した。
一時間ほど経過した時さっきのリスがまた出てきた。
京子はそのリスに導かれたかのように近寄った。
「ケンタ!」京子の声。
「あったのかい?」
大きな木の根元には黒い小さな石があった。
ケンタが「二つの石が同調しあってる。 これだ間違いないよ」
「よかった。 リスさん導きありがとうね。 これで三位一体よ」
それからふたりは車中泊しながら足を伸ばし、たくさんの寺社の封印を解いて廻った。
ひととおり北海道を廻ったふたりは久し振りに自宅でゆっくり休息をとった。
京子が「なんか独特の達成感があるね。 廻って初めて解ったけど天照大御神って多いのね。
それって分霊って言うのかな。 あとお寺は一軒も無いのね」
「お寺は人間が造ったもので、今の役場の住民課的な役目が事の始めだから、
本来の信仰の形態と役目がすこし違うのかもね。
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