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魔法を教えてもらうことになった。パーシヴァルさんの休みを潰してしまうので一度は断ったが彼は私に魔法の手解きをすると言って譲らなかった。
最初に教えてもらったのは魔力障壁だった。それから結界を教えてもらってその日は終わった。練習をしておくように言われたので次のパーシヴァルさんの休みまで復習を欠かさなかった。次の休みには野外で調理する際便利だからと火の魔法を教えてもらった。確かに私は火打石とか使えないし覚えておいて損はないよなあと思った。火熾しが楽なのはいいことだと思う。まあこの世界にはライターがあるのでライターを使えばいいだけの話なんだけど。
パーシヴァルさんはけっこう過激な指導法をするタイプだった。だって風の強い日に火の魔法を使うのは好ましくないという説明のために延焼するのを放っておいたのだから。そういうことは実践じゃなくて口頭で説明してくれと思った。ヤバいと思っていたら水の魔法で消火してくれたんだけど。それから水の魔法は足場が悪くなるから注意するように言われた。そして雷の魔法は味方が感電する危険性があるとか風の魔法は制御が難しいとか教えてくれた。うん、私が魔法を使うことはないだろうな。そんなに色々考えながら魔法を使うとか無理だと思う。
その後は癒しの魔法を教えてもらった。パーシヴァルさんは苦手らしいけど覚えておいて損はないからと教えてくれた。先に理論を教えてもらってそれから実践した。発動しているのかよく分からない。だってどこも怪我してないからね。今度怪我をした時に試してみよう。そう思っていたのにパーシヴァルさんが剣で自らの手を傷付けたではないか。
「マスター、治してください」
「なにやってるんですかパーシヴァルさん!」
「傷がないと癒しの魔法の練習ができないでしょう」
「だからって自分を傷付けるなんて」
「御身に傷を付けるわけにはいきませんから。ほら、マスター。早く治してください。俺は癒しの魔法は苦手なんです」
苦手とおっしゃるけど私なんて人生初の癒しの魔法なんですけど! と思いながら教えられた通りに魔法を使った。すると傷がみるみる癒えていく。
「流石はマスター。俺より上手ですよ。痕も残ってないですから」
「ちゃんとできてよかったです」
「じゃあもう一回やってみましょうね」
いやちょっと、待って。止める間もなくパーシヴァルさんはまた掌を切りつける。今度は先程よりも深い。思わず眉間に皺が寄る。そんな私に苦笑しながらパーシヴァルさんは治してくれと言うのだった。
おかげで癒しの魔法が使えるようになったけど二度とやりたくない。
最初に教えてもらったのは魔力障壁だった。それから結界を教えてもらってその日は終わった。練習をしておくように言われたので次のパーシヴァルさんの休みまで復習を欠かさなかった。次の休みには野外で調理する際便利だからと火の魔法を教えてもらった。確かに私は火打石とか使えないし覚えておいて損はないよなあと思った。火熾しが楽なのはいいことだと思う。まあこの世界にはライターがあるのでライターを使えばいいだけの話なんだけど。
パーシヴァルさんはけっこう過激な指導法をするタイプだった。だって風の強い日に火の魔法を使うのは好ましくないという説明のために延焼するのを放っておいたのだから。そういうことは実践じゃなくて口頭で説明してくれと思った。ヤバいと思っていたら水の魔法で消火してくれたんだけど。それから水の魔法は足場が悪くなるから注意するように言われた。そして雷の魔法は味方が感電する危険性があるとか風の魔法は制御が難しいとか教えてくれた。うん、私が魔法を使うことはないだろうな。そんなに色々考えながら魔法を使うとか無理だと思う。
その後は癒しの魔法を教えてもらった。パーシヴァルさんは苦手らしいけど覚えておいて損はないからと教えてくれた。先に理論を教えてもらってそれから実践した。発動しているのかよく分からない。だってどこも怪我してないからね。今度怪我をした時に試してみよう。そう思っていたのにパーシヴァルさんが剣で自らの手を傷付けたではないか。
「マスター、治してください」
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「だからって自分を傷付けるなんて」
「御身に傷を付けるわけにはいきませんから。ほら、マスター。早く治してください。俺は癒しの魔法は苦手なんです」
苦手とおっしゃるけど私なんて人生初の癒しの魔法なんですけど! と思いながら教えられた通りに魔法を使った。すると傷がみるみる癒えていく。
「流石はマスター。俺より上手ですよ。痕も残ってないですから」
「ちゃんとできてよかったです」
「じゃあもう一回やってみましょうね」
いやちょっと、待って。止める間もなくパーシヴァルさんはまた掌を切りつける。今度は先程よりも深い。思わず眉間に皺が寄る。そんな私に苦笑しながらパーシヴァルさんは治してくれと言うのだった。
おかげで癒しの魔法が使えるようになったけど二度とやりたくない。
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