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リアン様にひとめぼれしたので結婚を迫ったら光の速さで振られた。失恋って痛いものなのねbyフロア
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お父様に言われてお見合いをすることになった。馬車に揺られて半日、フロア=アリベル男爵令嬢は人生で一番緊張をしていた。相手は格上の公爵家長男リアン=ルンハルト様だ。このお方はだんだんと代を重ねていくうちに衰退しつつある魔法の力を先祖返りかというくらい強く持って生まれたお方らしい。客観的に見て良縁だと思うだろう。しかしリアン=ハンハルト公爵にはよくないうわさがあった。お見合いを123回取り行ったのだが顔合わせの段階で必ず相手の女性に逃げられてしまうというのだ。なんでも、お見合いに来た令嬢に無茶ぶりをして困らせるのだそうだ。その令嬢への態度も辛辣で、王族相手にも暴言を吐いて怒らせたという噂があるくらいだ。
(私の人生終わった・・・)
そんなことを考えているうちに目的地に到着したようだ。屋敷の応接室に通される。そこには複数の令嬢が私と同じようにびくびくと座っていた。
(そうだ、お見合いの相手が一人のわけがない、没落寸前の貴族令嬢の私に話が来たくらいだからお見合い相手に困っているのだろうけど、ここに集められたお人達は私より家柄がよくて品のある方ばかりだもの。私なんかがリアン様のお眼鏡にかなうはずはないわ。)
「アリベル家男爵令嬢フロア様、お通しします。」
メイドの方に
呼ばれて私は席から立ち上がった。案内された部屋に入るとそこには凛とした美しい男性がいた。
(このお方がリアン様・・・・)
フロアは一目見た瞬間恋に落ちた。それは今までに感じたことの無い感情だった。
ピリッとした雰囲気を持つリアン様がが頬杖をついてぺこりとお辞儀をした私をじっと見ていた。
その存在すべてにフロアは引き込まれる心地がした。
(これがひとめぼれなのね)
部屋のドアを閉められたのであとは二人でってことなのだろう。
「・・・・・・何を呆けている、ノロマ女。」
(え?)
うわさに聞いていたけどかけられた一言目がすでに暴言だった。
でも、ここでめげてはいられない。
(与えられた時間は少ないのよ、なんとかアピールしなくては。)
「し、失礼いたしました。フロア=アリベルと申します。」
そう言ってもう一度頭を下げる。
「ふん、その汚らしい身なりでよくこんなところに来る気になったな。こんなことに望みをかけるなんて没落貴族は考えることも浅はかだな。」
ひどいことを言われているのはわかっていたが不思議と怒りはなかった。
むしろこの人がもっと自分の悪口を言ってくれないかと思ってしまった。
(どうしてかしら?罵られているのに全然嫌じゃないわ。顔が、かっこいいからかしら。)
私が黙ったままなのでリアン様はさらに続ける。
「どうせ玉の輿狙いであろう。俺と嫌々でも結婚して家の援助でも受けるつもりなんだろう?」
(そう取られても仕方ないわ。だってお父様もそれが目的で私をお見合いに参加させたんだもの。)
言われっぱなしじゃだめだわ。
「私はリオン様をお慕いしていますわ!!」
「は?」
リオン様の驚いた顔も色っぽくてかっこいい。その雰囲気に気おされるように言ってしまった。
「私と結婚してください!!」
「いきなり、初対面の格上の相手に何を言っている。貧乏令嬢は教養もないのか、聞いてあきれる。」
早口で暴言を吐かれたが、リアン様のお顔に赤がさしたように思う。私の願望が見せた幻かしら。
「私のお家のことよく知ってらっしゃるのですね!!うれしい、それで僭越ながらリアン様におへんじをいただきたいのですが!!」
リアン様にづんづん近寄るとぎょっとしたお顔を見せてくださいましたわ。ああお美しい。
「おい、こっち来るな、バカ女。お前みたいな何のとりえもない、地位と金目当ての女願い下げだ。」
「そんなっ!リオン様はまだ私のことを知らないのです。そうだ特技を披露させていただきます。」
「ほお、面白い、やってみろ。」
そういうので先週、練習した花を咲かせる魔法をやってみることしした。
(えっと、両手を突き出して指先に力を籠める感覚で)
目を閉じて集中しようとしたのだがリオン様の視線を感じる。
(リオン様が私を見てくださってる。)
ぶふーっ
間抜けたおならのような汚い音が鳴って、手のひらからはいろんな種類の色とりどりのはなびらとなぜか水が噴射された。正面に座っていたリオン様は避けきれずに水浸し、ハナまみれになってしまった。
「・・・・申し訳ありません。」
しゅんと落ち込んだ。先週は成功したのに・・・・・・。昨日は失敗したけど。
「・・・。っ、このバカ女!!」
怒らせてしまった。リオン様はうっとおしそうに張り付いた花びらを振り払い、ダンッと音を立てて足ちあがる。
(ああっ、そんなリオン様ステキですわ)
「はっ、これは何の嫌がらせだ!!」
「そんな、リオン様も素敵ですわ!!」
思わず本音を言ってしまったとも持った瞬間。ブワッとリオン様のお顔が赤くなった。
「次はセルツ家子爵令嬢のサラ様、お通ししま、あれ、まだ終わっておりませんでしたわ。」
開かれたドアに困惑するメイドさん。
(そっか、もう時間切れなのね、魔法失敗しちゃったし、怒られちゃいましたわ。)
私はリオン様に持っていたハンカチをお渡しする。
(リオン様のお顔は赤いままだし、風邪を引かれたら大変ですわ)
リオン様は無言でハンカチを受け取る。
「・・・本日は数々のご無礼申し訳ございませんでした。」
そう深々と頭を下げた。
帰りの馬車の中で我慢してた感情が沸き上がる。胸を締め付けられるような痛みだ。
(ひとめぼれしてすぐに失恋って結構つらいのね。・・・・・お父様にはだめだったって報告しよう)
(私の人生終わった・・・)
そんなことを考えているうちに目的地に到着したようだ。屋敷の応接室に通される。そこには複数の令嬢が私と同じようにびくびくと座っていた。
(そうだ、お見合いの相手が一人のわけがない、没落寸前の貴族令嬢の私に話が来たくらいだからお見合い相手に困っているのだろうけど、ここに集められたお人達は私より家柄がよくて品のある方ばかりだもの。私なんかがリアン様のお眼鏡にかなうはずはないわ。)
「アリベル家男爵令嬢フロア様、お通しします。」
メイドの方に
呼ばれて私は席から立ち上がった。案内された部屋に入るとそこには凛とした美しい男性がいた。
(このお方がリアン様・・・・)
フロアは一目見た瞬間恋に落ちた。それは今までに感じたことの無い感情だった。
ピリッとした雰囲気を持つリアン様がが頬杖をついてぺこりとお辞儀をした私をじっと見ていた。
その存在すべてにフロアは引き込まれる心地がした。
(これがひとめぼれなのね)
部屋のドアを閉められたのであとは二人でってことなのだろう。
「・・・・・・何を呆けている、ノロマ女。」
(え?)
うわさに聞いていたけどかけられた一言目がすでに暴言だった。
でも、ここでめげてはいられない。
(与えられた時間は少ないのよ、なんとかアピールしなくては。)
「し、失礼いたしました。フロア=アリベルと申します。」
そう言ってもう一度頭を下げる。
「ふん、その汚らしい身なりでよくこんなところに来る気になったな。こんなことに望みをかけるなんて没落貴族は考えることも浅はかだな。」
ひどいことを言われているのはわかっていたが不思議と怒りはなかった。
むしろこの人がもっと自分の悪口を言ってくれないかと思ってしまった。
(どうしてかしら?罵られているのに全然嫌じゃないわ。顔が、かっこいいからかしら。)
私が黙ったままなのでリアン様はさらに続ける。
「どうせ玉の輿狙いであろう。俺と嫌々でも結婚して家の援助でも受けるつもりなんだろう?」
(そう取られても仕方ないわ。だってお父様もそれが目的で私をお見合いに参加させたんだもの。)
言われっぱなしじゃだめだわ。
「私はリオン様をお慕いしていますわ!!」
「は?」
リオン様の驚いた顔も色っぽくてかっこいい。その雰囲気に気おされるように言ってしまった。
「私と結婚してください!!」
「いきなり、初対面の格上の相手に何を言っている。貧乏令嬢は教養もないのか、聞いてあきれる。」
早口で暴言を吐かれたが、リアン様のお顔に赤がさしたように思う。私の願望が見せた幻かしら。
「私のお家のことよく知ってらっしゃるのですね!!うれしい、それで僭越ながらリアン様におへんじをいただきたいのですが!!」
リアン様にづんづん近寄るとぎょっとしたお顔を見せてくださいましたわ。ああお美しい。
「おい、こっち来るな、バカ女。お前みたいな何のとりえもない、地位と金目当ての女願い下げだ。」
「そんなっ!リオン様はまだ私のことを知らないのです。そうだ特技を披露させていただきます。」
「ほお、面白い、やってみろ。」
そういうので先週、練習した花を咲かせる魔法をやってみることしした。
(えっと、両手を突き出して指先に力を籠める感覚で)
目を閉じて集中しようとしたのだがリオン様の視線を感じる。
(リオン様が私を見てくださってる。)
ぶふーっ
間抜けたおならのような汚い音が鳴って、手のひらからはいろんな種類の色とりどりのはなびらとなぜか水が噴射された。正面に座っていたリオン様は避けきれずに水浸し、ハナまみれになってしまった。
「・・・・申し訳ありません。」
しゅんと落ち込んだ。先週は成功したのに・・・・・・。昨日は失敗したけど。
「・・・。っ、このバカ女!!」
怒らせてしまった。リオン様はうっとおしそうに張り付いた花びらを振り払い、ダンッと音を立てて足ちあがる。
(ああっ、そんなリオン様ステキですわ)
「はっ、これは何の嫌がらせだ!!」
「そんな、リオン様も素敵ですわ!!」
思わず本音を言ってしまったとも持った瞬間。ブワッとリオン様のお顔が赤くなった。
「次はセルツ家子爵令嬢のサラ様、お通ししま、あれ、まだ終わっておりませんでしたわ。」
開かれたドアに困惑するメイドさん。
(そっか、もう時間切れなのね、魔法失敗しちゃったし、怒られちゃいましたわ。)
私はリオン様に持っていたハンカチをお渡しする。
(リオン様のお顔は赤いままだし、風邪を引かれたら大変ですわ)
リオン様は無言でハンカチを受け取る。
「・・・本日は数々のご無礼申し訳ございませんでした。」
そう深々と頭を下げた。
帰りの馬車の中で我慢してた感情が沸き上がる。胸を締め付けられるような痛みだ。
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