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はじまりの町 3
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スタンとリッカは、魔物に襲われるような事もなく森を抜け、無事に町の入口へと辿り着く事が出来た。
「ほら、ここがアタシ達の町だよ」
ムスッとした顔で、スタンへと告げるリッカ。
ここまで案内してくれたものの、道中一切しゃべる事もなく、その態度は頑ななままだった。
「ああ、助かったよ。ありがとうな」
苦笑しながらリッカへと礼を言うスタン。
そしてスタンはそのまま、町の様子を眺め始める。
それほど栄えている訳ではなさそうだが、建物などがそこそこ密集しており、一通りの店も揃っているようだ。
また、町の外れの方では、豊かに実っている畑が広がっており、その中でゆっくりと廻っている水車が、のどかな風景を作り出していた。
しかし、そんな風景とは裏腹に、スタンは妙な空気を感じていた。
まだ日が出ているというのに町を歩く人影が少なく、更にはその誰もが、スタンに対して警戒の眼差しを向けてくる。
「この町は、よそ者に厳しいのか?」
「よそ者というか、冒険者に対してだね」
スタンの質問に、リッカが素っ気ない答えを返す。
「何かあったのか?」
だが、続く質問に、リッカが答える事はなかった。
「悪い事は言わないよ。早く用を済ませて、この町を出るんだね」
そう言い残してリッカは、さっさと町の中へと入ってしまう。
「……手厳しいな」
一人残されたスタンは、これからどうするべきかを考え始めた。
当初の予定通りならば、この町の酒場などで情報を集め、仲間と落ち合うべきなのだが、
「どう考えても、面倒な事になりそうだよな……」
町の人々の様子。リッカの態度などから、この町に入れば、厄介な事に巻き込まれる可能性は高そうだった。
とは言え、仲間との連絡手段がない今の状態では、勝手に集合場所を変える訳にもいかない。
下手をすれば、行き違いになった仲間が面倒事に巻き込まれる可能性もある。
「ま、仕方ないよな」
結局スタンは、予定通り町へと入る事にした。
何かあれば、実力で跳ね除ければいいだけだ。
ただ一つ、心配事があるとすれば、
「あとであいつらに文句を言われないかどうかだよな……」
スタンが町の入口で考え事をしていた頃、森の中を一台の馬車が、ガタゴトと進んでいた。
馬車の上に見えるのは二人の少女の姿。
「なぁ、エル? 本当にこの道で合っているのか?」
手綱を操り馬車を進める少女が、隣に座る少女へと質問する。
その頭の上では犬のような耳が、そして腰のあたりでは、ふさふさの毛に包まれた尻尾が、そわそわと左右に揺れていた。
「大丈夫ですよ、セトナさん。この道を行けば、近くの町まで辿り着けるはずです!」
エルと呼ばれた少女が、地図を片手に元気よく答える。
「それならいいんだが……」
多少の不安を覚えながらも、セトナはエルの事を信じ、先を急ぐ事にした。
「早くあいつと合流しないとな」
はぐれた仲間の事を頭へと浮かべつつ、セトナは馬の足を速める。
「そうですよね、師匠の事だから大丈夫だとは思いますけど、やっぱり心配ですもんね」
「べ、別にあいつの心配なんかしていないぞ!」
エルの言葉に動揺した、セトナの尻尾が激しく揺れる。
「ただ……あいつは放っておくと色々と無茶をやるからな」
そう呟いたセトナの横顔は、憂いに満ちていた。
そんなセトナの横顔を、ニコニコと眺めるエル。
「……何だエル? 私の顔に何かついているか?」
「いえいえ、何でもありません」
エルの態度を不思議に思ったセトナだったが、それ以上追及する事はなかった。
仲間の事を心配する二人の少女を乗せ、馬車は森の中を進んで行く。
スタンのいる町とは、反対方向へと向けて……。
「ほら、ここがアタシ達の町だよ」
ムスッとした顔で、スタンへと告げるリッカ。
ここまで案内してくれたものの、道中一切しゃべる事もなく、その態度は頑ななままだった。
「ああ、助かったよ。ありがとうな」
苦笑しながらリッカへと礼を言うスタン。
そしてスタンはそのまま、町の様子を眺め始める。
それほど栄えている訳ではなさそうだが、建物などがそこそこ密集しており、一通りの店も揃っているようだ。
また、町の外れの方では、豊かに実っている畑が広がっており、その中でゆっくりと廻っている水車が、のどかな風景を作り出していた。
しかし、そんな風景とは裏腹に、スタンは妙な空気を感じていた。
まだ日が出ているというのに町を歩く人影が少なく、更にはその誰もが、スタンに対して警戒の眼差しを向けてくる。
「この町は、よそ者に厳しいのか?」
「よそ者というか、冒険者に対してだね」
スタンの質問に、リッカが素っ気ない答えを返す。
「何かあったのか?」
だが、続く質問に、リッカが答える事はなかった。
「悪い事は言わないよ。早く用を済ませて、この町を出るんだね」
そう言い残してリッカは、さっさと町の中へと入ってしまう。
「……手厳しいな」
一人残されたスタンは、これからどうするべきかを考え始めた。
当初の予定通りならば、この町の酒場などで情報を集め、仲間と落ち合うべきなのだが、
「どう考えても、面倒な事になりそうだよな……」
町の人々の様子。リッカの態度などから、この町に入れば、厄介な事に巻き込まれる可能性は高そうだった。
とは言え、仲間との連絡手段がない今の状態では、勝手に集合場所を変える訳にもいかない。
下手をすれば、行き違いになった仲間が面倒事に巻き込まれる可能性もある。
「ま、仕方ないよな」
結局スタンは、予定通り町へと入る事にした。
何かあれば、実力で跳ね除ければいいだけだ。
ただ一つ、心配事があるとすれば、
「あとであいつらに文句を言われないかどうかだよな……」
スタンが町の入口で考え事をしていた頃、森の中を一台の馬車が、ガタゴトと進んでいた。
馬車の上に見えるのは二人の少女の姿。
「なぁ、エル? 本当にこの道で合っているのか?」
手綱を操り馬車を進める少女が、隣に座る少女へと質問する。
その頭の上では犬のような耳が、そして腰のあたりでは、ふさふさの毛に包まれた尻尾が、そわそわと左右に揺れていた。
「大丈夫ですよ、セトナさん。この道を行けば、近くの町まで辿り着けるはずです!」
エルと呼ばれた少女が、地図を片手に元気よく答える。
「それならいいんだが……」
多少の不安を覚えながらも、セトナはエルの事を信じ、先を急ぐ事にした。
「早くあいつと合流しないとな」
はぐれた仲間の事を頭へと浮かべつつ、セトナは馬の足を速める。
「そうですよね、師匠の事だから大丈夫だとは思いますけど、やっぱり心配ですもんね」
「べ、別にあいつの心配なんかしていないぞ!」
エルの言葉に動揺した、セトナの尻尾が激しく揺れる。
「ただ……あいつは放っておくと色々と無茶をやるからな」
そう呟いたセトナの横顔は、憂いに満ちていた。
そんなセトナの横顔を、ニコニコと眺めるエル。
「……何だエル? 私の顔に何かついているか?」
「いえいえ、何でもありません」
エルの態度を不思議に思ったセトナだったが、それ以上追及する事はなかった。
仲間の事を心配する二人の少女を乗せ、馬車は森の中を進んで行く。
スタンのいる町とは、反対方向へと向けて……。
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