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9「ピリカと佐伯」
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9「ピリカと佐伯」
ピリカはその後、鎌倉見物を二日間楽しんだ。 今日は横浜中華街と元町辺りに行こうと東横線の横浜で降りた。 ここは渋谷や新宿と雰囲気が違う…… 私はファッションのことよく知らないけどこの違いはわかる。
なんだろう?
山下公園で港を眺めながら潮の香りを感じていると、一羽のスズメが羽を引きずりながら歩いているのがピリカの目に入った。
まわりの人に気を遣いながらそのスズメに声を掛けた。
「あなたどうしたの? 羽が痛むの?」
「えっ、……? 人間さん話し出来るの?」
「えぇ……」
「昨日、トンビに襲われたの、なんとか逃げた。 でも羽が思うように動かない」
目を凝らして見てみると翼の関節に不具合が診てとれる。
「調子悪いのは左の羽ね、わたし触れてもいいですか?」
「どうする気?」
「もしかしたら痛みが取れるかもしれない……」
「でも…… 人間はチョット」
「それはあなたの自由だけど、そんな状態でトンビや猫に襲われでもしたら、もっと大変なことになるよ。 痛いならこちらにおいで!」多少強い口調でいった。
スズメは恐る恐る近寄ってきた。
「ど~れ?」
軽く触れた。 あっ、折れてるどうしよう? 骨折は初めての経験。 ヤバッ、これチョット大ごとかも?
「ルー、どうしたらいい? 教えてちょうだい」
「いつもと同じ」
「ってことは? よし……」
ピリカはスズメの小さな羽に手を当てた。
スズメは少しのあいだジッとしていたが「あっ、痛いのが治まってきた」
集中力が途切れそうになった。
「ごめん、少し黙ってくれる?」
「あっ、羽、ちゃんと動く…… なんで?…… どうして?……」
「あんた、すこし静かにしなさいな!」
「怒ってますか?」
「怒ってませんから少し黙って」
「怒ってる、怒ってる」
「あのねっ! 止めようか?」
「ごめんなさい…」
「はい、終り! でも完全に治るまでまだ時間がかかるから、無理して遠くまで飛んじゃ駄目」
「ありがとう……」
「翼を大事にしてね」
スズメは木の枝に心配そうに待ってる仲間と合流した。
しばらく公園を散歩していると又、スズメが一羽近寄ってきた。
「今度はどうしましたか?」
「あのう~」
「おや? さっきのスズメさんと違う…… どうしました?」
「さっきやってたこと私の子供にもやってほしい……」
「えっ? いいけど、私は飛べないからここに連れてこられますか?」
「……」母スズメは黙った。
「子供さんはどこにいますか?」
「あの山の方です」
「まいったねぇ……」遠くにある山を眺めた。
その時「ルー、お願い」ピリカは念じた。
「ベンチに座る」
ベンチに座る? とりあえず空いてるベンチを見つけて腰をかけた。 母スズメはその後をついてきた。
ルーが「眼を閉じ母親に触って子供を念ずる」
「お母さん、こっちに来て子供さんを思ってちょうだい」
「母親を通じて意識だけ子供の所に飛んで手を当てる」
ピリカはルーの言われるまま従った。 次の瞬間、巣が視え小スズメと思われる鳥が確認できた。 ピリカの意識体は小スズメに手を当てた。 しばらくしてその小スズメが元気になってくるのがわかった。 集中が途切れたところで意識が戻った。
「お母さん、直ぐに子供の所に戻ってください」
母スズメは空に飛んで姿が見えなくなった。 ピリカはそのまま中華街に向って歩き出した。
中華街を見学して遅めの昼食を済ませ、また山下公園で海を眺めていると突然知らない男性に声をかけられた。
「すみません」
ピリカは声のする方に目をやった。 そこにはギターを抱えたレゲー風の髪型をしたおじさんが
立っていた。
「はい?」
「観ましたよ」
「えっ、何を?」
「午前中、あなたが二回もスズメとなにかしてるのを……」
ピリカとスズメのやり取りをこの青年に見られていたのだった。 なにかしてる? ということはスズメとの会話の内容はわからないのかも。
咄嗟に出たことばが「ええ私、スズメ好きなんです」
「それだけですか?」
「それだけですけど……?」
「野生のスズメに手を触れてましたよね?」
マズイ……!
「フフ! 知ってますよ」
「なにがですか? あなた、なん、なんですか?」少し苛つき気味な演技をみせた。
「あれは、まさに会話ですよね?」
「あのねっ、鳥と会話なんて馬鹿げてます。 失礼します!」
そう言い放ち足早に公園から立ち去った。
自分の軽はずみな行為を反省した。 でもせっかく来たんだから、気を取り直してショッピングしようと思い元町方面に戻った。 小一時間ほど買物をしながら歩いていると何処からか男性の歌声が聞こえてきた。 歌い手の顔は影になっていて見えないが、歌詞は聴き取れた。
歌詞の内容を聴いて思わずピリカは足を止めた。 その歌詞の内容は……
♪スズメさんどうしたの?♪
♪羽痛むの? えっ、あなたスズメと話が出来るの♪
♪はい♪
♪昨日トンビに襲われたの♪
♪何とか逃げたけど羽が思うように動かないの♪
♪調子悪いのは左の羽ね。 私、触っても良いですか? ♪
♪どうする気ですか? ♪
♪痛みを取ってあげられるかもしれない♪
♪でも人間さんはチョット♪
♪そんな状態でトンビさんや猫さんに襲われでもしたら今度は大変♪
♪痛いならこっちおいで、私が癒してあげる♪」
ピリカは驚愕した。 午前中のスズメとのやり取りをそのまま歌詩にしてうたっていた。 あの人、わかってたんだ……このままここを立ち去ろうか? それとも、声を掛けようか? 迷っていた。
えい、これも旅の醍醐味。 ピリカは意を決し前に出ていった。 男も気が付いたらしくピリカにアイコンタクトしてきた。 歌い終わりレゲー風男はギターを置いた。
「やぁ、どうも……」
「どうも、わかってたんですね」
「うん、君の後ろを通りかかったら、会話が聞こえたのでついついみてしまった。 君の能力に驚いたよ。 僕も動物の言ってることは少し理解できるけど、君のように痛んだ羽を癒したり出来ない。その能力には驚いた。 あっ、僕は佐伯っていいます」
「私はピリカです」
「ピリカさんは東京の人?」
「違います。 札幌から夏休みを利用して旅行で来てるの」
「学生さんなんだ。こう見えても僕も同じ学生」
「はぁ? えっ! どう見ても三十歳前後にしか…… あっ、ごめんなさい」
「いえ、いつもいわれてることだから馴れてます」
ピリカは思った「どう見ても、あんたはとっつぁんです」と思ったがいうのを我慢した。 が目は柿の種のような形で笑っていた。
「ピリカさんはそれ以外にもなにか能力あるの?」
「いえ動物と会話できるだけです」
「いつごろから?」
「子供の時から気が付いたら」
「佐伯さんは?」
「去年ぐらいから徐々に」
「なんで歌ってるの? 歌手志望ですか?」
「いろんな人と出会ってみたくて、歌は趣味でやってます」
「そっか、で、楽しい?」
「結構ハマってます」
「頑張って下さいね、北の空から応援してます」
「もう行っちゃうの?」
「渋谷で約束があるから。 もうそろそろ行きます」
「せっかく話し相手が出来たと思ったのに残念だな…… 渋谷のそれ断れないの?」
「チョット無理です」私の断り文句ぐらい察してよね……内心思った。
「いつか札幌でも歌って下さい。 その時は是非ゆっくり聴かせて下さい」
別れを告げ渋谷に向った。 東横線の車窓から夕暮れの景色を眺め思った。 やっぱ、こっちは大都市……不思議な人がいる。 そして数日後帰路に着いた。
札幌に戻ったその足で倶知安の実家にお土産を抱え帰省した。
「モモただいま、ミロもユメもただいま」
「ピリカお帰り」モモが暑そうに言った。
ユメが眠そうに「ピリカお姉ちゃんお帰り」
「おや、ミロは? お出かけ?」
「ミロはミミ母さんと出かけた」
「そう、じゃあモモとユメにおやつどうぞ。 ハイ」
小屋の前におやつを置いて家に入った。
「ただいま~」
「おや、お帰り。 どうだった? ひとり旅……」
「うん、楽しかった~! 人が多いのを除けば」
「な~にいってるの。そんなこと初めからわかってるでしょ」
「うん、のんびり関東と関西を満喫したよ。 ハイ、これ鎌倉の鳩サブレ」
「ありがとう」
「ミミもミロも居ないようだけど元気なの?」
「元気良すぎ。 あの二匹は似たもの親子なの、朝から晩までフラフラ遊び廻ってるよ。 それに引き替え、ユメはどういう訳か犬のモモに似てるのよ。 人間でいう育ての親似ってな具合」
「ミミは相変わらずか……」
その夜、父親に旅の報告をし、二日後には札幌に戻った。
札幌の町は青く澄んだ空がここちいい季節となった。 そんなある日、午前中で授業が終り、友人の久美と大通り公園を歩いている時だった。 久美が出で立ちの変わった男を目にした。
久美が「あの男の人、なんかやばくない?」
久美の視線の先を見てピリカは目を疑った。 そして小さな声でピリカは言った。
「見なかったことにして、早く行こう久美! 悪いけど、私をあの人の視界から見えないようにしてくれる!」
久美は理由を聞かずに黙って従った。
「ピリカ、どうしたの?」大抵のことでは動揺しないピリカを知っているだけに久美は驚いた。
「シッ! あとで話すから」
そういいながら二人はその場を通り過ぎ、近くにあった喫茶店に逃げ込むように入り、コーヒーを注文した。
「さっきはゴメンね。夏に旅行した時、横浜で声を掛けられた人なの」
「えっ、あのオッサンに?」
「そう、あのオッサンに、なんか面倒くさそうなタイプだったから断り文句で『今度、札幌に遊びに来て下さい』って言ったの。 そしたら今、大通り公園にいるんだもの焦ったよ」
「なんでそんなこと言ったの?」
「だって、まさか札幌に来ると思わないもん」
「そっかあ~ それもそうよね、とりあえず無視しよう。 いくら狭い街だって外出しなければいいジャン。 ところで大学名を言ったの?」
「言ってない。 あっ……でも、獣医学部って言ったかも……?」
「あらら、獣医学部っていっちゃったの? 獣医学部はうちと酪農大しか無いでしょが」
「久美どうしよう」自分の言動のミスを悔やんだ。
「でも、ピリカに会いに来た訳じゃないかもしれないし分かんないよ」気休めにと考えた言葉である。
それから二日経った昼間、同級生の佐々木が「ピリカ、つい、さっき面会の人来たよ」
「面会?」内心嫌な予感がした。
恐る恐る「どんな人だった?」
「髪がレゲエ風な感じのオッサンだった」
「来た~! で、なんて言ったの?」
「外出中だからそのうち戻ると思いますっていったけど、ダメだった?」
「あっ、ありがとう」
ピリカは帰り支度を始め「ごめん、私、今日はこれで帰るから、その人が来たら気分悪くて帰宅たって言ってほしいの…… お願い!」
佐々木が「ピリカ、その人どうかしたの? ストーカーかなにか?」
「いや、そんなんじゃない。 横浜で少し立ち話しただけ。 立ち去ろうとしたらもう少し話そうって言われたのね、でもその気無いから断り文句で『時間がないので、いつか是非札幌に遊びに来て下さい』っていったのよ」
「そっかぁ、そんなこと言ったの?」
「まさか札幌に来ると思ってなかったから、その時札幌の大学生で獣医学専攻って言ってしまったのね」
佐々木は宙を見ながら「ピリカって平和ボケしてるんだから……わかった。 適当にあしらっておくから早く帰って途中気をつけるのよ」
ピリカは裏玄関からそっと飛び出し、正面玄関を避け、業者用出入り口に向おうとした瞬間だった。
後ろから「ピ~リカさん」
ピリカは恐る恐る振り返った。 そこには親しげに笑顔を振りまくあの男の顔があった。
「あら! 佐伯さん……でしたよね? こんな処でどうしたんですか?」精一杯の演技だった。
「遊びに来たよ!」
「そうですか。いい季節に来ましたね楽しんで下さい」
「ああ、楽しむよ。それはそうと君に話があって来たんだけど……」
「はい? この私に?」こいつはなにか企んでいると思った。
「こんな処じゃなんだから、コーヒーでも飲みながらどう?」
「う~ん、そんなに時間無いけどいい?」ピリカは時計を見ながら忙しそうな演技をした。
「うん、かまわないよ」
二人は大学構内にあるカフェに入り向き合って座った。
「話しって何ですか?」少しつっけんどんな言い方をした。
「僕、考えたんだけど、君と友達になりたいんだ」
コーヒーを飲む手を止め「そんなことでわざわざ、この札幌まで来たんですか?」
「駄目なの?」
「駄目って」それ以上の言葉が出てこなかった。
「僕さぁ、動物の声が聞こえる能力を持てあましてた。 というかこんな能力が嫌だった。 以前に他人に話したら、すっかり変人扱いされだんだん。 友達も、僕の前から去っていく。 そんな時君を見かけたんだ。 衝撃的だった。 僕以外にも同じ能力を持った人間がいるんだ。 そう思ったら内心ホッとしたんだ。 そしてもっとたくさん話したかった。 横浜で話が全然出来なかった事を悔やんでた。 何日も何日も…… 気が付いたら飛行機のチケットを予約し札幌に来ていたっていうわけ。 ごめん、迷惑ならこのまま横浜に帰るけど……」
言い終えた佐伯はピリカの顔色をうかがった。 危険性が無いとピリカは判断した。
「わかりました。私で良ければお友達になりましょう」
二人は再会の握手を交わした。
「改めまして、ようこそ札幌へ!」
「久しぶりですピリカさん!」
「横浜では失礼しました。 私、人見知りなのでつい……」
「気にしないで下さい。 それよりピリカさんの能力の話しをしてくれませんか?」
ピリカは動物との会話や龍の話。 パラレルワールドの世界。 霊能者Fさんとの経緯など一気に喋りまくった。 ピリカも不思議な世界の事を話せる相手が今までいなかったので、溢れ出る湯水のごとく話し続けた。
「面白い! 僕、札幌に来てよかった。 本当にそんな世界があるんだ…… ピリカさんの話わかる。 なによりもピリカさんの体験は僕の体験なんかよりはるかに凄いよ。 下手な新興宗教の教祖より真実かもしれない」
「真実かどうか、私にはわからない。 けど、確かに私が経験した事だけどそれが真実かどうか、もしかして私の錯覚かな? とか誰かに相談したくても相談する相手がいないの」
心なしか寂しげな表情をするピリカ。
「そっか、昔でいう査神(サニワ)っていうやつだね?」
「査神? なにそれ……?」
「よく、私には高級霊が憑いているとかって本人はいうけれど、それが本当に高い世界の存在か、又は邪霊の仕業かどうかっていう、審査をする人のことをサニワっていうんだよ……」
「何処に行ったらサニワしてもらえるの?」
「そこが問題なんだ」
「問題って、どういう事?」
「そのサニワが信頼できるかどうかっていうこと」
「なにそれ? 面倒くさそう」
「うん、やっぱり自分次第ってことかな」
「最後はそうなるのか……」ピリカはサニワをしてほしいと本当に望んだ。
「もう、そろそろ僕は帰るよ。 そんなにのんびりしてられないんだ。 そろそろ学校に行かないとね。 バイトもあるし貧乏暇無しってやつ。 また横浜に来ることがあったら連絡ちょうだい。 これ僕のメルアド。 本当に楽しかったどうもありがとう」
「今日帰るの?」
「うん、君に会えて札幌に来た目的が成就したからこれでもう帰る」
「せっかく会えたのに……」さっきまでのピリカとは態度が変わっていた。 ピリカにも理由がよくわからない。
「だって、ピリカさんは用事があるんだろう?」
「いいの、予定変更してもらうから。 もう一泊していかない? ススキノでジンギスカンでも食べてビールでも飲みませんか? ご馳走しますから」
「いいけど、酒飲むにはまだ早いよ」
「そうだ……動物園行きません? そこから直通のバス出てるんです」
「うん決めた! 行こう!」
二人は動物園に入った。 ゲートを入り、いきなりオオワシが話しかけてきた。
「ピリカ、久しぶり! もう私のこと忘れたかと思った」
「そんなことありません。 忙しかったの……」
「そうかい。 隣の男の人は誰?」
「僕は佐伯でピリカさんの友達です」
「あれ、あんたも話し出来るのかい?」
「ハイ、少しだけですけど」
「よろしく」
それから三〇分ほど歩きチンパンジー館に二人は入った。 ピリカを見つけたチンパンジーのボスが駆け寄ってきた。
「おうピリカ、久しぶり!」
ピリカが「この夏は暑かったですね」
「うん、今年は暑かった。 で、そいつ誰?」
「私の友達」
「そのオスは強いのか?」
「あのね、あんた達と違うの。 強い弱いは関係ないの」
やりとりを聞いていた佐伯は思わず笑ってしまった。
ボスが「ピリカ、そのオスわかるのか?」
佐伯が「僕はピリカの友達」
「……話をした! ピリカこの男話したぞ!」
「そう、私と同じ能力があるの」
「そうなのか? 他にも話せる人いたんだ! 今度、俺と決闘しようか?」
「あのねぇ!」ピリカがそのチンパンジーに睨みをきかせた。
ボスが「嘘だよ、よろしくな……」
「ピリカさんはよくここに来るのかい?」
「年に三回は来ます。 たまに来るとさっきみたいに動物が話しかけてくるから、他の客はその様子を観て怪訝な顔をするの。 だから普段はあまり来ません。 でも、落ち込んだ時とかは必ずここに来るの。 動物たちと話すと元気が出るの」
「それはいえるね。 僕は港に向ってカモメと話す事が多いよ。 基本、動物は補食の事が多いけどカモメのジョナサンみたいのがいたら話してみたいと思うけどやっぱりいないね……」
翌日二人は再会を約束し札幌駅で別れた。
ピリカはその後、鎌倉見物を二日間楽しんだ。 今日は横浜中華街と元町辺りに行こうと東横線の横浜で降りた。 ここは渋谷や新宿と雰囲気が違う…… 私はファッションのことよく知らないけどこの違いはわかる。
なんだろう?
山下公園で港を眺めながら潮の香りを感じていると、一羽のスズメが羽を引きずりながら歩いているのがピリカの目に入った。
まわりの人に気を遣いながらそのスズメに声を掛けた。
「あなたどうしたの? 羽が痛むの?」
「えっ、……? 人間さん話し出来るの?」
「えぇ……」
「昨日、トンビに襲われたの、なんとか逃げた。 でも羽が思うように動かない」
目を凝らして見てみると翼の関節に不具合が診てとれる。
「調子悪いのは左の羽ね、わたし触れてもいいですか?」
「どうする気?」
「もしかしたら痛みが取れるかもしれない……」
「でも…… 人間はチョット」
「それはあなたの自由だけど、そんな状態でトンビや猫に襲われでもしたら、もっと大変なことになるよ。 痛いならこちらにおいで!」多少強い口調でいった。
スズメは恐る恐る近寄ってきた。
「ど~れ?」
軽く触れた。 あっ、折れてるどうしよう? 骨折は初めての経験。 ヤバッ、これチョット大ごとかも?
「ルー、どうしたらいい? 教えてちょうだい」
「いつもと同じ」
「ってことは? よし……」
ピリカはスズメの小さな羽に手を当てた。
スズメは少しのあいだジッとしていたが「あっ、痛いのが治まってきた」
集中力が途切れそうになった。
「ごめん、少し黙ってくれる?」
「あっ、羽、ちゃんと動く…… なんで?…… どうして?……」
「あんた、すこし静かにしなさいな!」
「怒ってますか?」
「怒ってませんから少し黙って」
「怒ってる、怒ってる」
「あのねっ! 止めようか?」
「ごめんなさい…」
「はい、終り! でも完全に治るまでまだ時間がかかるから、無理して遠くまで飛んじゃ駄目」
「ありがとう……」
「翼を大事にしてね」
スズメは木の枝に心配そうに待ってる仲間と合流した。
しばらく公園を散歩していると又、スズメが一羽近寄ってきた。
「今度はどうしましたか?」
「あのう~」
「おや? さっきのスズメさんと違う…… どうしました?」
「さっきやってたこと私の子供にもやってほしい……」
「えっ? いいけど、私は飛べないからここに連れてこられますか?」
「……」母スズメは黙った。
「子供さんはどこにいますか?」
「あの山の方です」
「まいったねぇ……」遠くにある山を眺めた。
その時「ルー、お願い」ピリカは念じた。
「ベンチに座る」
ベンチに座る? とりあえず空いてるベンチを見つけて腰をかけた。 母スズメはその後をついてきた。
ルーが「眼を閉じ母親に触って子供を念ずる」
「お母さん、こっちに来て子供さんを思ってちょうだい」
「母親を通じて意識だけ子供の所に飛んで手を当てる」
ピリカはルーの言われるまま従った。 次の瞬間、巣が視え小スズメと思われる鳥が確認できた。 ピリカの意識体は小スズメに手を当てた。 しばらくしてその小スズメが元気になってくるのがわかった。 集中が途切れたところで意識が戻った。
「お母さん、直ぐに子供の所に戻ってください」
母スズメは空に飛んで姿が見えなくなった。 ピリカはそのまま中華街に向って歩き出した。
中華街を見学して遅めの昼食を済ませ、また山下公園で海を眺めていると突然知らない男性に声をかけられた。
「すみません」
ピリカは声のする方に目をやった。 そこにはギターを抱えたレゲー風の髪型をしたおじさんが
立っていた。
「はい?」
「観ましたよ」
「えっ、何を?」
「午前中、あなたが二回もスズメとなにかしてるのを……」
ピリカとスズメのやり取りをこの青年に見られていたのだった。 なにかしてる? ということはスズメとの会話の内容はわからないのかも。
咄嗟に出たことばが「ええ私、スズメ好きなんです」
「それだけですか?」
「それだけですけど……?」
「野生のスズメに手を触れてましたよね?」
マズイ……!
「フフ! 知ってますよ」
「なにがですか? あなた、なん、なんですか?」少し苛つき気味な演技をみせた。
「あれは、まさに会話ですよね?」
「あのねっ、鳥と会話なんて馬鹿げてます。 失礼します!」
そう言い放ち足早に公園から立ち去った。
自分の軽はずみな行為を反省した。 でもせっかく来たんだから、気を取り直してショッピングしようと思い元町方面に戻った。 小一時間ほど買物をしながら歩いていると何処からか男性の歌声が聞こえてきた。 歌い手の顔は影になっていて見えないが、歌詞は聴き取れた。
歌詞の内容を聴いて思わずピリカは足を止めた。 その歌詞の内容は……
♪スズメさんどうしたの?♪
♪羽痛むの? えっ、あなたスズメと話が出来るの♪
♪はい♪
♪昨日トンビに襲われたの♪
♪何とか逃げたけど羽が思うように動かないの♪
♪調子悪いのは左の羽ね。 私、触っても良いですか? ♪
♪どうする気ですか? ♪
♪痛みを取ってあげられるかもしれない♪
♪でも人間さんはチョット♪
♪そんな状態でトンビさんや猫さんに襲われでもしたら今度は大変♪
♪痛いならこっちおいで、私が癒してあげる♪」
ピリカは驚愕した。 午前中のスズメとのやり取りをそのまま歌詩にしてうたっていた。 あの人、わかってたんだ……このままここを立ち去ろうか? それとも、声を掛けようか? 迷っていた。
えい、これも旅の醍醐味。 ピリカは意を決し前に出ていった。 男も気が付いたらしくピリカにアイコンタクトしてきた。 歌い終わりレゲー風男はギターを置いた。
「やぁ、どうも……」
「どうも、わかってたんですね」
「うん、君の後ろを通りかかったら、会話が聞こえたのでついついみてしまった。 君の能力に驚いたよ。 僕も動物の言ってることは少し理解できるけど、君のように痛んだ羽を癒したり出来ない。その能力には驚いた。 あっ、僕は佐伯っていいます」
「私はピリカです」
「ピリカさんは東京の人?」
「違います。 札幌から夏休みを利用して旅行で来てるの」
「学生さんなんだ。こう見えても僕も同じ学生」
「はぁ? えっ! どう見ても三十歳前後にしか…… あっ、ごめんなさい」
「いえ、いつもいわれてることだから馴れてます」
ピリカは思った「どう見ても、あんたはとっつぁんです」と思ったがいうのを我慢した。 が目は柿の種のような形で笑っていた。
「ピリカさんはそれ以外にもなにか能力あるの?」
「いえ動物と会話できるだけです」
「いつごろから?」
「子供の時から気が付いたら」
「佐伯さんは?」
「去年ぐらいから徐々に」
「なんで歌ってるの? 歌手志望ですか?」
「いろんな人と出会ってみたくて、歌は趣味でやってます」
「そっか、で、楽しい?」
「結構ハマってます」
「頑張って下さいね、北の空から応援してます」
「もう行っちゃうの?」
「渋谷で約束があるから。 もうそろそろ行きます」
「せっかく話し相手が出来たと思ったのに残念だな…… 渋谷のそれ断れないの?」
「チョット無理です」私の断り文句ぐらい察してよね……内心思った。
「いつか札幌でも歌って下さい。 その時は是非ゆっくり聴かせて下さい」
別れを告げ渋谷に向った。 東横線の車窓から夕暮れの景色を眺め思った。 やっぱ、こっちは大都市……不思議な人がいる。 そして数日後帰路に着いた。
札幌に戻ったその足で倶知安の実家にお土産を抱え帰省した。
「モモただいま、ミロもユメもただいま」
「ピリカお帰り」モモが暑そうに言った。
ユメが眠そうに「ピリカお姉ちゃんお帰り」
「おや、ミロは? お出かけ?」
「ミロはミミ母さんと出かけた」
「そう、じゃあモモとユメにおやつどうぞ。 ハイ」
小屋の前におやつを置いて家に入った。
「ただいま~」
「おや、お帰り。 どうだった? ひとり旅……」
「うん、楽しかった~! 人が多いのを除けば」
「な~にいってるの。そんなこと初めからわかってるでしょ」
「うん、のんびり関東と関西を満喫したよ。 ハイ、これ鎌倉の鳩サブレ」
「ありがとう」
「ミミもミロも居ないようだけど元気なの?」
「元気良すぎ。 あの二匹は似たもの親子なの、朝から晩までフラフラ遊び廻ってるよ。 それに引き替え、ユメはどういう訳か犬のモモに似てるのよ。 人間でいう育ての親似ってな具合」
「ミミは相変わらずか……」
その夜、父親に旅の報告をし、二日後には札幌に戻った。
札幌の町は青く澄んだ空がここちいい季節となった。 そんなある日、午前中で授業が終り、友人の久美と大通り公園を歩いている時だった。 久美が出で立ちの変わった男を目にした。
久美が「あの男の人、なんかやばくない?」
久美の視線の先を見てピリカは目を疑った。 そして小さな声でピリカは言った。
「見なかったことにして、早く行こう久美! 悪いけど、私をあの人の視界から見えないようにしてくれる!」
久美は理由を聞かずに黙って従った。
「ピリカ、どうしたの?」大抵のことでは動揺しないピリカを知っているだけに久美は驚いた。
「シッ! あとで話すから」
そういいながら二人はその場を通り過ぎ、近くにあった喫茶店に逃げ込むように入り、コーヒーを注文した。
「さっきはゴメンね。夏に旅行した時、横浜で声を掛けられた人なの」
「えっ、あのオッサンに?」
「そう、あのオッサンに、なんか面倒くさそうなタイプだったから断り文句で『今度、札幌に遊びに来て下さい』って言ったの。 そしたら今、大通り公園にいるんだもの焦ったよ」
「なんでそんなこと言ったの?」
「だって、まさか札幌に来ると思わないもん」
「そっかあ~ それもそうよね、とりあえず無視しよう。 いくら狭い街だって外出しなければいいジャン。 ところで大学名を言ったの?」
「言ってない。 あっ……でも、獣医学部って言ったかも……?」
「あらら、獣医学部っていっちゃったの? 獣医学部はうちと酪農大しか無いでしょが」
「久美どうしよう」自分の言動のミスを悔やんだ。
「でも、ピリカに会いに来た訳じゃないかもしれないし分かんないよ」気休めにと考えた言葉である。
それから二日経った昼間、同級生の佐々木が「ピリカ、つい、さっき面会の人来たよ」
「面会?」内心嫌な予感がした。
恐る恐る「どんな人だった?」
「髪がレゲエ風な感じのオッサンだった」
「来た~! で、なんて言ったの?」
「外出中だからそのうち戻ると思いますっていったけど、ダメだった?」
「あっ、ありがとう」
ピリカは帰り支度を始め「ごめん、私、今日はこれで帰るから、その人が来たら気分悪くて帰宅たって言ってほしいの…… お願い!」
佐々木が「ピリカ、その人どうかしたの? ストーカーかなにか?」
「いや、そんなんじゃない。 横浜で少し立ち話しただけ。 立ち去ろうとしたらもう少し話そうって言われたのね、でもその気無いから断り文句で『時間がないので、いつか是非札幌に遊びに来て下さい』っていったのよ」
「そっかぁ、そんなこと言ったの?」
「まさか札幌に来ると思ってなかったから、その時札幌の大学生で獣医学専攻って言ってしまったのね」
佐々木は宙を見ながら「ピリカって平和ボケしてるんだから……わかった。 適当にあしらっておくから早く帰って途中気をつけるのよ」
ピリカは裏玄関からそっと飛び出し、正面玄関を避け、業者用出入り口に向おうとした瞬間だった。
後ろから「ピ~リカさん」
ピリカは恐る恐る振り返った。 そこには親しげに笑顔を振りまくあの男の顔があった。
「あら! 佐伯さん……でしたよね? こんな処でどうしたんですか?」精一杯の演技だった。
「遊びに来たよ!」
「そうですか。いい季節に来ましたね楽しんで下さい」
「ああ、楽しむよ。それはそうと君に話があって来たんだけど……」
「はい? この私に?」こいつはなにか企んでいると思った。
「こんな処じゃなんだから、コーヒーでも飲みながらどう?」
「う~ん、そんなに時間無いけどいい?」ピリカは時計を見ながら忙しそうな演技をした。
「うん、かまわないよ」
二人は大学構内にあるカフェに入り向き合って座った。
「話しって何ですか?」少しつっけんどんな言い方をした。
「僕、考えたんだけど、君と友達になりたいんだ」
コーヒーを飲む手を止め「そんなことでわざわざ、この札幌まで来たんですか?」
「駄目なの?」
「駄目って」それ以上の言葉が出てこなかった。
「僕さぁ、動物の声が聞こえる能力を持てあましてた。 というかこんな能力が嫌だった。 以前に他人に話したら、すっかり変人扱いされだんだん。 友達も、僕の前から去っていく。 そんな時君を見かけたんだ。 衝撃的だった。 僕以外にも同じ能力を持った人間がいるんだ。 そう思ったら内心ホッとしたんだ。 そしてもっとたくさん話したかった。 横浜で話が全然出来なかった事を悔やんでた。 何日も何日も…… 気が付いたら飛行機のチケットを予約し札幌に来ていたっていうわけ。 ごめん、迷惑ならこのまま横浜に帰るけど……」
言い終えた佐伯はピリカの顔色をうかがった。 危険性が無いとピリカは判断した。
「わかりました。私で良ければお友達になりましょう」
二人は再会の握手を交わした。
「改めまして、ようこそ札幌へ!」
「久しぶりですピリカさん!」
「横浜では失礼しました。 私、人見知りなのでつい……」
「気にしないで下さい。 それよりピリカさんの能力の話しをしてくれませんか?」
ピリカは動物との会話や龍の話。 パラレルワールドの世界。 霊能者Fさんとの経緯など一気に喋りまくった。 ピリカも不思議な世界の事を話せる相手が今までいなかったので、溢れ出る湯水のごとく話し続けた。
「面白い! 僕、札幌に来てよかった。 本当にそんな世界があるんだ…… ピリカさんの話わかる。 なによりもピリカさんの体験は僕の体験なんかよりはるかに凄いよ。 下手な新興宗教の教祖より真実かもしれない」
「真実かどうか、私にはわからない。 けど、確かに私が経験した事だけどそれが真実かどうか、もしかして私の錯覚かな? とか誰かに相談したくても相談する相手がいないの」
心なしか寂しげな表情をするピリカ。
「そっか、昔でいう査神(サニワ)っていうやつだね?」
「査神? なにそれ……?」
「よく、私には高級霊が憑いているとかって本人はいうけれど、それが本当に高い世界の存在か、又は邪霊の仕業かどうかっていう、審査をする人のことをサニワっていうんだよ……」
「何処に行ったらサニワしてもらえるの?」
「そこが問題なんだ」
「問題って、どういう事?」
「そのサニワが信頼できるかどうかっていうこと」
「なにそれ? 面倒くさそう」
「うん、やっぱり自分次第ってことかな」
「最後はそうなるのか……」ピリカはサニワをしてほしいと本当に望んだ。
「もう、そろそろ僕は帰るよ。 そんなにのんびりしてられないんだ。 そろそろ学校に行かないとね。 バイトもあるし貧乏暇無しってやつ。 また横浜に来ることがあったら連絡ちょうだい。 これ僕のメルアド。 本当に楽しかったどうもありがとう」
「今日帰るの?」
「うん、君に会えて札幌に来た目的が成就したからこれでもう帰る」
「せっかく会えたのに……」さっきまでのピリカとは態度が変わっていた。 ピリカにも理由がよくわからない。
「だって、ピリカさんは用事があるんだろう?」
「いいの、予定変更してもらうから。 もう一泊していかない? ススキノでジンギスカンでも食べてビールでも飲みませんか? ご馳走しますから」
「いいけど、酒飲むにはまだ早いよ」
「そうだ……動物園行きません? そこから直通のバス出てるんです」
「うん決めた! 行こう!」
二人は動物園に入った。 ゲートを入り、いきなりオオワシが話しかけてきた。
「ピリカ、久しぶり! もう私のこと忘れたかと思った」
「そんなことありません。 忙しかったの……」
「そうかい。 隣の男の人は誰?」
「僕は佐伯でピリカさんの友達です」
「あれ、あんたも話し出来るのかい?」
「ハイ、少しだけですけど」
「よろしく」
それから三〇分ほど歩きチンパンジー館に二人は入った。 ピリカを見つけたチンパンジーのボスが駆け寄ってきた。
「おうピリカ、久しぶり!」
ピリカが「この夏は暑かったですね」
「うん、今年は暑かった。 で、そいつ誰?」
「私の友達」
「そのオスは強いのか?」
「あのね、あんた達と違うの。 強い弱いは関係ないの」
やりとりを聞いていた佐伯は思わず笑ってしまった。
ボスが「ピリカ、そのオスわかるのか?」
佐伯が「僕はピリカの友達」
「……話をした! ピリカこの男話したぞ!」
「そう、私と同じ能力があるの」
「そうなのか? 他にも話せる人いたんだ! 今度、俺と決闘しようか?」
「あのねぇ!」ピリカがそのチンパンジーに睨みをきかせた。
ボスが「嘘だよ、よろしくな……」
「ピリカさんはよくここに来るのかい?」
「年に三回は来ます。 たまに来るとさっきみたいに動物が話しかけてくるから、他の客はその様子を観て怪訝な顔をするの。 だから普段はあまり来ません。 でも、落ち込んだ時とかは必ずここに来るの。 動物たちと話すと元気が出るの」
「それはいえるね。 僕は港に向ってカモメと話す事が多いよ。 基本、動物は補食の事が多いけどカモメのジョナサンみたいのがいたら話してみたいと思うけどやっぱりいないね……」
翌日二人は再会を約束し札幌駅で別れた。
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