Lost city

コトノハ

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一章

後悔先に立たず

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 部屋には緊張が走っていた。
 ただ、ビーカーの中の群青色のの液体がボコボコと音を立てている。
 その中、硬いソファーに腰掛ける2人はお互いの顔を見つめあっていた。
 「お前はどうやってここまで来た?」 
 先に声を出したのは水谷だった。
 「お前は何故此処に入って来れた?此処には決まったものしか入れないようになっている。だが何故お前は入ってこられた?」
 それは、どういう意味なのだろうか。
 「もしかしてこれは、僕が特別な力を持っていてたった今、僕は力を開花させようとしているとか!?そういうパターン!?」
 「まぁ、君のアホさ加減に結界も作動しなかったのだろうな。」
 「酷い!?何で?心が痛い!」
 少々、初めて喋るには厳しすぎるのではないか。まあいい。そんなことよりも。
 「此処は一体何処なんだ。さっきの入口の鳥もそうだし、何故本が浮いている?此処は異世界ってやつなのか?」
 「話が早くて助かる。」
 「マジか・・・異世界ファンタジーってやつか・・・」
  「とりあえず・・・ここが知られてしまうと不味い事態になりかねない。すまないが、少々痛い思いをしてもらう。」
 すると、水谷は僕の頭に手をかけた。そして、ポケットの中からコルクビンを取り出した。水谷が蓋を開けると、微かに煙をあげる。
 「ちーょーっと!?ま、まさかそ、それかけたりしないよねぇ!?やめて、やめてよおおおお!?」
 水谷が力強く僕を押し倒してきた。華奢な体で確実に動けないよう体を抑え込んでいる。これは、普段なら絶好のシチュエーションのはずだ。しかし、今は恐怖しか感じない。
 「おい!やめてくれ!まだ、まだ死にたくない!」
 どうして本当にこうなったんだ。叫び声が、夜の森に木霊していった。
  
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