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第一章 ~変り者が多い~
「美・デッサンのすすめ」 10
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いつの間に帰ったのか…冬馬が片付けを終え、パーテーションの後ろから出ると、椿の姿はなかった。
戸締まりをして、榎本に声をかけてから部室を出ると、夕日に照らされた廊下に、椿が一人立っていた。
手には、飲みかけのブリックパックのレモンティーが握りられており、冬馬に気づくと笑いかけてきた。
「お疲れ!はい、コレ、お礼…ありがとな」
椿は上着のポケットから同じ物を取り出すと、手渡した。
「これは、ごていねいに、どうも…」
冬馬は遠慮なく受け取ると、ストローをさして一口飲んだ。
部活のあとの一杯は、サイコーですねぇ…などと呟いている冬馬に向かって、椿は思い出したように言った。
「そうだ、冬馬の絵見損ねたな…今度見に行っていいか?」
「もちろん…いつでもどうぞ…だいたい部室には来ていますから…」
「ああ、今度行くわ…他の変わり者っていう部員も見てみたいしな~」
「ははは…いっそ、入っちゃったらどうですか?」
「あ~それ榎本にも言われたわ~考えとく」
と言って椿は、子供のように笑った。
「そう言えば、主観を外すってヤツさ~」
椿と冬馬はデッサンについて語り合いながら、夕日に照らされた校舎を帰って行った。
(おわり)
戸締まりをして、榎本に声をかけてから部室を出ると、夕日に照らされた廊下に、椿が一人立っていた。
手には、飲みかけのブリックパックのレモンティーが握りられており、冬馬に気づくと笑いかけてきた。
「お疲れ!はい、コレ、お礼…ありがとな」
椿は上着のポケットから同じ物を取り出すと、手渡した。
「これは、ごていねいに、どうも…」
冬馬は遠慮なく受け取ると、ストローをさして一口飲んだ。
部活のあとの一杯は、サイコーですねぇ…などと呟いている冬馬に向かって、椿は思い出したように言った。
「そうだ、冬馬の絵見損ねたな…今度見に行っていいか?」
「もちろん…いつでもどうぞ…だいたい部室には来ていますから…」
「ああ、今度行くわ…他の変わり者っていう部員も見てみたいしな~」
「ははは…いっそ、入っちゃったらどうですか?」
「あ~それ榎本にも言われたわ~考えとく」
と言って椿は、子供のように笑った。
「そう言えば、主観を外すってヤツさ~」
椿と冬馬はデッサンについて語り合いながら、夕日に照らされた校舎を帰って行った。
(おわり)
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