上 下
6 / 14

5「動物園」

しおりを挟む
5「動物園」

 京子はミルキーに「あなた達は何人くらい居るの?」 

「二風谷で五十人位で、北海道全地域に生息していてここ札幌にもいるダニ」  

「食事は?」

「木の芽や野草が主で海の民は海藻も食べるダニ。 原則、肉系は食べないダニ。 
寿命は基本好きなだけ生きられるダニ」 

「娯楽は?」

「笛・太鼓・踊り・カムイの童話ダニ」 

「結婚、出産は?」 

「結婚は別の集落に行ったり来たり。 子供は夫婦で念ずれば次の日には出産するダニ」  

「質問攻めで本当にごめんなさい。 争い・戦争の類は?」 

「それはいダニ。 こちらの世界は自己利益追求で侵略し奪い合いの為に戦うダニ。 
私たちは調和と奉仕が全てという理念。 自分のために奪いあうと与え合うの違いダニ」

「あなた達にとって神とは?」 

「自然を司るのが神ダニ」

「学校は? 文字は言葉は誰が教えるの?」 

「すべてない。 正確に言うと必要ないダニ。 最初から知って生まれるから
誰も教えないし教わらないダニ」  

「最後にあなたは誰?」 

「私はあなたであなたは私。 それ以上でもそれ以下でもないダニ」  

「ミルキーさんありがとうね。 久しぶりに真剣に話したよ。 ミルキーさん達は素晴らしい
世界に住んでるのね。 勉強になりました。 ありがとうございます」 

「長い間私たちは人間界に知られず生きてきたダニ。 
たまに里の人間に姿を見せたら、物の怪とか、妖怪などと噂され続けて生きてきたダニ。 
今、本当に分かち合えてうれしいダニ。 もっとも昔はお互い交流してたのに、
いつしか伝説扱いにされたダニ。 今回あなた達と解り合えたのが嬉しいダニよ。 
村長に話したら喜ぶダニ。 たぶん二百年振りとか言われそうダニ。 
京子さんサキさんありがとうダニ・ダニ」

会員のショウタが宇宙人の話をしていた。 それを横で聞いていたミルキーはその
会員に話しかけたが会員には視えずにいた。 それを察した京子は二人の通訳にはいった。 

「ショウタくん、ミルキーが話をしたいらしいのね。 通訳する?」 

「はいお願いします。 今どこに居るんですか?」 

「この花瓶の横にいるの。 私はそのまま伝えるからね。 ミルキーさんどうぞ」 

「宇宙人と私たちは交流してるよ。 昔から地球に来てるけど地球人が
宇宙人達を認めるまで干渉出来ない決まりがあるだって」 

「でもTVとかでよくやってるけど?」 

「あれは地球人が意図的に操作してるものと、実際の事が含まれてるんですって。 
その場合、その地球人も了承してこの世に生まれてるんですって」  

「何をしに地球に居るんですか?」
 
「あなたは蝉が木の幹で殻からもうすぐ出ようとしてるのを見たら、
出るまで見届けようと思いませんか?」  

「思います」

「それと同じで、今地球が脱皮しようとしてるから宇宙人は見に来てるんだって。 
脱皮したら宇宙人が実は沢山地球にいるのが解るはずだって」  

「なんで視えないのですか?」

「まず、半霊半物質という事。 動きが速すぎて今の地球人の目には映らないですって」  

「ふ~~ん」 

「ショウタロウくんまだある?」 

「半霊半物質って何次元ですか?」  

「四.五次元ですって」

「SFのような地球侵略ってあるんですか?」

「私の知る限り邪悪な宇宙人はいませんって」

「名前や性別はあるんですか?」 

「名前も性別も必要ありません。 そこが超越した存在の宇宙人と人間との違いだって」 

「解りました」

「はい、ショウタくんもういいの?」 

「はい結構です。ありがとうございます」

「僕、ミルキーさんにお目に掛かりたかったよう」

「君の意識を変えれたらばっちりよ。 制限を外してね。 中ほど・中ほど」

「え~と、ミルキーさんからはなにかある?」

「ショウタくんは七という数字に縁があるから今後大切にしてねってそういってるよ」 

「七ですか…… ありがとうございます」

「ねえミルキーさん、明日なんだけど私に半日でいいから私に付き合わない?」 

「どこにダニ?」 

「円山動物園よ」 

「動物園行くダニ」


京子とミルキーは動物園にやってきた。

「さあ、ここが動物園よ。 動物の意識をいろいろ教えてね」 

「ダニダニ」  

「ここが鳥、猛禽類。 意識を視てほしいの」  

「大ワシやオジロわしか。 この意識はね、基本捕食だけど風を読むのが好きダニ。 
目に見えるのは小動物のオーラと同じ仲間のオーラ。 
同類の雌と雄の違いはオーラで瞬時に見分けるダニ。 
普段はのんびりした意識ダニ。 お腹が空くとあの目が役に立つダニ。
でもカラスがよくバカにしてるダニよ。 カラスって力は下でも意識は上ダニ」  

「ねえ、カラスって世界中に生息してて悪賢いでしょ? 何故なの?」 

「カラスの賢さは持って生まれた才能ダニ。 生物の意識が形で視えるダニ。 
そしてそれを認識してるダニ。 だから死に逝く生物は目で判断出来るダニ。 
だいたい当たってるダニ。 鳥類の中では意識は上。 私たちコロポックルに
肉体があったら全員カラスにやられて絶滅してるダニ」

「草食動物はどう?」 

「ひたすら食べることを考えてるダニ。 野心が無いから発展性もないダニ。 
性格も穏やかで地を這う安定感ダニ。 動物園のライオン・虎・チーターなどの猛獣たちは
意識的には草食に近いダニ。 ここの暮らしが長いからかな? 
野生の意識を外に向けなくても食べていけるからダニ」

「猿はどう?」 

「猿はチンパンジーのオーラが人間に一番近いダニね。 
ミルキーも初めてダニこんな賢い動物は…… 
京子さんチョット自由にしていいダニか?」  

「思う存分どうぞ」 

ミルキーはオリに近づいたその瞬間何かを察したチンパンジーは挙動不審になった。 
ミルキーはチンパンジーの横にいた。 次の瞬間、一匹のチンパンジーに重なった。 
京子の方を向いて手を振り始めた。 京子も手を振り返していた。 
そして手振りで京子とミルチンパンは会話をしていた。 
遠くでその様子を見ていた飼育員が京子に寄ってきた。 

「あのうお客さん、ちょっといいですか?」 

「……はい?」いきなりだったので京子もびっくりした。 

「お客さんこのチンパンジーはノアって言うんですが、
何かコンタクトを取ってませんでしたか?」 

京子はマズイと思った。 

「あっあのチンパンの真似をしてみたんです 。可愛いですよね……」とやりすごした。 

ミルキーが戻ってきた。 

「チンパンジーって今まで知ってる動物の中で一番賢いダニ。 
ああやってても次の行動を考えているダニ。 
ボスに対しての信頼感もしっかりしてるダニ。 
あのチンパンジーは人間を観察するのが好きみたいで特に子供がお気に入りのようダニ」 

「私も今度やってみよっと…… さっ、次は爬虫類館に行こうか?」  

「ヘビは温度に反応するダニ。 小動物の体温とオーラの色と体臭を感知するダニよ。 
皮膚全体で感知出来るダニ。 だからいつも新鮮な皮に取替えるダニ。 
乾燥が嫌いダニ。  
この類の動物はみんな乾燥が嫌いダニ」 

「ミルキーさんありがとうね。 おかげでとっても楽しかった」

「京子さん、さっきから気になっている事あるダニ」 

「何?」  

「この辺に龍がいるダニ? 龍の気配がするダニ。 
龍は私たちと同じ世界にいるダニ。 自然を司る力があるダニよ」 

「そうだ、この山の辺りは結構龍神さんを奉ってるわよ。 
ミルキーさん感じるんだ? 出たら教えてね」 

ミルキーがすでに京子の左後ろ上空を指さしていた。  

京子が振り返った。 その方向に白い五十メートルくらいの大きな龍が浮かんでいた。 
龍の視線は京子を観ていた。

京子と目があった。 さすがの京子もあまりの威厳さに身動き出来ないで立ちすくんだ。 
ミルキーは手を振って挨拶しに龍に向かって飛んでいった。 
京子は貴重な体験に心震わせていた。  

ミルキーが戻ってきて「京子さん、龍が宜しくいってたダニ」 

「ミルキーさんは龍となにか話したの?」

「初めましての挨拶と動物園のチンパンジーの話しを少したダニ」  

「ミルキーさんも人間っぽいね。 全般的に動物園どうだった?」 

「はい、捕食という意識がなくて、みんな寝てるようなのんびりした感じがした。 
全般に飼い犬や猫などのペットみたいで、野生動物とおおきく違うダニね」

「なるほどね…… 今日は龍にも会えて貴重な体験をさせてもらいました。 
みんなにも今日の体験を話すね、本当にありがとう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【短編版】神獣連れの契約妃※連載版は作品一覧をご覧ください※

ファンタジー
*連載版を始めております。作品一覧をご覧ください。続きをと多くお声かけいただきありがとうございました。 神獣ヴァレンの守護を受けるロザリアは、幼い頃にその加護を期待され、王家に買い取られて王子の婚約者となった。しかし、やがて王子の従妹である公爵令嬢から嫌がらせが始まる。主の資質がないとメイドを取り上げられ、将来の王妃だからと仕事を押し付けられ、一方で公爵令嬢がまるで婚約者であるかのようにふるまう、そんな日々をヴァレンと共にたくましく耐え抜いてきた。 そんなロザリアに王子が告げたのは、「君との婚約では加護を感じなかったが、公爵令嬢が神獣の守護を受けると判明したので、彼女と結婚する」という無情な宣告だった。

僕と精霊

一般人
ファンタジー
 ある戦争から100年、魔法と科学は別々の道を歩みながらも共に発展したこの世界。  ジャン・バーン(15歳)は魔法学校通う普通の高校生。    魔法学校でジャンは様々な人や精霊と巡り会い心を成長させる。  初めて書いた小説なので、誤字や日本語がおかしい文があると思いますので、遠慮なくご指摘ください。 ご質問や感想、ご自由にどうぞ

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...