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「えっ、どうゆう状況!!い、逸人さん?」
(なんでここに・・・・?)
「てめえ、里奈の男か!!」
「はっ?誰だよお前」
よく見ると佐藤さんの右ほおが腫れている。佐藤さんが逸人さんに殴られたの!!
ようやく脳に状況が追い付いてきて逸人さんを止めようとして腕をつかんだが完全に頭に血が上っているのか振り飛ばされてしまった。
「いてっ」
私はしりもちをついた。いつもの優しい逸人さんじゃない。いつも私の家に引っ張り込まれていたがあの時いかに手加減されていたのかわかった。
「里穂に手を出したのか!!ふざけんな!!」
「冗談じゃね、まだ出してねえよ、これからだっつうの、お、おい、あんたもなんとか言ってくれよ」
私のほうに助けを求めてきた。
「えっと待って逸人さん、その人は私にセックスのやり方を教えてくれる人なの!!」
結果的にその言葉が完全に逸人さんをキレさせてしまった。
「お前、遊びで里奈に手を出したのか!!ああっ!!」
鋭いメンチを切る逸人さんに完全に真っ青な顔した佐藤さん。無理もないよ。めっちゃ怖いもん。おしっこちびっちゃいそう。
完全に目が据わっている。こんなに怒ったところ見たことなかった。
「違う、待って逸人さん、そんなつもりじゃない、ごめんなさい」
「うるさい!!!」
構図が完全に不倫現場にのりこんだ夫のそれだ。昼ドラの見過ぎかな。でもこんなことが現実に起こるなんて・・・・
私はへなへなとへたり込む。
「・・・・逸人さん・・・」
逸人さんはこっちには目を向けてくれない。
「気持ち悪い・・・・」
私は極度の恐怖と緊張からその場で盛大に吐いて、思いっきり失禁した。
「うげぇ、うええええええ」
「はぁ!?」
「ちょ、ちょっと大丈夫か?」
「だいじょうぶ、じゃ・・ない」
(ウェー気持ち悪い)
逸人さんが最初に私に気が付いてその次に佐藤さんが気が付いた。それからてんやわんやいろいろあった。ぐちゃぐちゃな服をクリーニングに出し床を清掃して私は水を飲んで落ち着いた。幸いここのラブホテルは無人のもので部屋は各部屋が防音になっていたので騒ぎにはならなかった。
私がしっかり落ち着くのを待ってから逸人さんは私に視線を合わせて話しかける。
「それで何があったか話せるか」
コクリとうなずいた。
「えっと」
ちろりと佐藤さんのほうを向く。佐藤さんはやってやれるか
といったような表情でそっぽを向いている。
「まずこちらの方は佐藤さん、今日セックスを教えてくれるって約束してきてくれました。」
簡潔な説明だったが、いろいろ端折りすぎている。
逸人さんはため息をついて一つ一つ質問していく。
「昨日、明日は友達と用事が合うと言っていたがそれは嘘ってことでいいんだな。」
「・・・・はい」
ぐさりと胸に刺さる。
「それでその佐藤さんとはどこで出会ったんだ?」
「インターネットで」
「それで今日はどうやってここできたんだ。」
「電車で乗り継いで「そうじゃなくて、待ち合わせた後からの話だ。」
「軽く挨拶してホテル行きましょうってことで佐藤さんが手続きしてくれてでも、佐藤さんがタバコ行くって言ってたから鍵を受け取って部屋で待ってた。やっと帰ってきたと思ったら逸人さんがいて・・・・」
「もういい。状況はわかった。まだこの男に体を許してないってことが」
逸人さんは口調こそ優しいが明らかに怒っているのが空気で伝わってきた。
「あの、逸人さんはなんでここに。」
「お前の様子が明らかにおかしいから追ってきたんだ。・・・・・・じゃあ、本題だがなんでセックスをこいつに教わろうと思ったんだ?」
「・・・・・・・」
(いえるわけない。セックスで逸人さんを誘惑しようとしてたなんて)
するとさっきまで黙っていた佐藤が口を開いた。
「・・・・・なるほどね。なんかつかめてきた。要するに俺は痴話げんかに巻き込まれたのか、ったく冗談じゃないぜ」
はあとため息をついた。
「お前には聞いてない。」
「・・・・・この鈍感野郎。いいか、何でおれにセックスを教えてもらおうとしたかだろ。お前に女として見られたかったからだよ」
「・・・・は?」
逸人さんの目が点になっていた。
「あんたが『お前の嫁の貰い手に困ったときに考えてやるよ』とか言ったんだろ。それでそれっていつって匿名掲示板で聞いてきたんだよこの人」
ドンドン顔が熱くなっていくのが分かる。
「・・・・掲示板ではぼろくそ言われてたけどその様子だとあんたもまんざらではないようだし、あーあ、なんだったんだよこの時間。殴られるし片付けさせられるしヤれねーしよ。」
やれやれと首を振った。
「その、・・・・・・里奈が世話になった。」
「・・・もういいよ、めんどーだしあとは二人で話し合えば、話聞いてる限りだと絶対みゃくなしだと思ってたのにこんなところまで慌ててすっ飛んできてくれるなんて、ちゃんと愛されてんじゃん、あんた」
そんなこと言うもんだから顔がにやけてくる。
「今日は悪かった。これ、治療費とホテル代と交通費と殴った分の慰謝料」
「・・・・・受け取っとく。あと、もう二度とこんなことすんなよ、あんたこうゆうの向いてねえからよ」
そういって部屋を出ていく佐藤さんに私は小さくお辞儀をした。
(なんでここに・・・・?)
「てめえ、里奈の男か!!」
「はっ?誰だよお前」
よく見ると佐藤さんの右ほおが腫れている。佐藤さんが逸人さんに殴られたの!!
ようやく脳に状況が追い付いてきて逸人さんを止めようとして腕をつかんだが完全に頭に血が上っているのか振り飛ばされてしまった。
「いてっ」
私はしりもちをついた。いつもの優しい逸人さんじゃない。いつも私の家に引っ張り込まれていたがあの時いかに手加減されていたのかわかった。
「里穂に手を出したのか!!ふざけんな!!」
「冗談じゃね、まだ出してねえよ、これからだっつうの、お、おい、あんたもなんとか言ってくれよ」
私のほうに助けを求めてきた。
「えっと待って逸人さん、その人は私にセックスのやり方を教えてくれる人なの!!」
結果的にその言葉が完全に逸人さんをキレさせてしまった。
「お前、遊びで里奈に手を出したのか!!ああっ!!」
鋭いメンチを切る逸人さんに完全に真っ青な顔した佐藤さん。無理もないよ。めっちゃ怖いもん。おしっこちびっちゃいそう。
完全に目が据わっている。こんなに怒ったところ見たことなかった。
「違う、待って逸人さん、そんなつもりじゃない、ごめんなさい」
「うるさい!!!」
構図が完全に不倫現場にのりこんだ夫のそれだ。昼ドラの見過ぎかな。でもこんなことが現実に起こるなんて・・・・
私はへなへなとへたり込む。
「・・・・逸人さん・・・」
逸人さんはこっちには目を向けてくれない。
「気持ち悪い・・・・」
私は極度の恐怖と緊張からその場で盛大に吐いて、思いっきり失禁した。
「うげぇ、うええええええ」
「はぁ!?」
「ちょ、ちょっと大丈夫か?」
「だいじょうぶ、じゃ・・ない」
(ウェー気持ち悪い)
逸人さんが最初に私に気が付いてその次に佐藤さんが気が付いた。それからてんやわんやいろいろあった。ぐちゃぐちゃな服をクリーニングに出し床を清掃して私は水を飲んで落ち着いた。幸いここのラブホテルは無人のもので部屋は各部屋が防音になっていたので騒ぎにはならなかった。
私がしっかり落ち着くのを待ってから逸人さんは私に視線を合わせて話しかける。
「それで何があったか話せるか」
コクリとうなずいた。
「えっと」
ちろりと佐藤さんのほうを向く。佐藤さんはやってやれるか
といったような表情でそっぽを向いている。
「まずこちらの方は佐藤さん、今日セックスを教えてくれるって約束してきてくれました。」
簡潔な説明だったが、いろいろ端折りすぎている。
逸人さんはため息をついて一つ一つ質問していく。
「昨日、明日は友達と用事が合うと言っていたがそれは嘘ってことでいいんだな。」
「・・・・はい」
ぐさりと胸に刺さる。
「それでその佐藤さんとはどこで出会ったんだ?」
「インターネットで」
「それで今日はどうやってここできたんだ。」
「電車で乗り継いで「そうじゃなくて、待ち合わせた後からの話だ。」
「軽く挨拶してホテル行きましょうってことで佐藤さんが手続きしてくれてでも、佐藤さんがタバコ行くって言ってたから鍵を受け取って部屋で待ってた。やっと帰ってきたと思ったら逸人さんがいて・・・・」
「もういい。状況はわかった。まだこの男に体を許してないってことが」
逸人さんは口調こそ優しいが明らかに怒っているのが空気で伝わってきた。
「あの、逸人さんはなんでここに。」
「お前の様子が明らかにおかしいから追ってきたんだ。・・・・・・じゃあ、本題だがなんでセックスをこいつに教わろうと思ったんだ?」
「・・・・・・・」
(いえるわけない。セックスで逸人さんを誘惑しようとしてたなんて)
するとさっきまで黙っていた佐藤が口を開いた。
「・・・・・なるほどね。なんかつかめてきた。要するに俺は痴話げんかに巻き込まれたのか、ったく冗談じゃないぜ」
はあとため息をついた。
「お前には聞いてない。」
「・・・・・この鈍感野郎。いいか、何でおれにセックスを教えてもらおうとしたかだろ。お前に女として見られたかったからだよ」
「・・・・は?」
逸人さんの目が点になっていた。
「あんたが『お前の嫁の貰い手に困ったときに考えてやるよ』とか言ったんだろ。それでそれっていつって匿名掲示板で聞いてきたんだよこの人」
ドンドン顔が熱くなっていくのが分かる。
「・・・・掲示板ではぼろくそ言われてたけどその様子だとあんたもまんざらではないようだし、あーあ、なんだったんだよこの時間。殴られるし片付けさせられるしヤれねーしよ。」
やれやれと首を振った。
「その、・・・・・・里奈が世話になった。」
「・・・もういいよ、めんどーだしあとは二人で話し合えば、話聞いてる限りだと絶対みゃくなしだと思ってたのにこんなところまで慌ててすっ飛んできてくれるなんて、ちゃんと愛されてんじゃん、あんた」
そんなこと言うもんだから顔がにやけてくる。
「今日は悪かった。これ、治療費とホテル代と交通費と殴った分の慰謝料」
「・・・・・受け取っとく。あと、もう二度とこんなことすんなよ、あんたこうゆうの向いてねえからよ」
そういって部屋を出ていく佐藤さんに私は小さくお辞儀をした。
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