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超大規模依頼編
第二十三話 振り返る過去
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「ついたぞレンカ。ここが今日の依頼場所だ」
馬車で来たのは、キングオークが住む拠点であった。
近隣の町に被害が出ており、討伐願いが出された。
どこか虚なレンカに仲間が声をかける。
「おい、本当に体調悪そうだな。今日はやめとくか」
「っ、問題ないっ」
「そうか……何かあったら遠慮なく言えよ」
いつもはお節介に感じる仲間の優しさが、今日はやけに沁みる。
なぜだか泣きそうなほどだ。
レンカは密かに自身の目を擦ると、すぐさま仲間の横へと並ぶ。
「じゃあ行くぞ……」
「ええ」
仲間と共に、キングオークの巣窟へと飛び込んだ。
入口を固めていた子分のオークを蹴散らし、どんどん進んでいく。
オークはそこまで強い魔物ではないが、Aランクである分数が多い。
二人は苦戦しつつも、ポーションを飲み回復しながら棲家を制圧していった。
「!」
「あっ」
そして、ようやく目当てのキングオークにたどり着いたかと思えば。
キングオークは子供を片手に抱えて、こちらをニヤニヤと眺めていた。
子供の首に手をかけられ、反射的にレンカは「やめろ!」と叫ぶ。
「こんなにわかりやすい脅しってあるのかしら……!」
キングオークはこちらを手招きしている。
人質を殺されたくなくば、武器を捨ててこちらに来いという意味だろう。
格闘技と攻撃魔法を主にして戦うレンカとは違い、仲間の武器は細身の剣だ。
しかし、仲間は躊躇いがちながらも剣を手放した。
「レンカ……僕が行く。隙を見てあの子を逃す」
「え」
一歩キングオークのほうへ進んだ仲間の背中がやけに小さく見えて、レンカは思わず呼び止めた。
「ま、待って!」
しかし、レンカの言葉は仲間へ届かない。
「大丈夫だ」
「違う、違うの……!」
嫌な予感がする。
行ってほしくない。
レンカの願いは届かず、仲間はキングオークにどんどん近づいていく。
「待っーー」
ぐしゃ
何かを叩き潰す音と共に、ピッと血液がレンカ頬へと飛んできた。
震える両手で顔を抑え、眼前の光景を目の当たりにする。
「はっ……はっ、う、ええ」
レンカは吐いた。
ショックだったのが仲間の死か、目の前の残状なのかは覚えていない。
己の吐瀉物に塗れ、レンカは地面を眺める。
その間に、子供も死んでいた。
依頼は失敗だった。
命からがら、みっともなく逃げて生き残ったのはレンカだ。
人質になった子供も、仲間も、レンカは救うことができなかった。
レンカには、今も仲間の怨念が聞こえる。
「酷い。何で見捨てたんだ」
「お前が行けばよかったのに」
「お前が死ねば」
「うん……うん。うん……」
それらの全てを、レンカは肯定した。
事実だ。レンカにとって、隠すことのできない過去のこと。
強く、ならなければ。
そう決意したのは、繰り返したくなかったのか、仲間の呪縛から逃れたかったからか。
血反吐を吐くような思いをして、レンカはSSSランクにまで上り詰めた。
多くの人間を救ってきたはずだ。
なのに、今も仲間の怨念は消えない。
「お前が、お前さえいなければ……!」
「ごめんなさい。私が、弱かったせいで」
「お前も死ねよ。死ねよ……!」
あちらの世界へ誘う、仲間の声。
なぜだかレンカはそれに頷くことはできなかった。
命が惜しかった。
どれだけ惨めでも、死にたくないとずっと思っている。
しかしーーもう、いいのではないだろうか。
仲間の声に同意して、死んでしまっても。
レンカが死んで悲しむ人など、いないのだから。
◆ ◆ ◆
ハウンドはあれから劣悪な環境の工場で働き続けたが、その内声の能力が発現した。
制御できず解雇を言い渡され、途方に暮れたハウンドだったが、妹に言われ続けてきた冒険者とやらにハウンドの能力は非常に向いていた。
ハウンドは冒険者になり、数々の依頼をこなしていった。
生まれてきて、ここまで他者に頼りにされる状況が初めてであった。
ハウンドはそれに存在意義を見出し、がむしゃらに依頼に打ち込んでいった。
そしてSSSランクの称号を獲得したところで、とうとう倒れた。
妹にベッドに寝かしつけられ、ハウンドは微睡ながらも己の体の弱さを呪った。
しかしハウンドの体は弱いわけではない。
寧ろここまでよく保ったほうだろう、働き詰めだったのだ。
誰にだって限界は訪れる。
父と母が揃って兄妹が幼い頃に死に、それ以来ハウンドは休まず働いてきた。
「僕が倒れている間に、どれだけの金を稼げたんだろうか……」
寝ているのにも関わらず、そんなことばかり考えてしまう。
もともと貧乏だったせいで、頭を占めるのは金のことばかりだ。
ギルドで働き出してから、ハウンド達はかなり潤ったというのに。
しかしここは体を休めるのが先決だ。
別に休んでも問題ないほどの金はある。
しかし寝込んで三日目、妹が帰ってこない。
もうとっくに日が沈んでいるというのに、帰ってくる兆しすら見えない。
「……まさか」
少し前から妹は、ずっと冒険者になることを希望していた。
できっこないと突っぱねていたハウンドだったが、この隙に妹が勝手に行ってしまったのだとすれば。
ハウンドはベッドから飛び起き、ギルドへと転がる勢いで向かった。
ギルドの受付員の前に倒れ込むように現れれば、受付員は驚いた顔をしてこちらを凝視する。
「ハウンドさん? 今は療養中のはずじゃあ」
「妹がっ……妹が、来ませんでしたか!?」
鬼気迫る勢いで尋ねれば、受付員は気まずげに答える。
「妹さんは、魔物の討伐依頼に行っておりまして」
「よりにもよって……!」
薬草採取とか、家の屋根の修繕とか、もっと他にあっただろう。
しかし討伐依頼はもらえる金額がかなり高い。
手っ取り早く金を必要とするなら、討伐依頼をこなすしかなかった。
妹はきっと、ハウンドが寝込んでいる間に依頼を達成し、兄に認めてもらいたかったに違いない。
「どこに行ったんですか!?」
「暗闇の森です」
「暗闇の森!?」
ハウンド達の中では有名な、二年前に闇に覆われた森の名前だ。
そこにひとたび入ってしまえば、その暗さに取り込まれて死んでしまうと、仕事仲間からしこたま聞かされた場所だ。
ハウンドはギルドを飛び出して暗闇の森へ向かった。
「どこだー!? どこにいる!? 兄さんが来たぞ! 帰ろう!」
森に来てハウンドが妹を呼ぶが、返事はない。
ハウンドの声が森に吸い込まれて消えていくようだ。
ガサッ
「!」
後ろの草むらが揺れ、ハウンドが恐る恐る振り返る。
魔物だった。
ハウンドは叫んだ。
慣れたことだった。
いつものように叫んで、魔物を消し飛ばす。
魔物が死んだかだけ確認して、妹をもう一度探そう。
そう思ったハウンドは、魔物へと近づいた。
「ーーえ」
妹が死んでいた。
おかしい。だって吹き飛んだのは魔物のはず。
ここで妹が死んでいるなど、ありえない。
でも、じゃあ、何で妹が死んでいるというのか。
「あ、ああ、あああ」
ハウンドが殺したからだ。
「ああああああああああああ」
そこからの記憶は、飛んでいる。
後にわかったことだが、暗闇の森にはイリュージョントロルという、幻覚を使う魔物がいたらしい。
妹が魔物に見えるよう幻覚をかけられ、ハウンドは妹を殺した。
しかしその事実が判明したのは一年後ーーアレク達が暗闇の森の依頼を解決してからだった。
事件直後のハウンドはそれを知る由もなく、生きる希望を見失った。
生きる目的である妹を、その手で殺したのだ。
ハウンドはギルドの仲間に保護され、そのままギルドで預かられた。
誰かが目を離せば、すぐに自死してしまうような状況だったからだ。
主にハウンドを見張っていたのはギルドマスターであった。
抜け殻のように過ごすハウンドが、何かのきっかけで自死しようとするのを、ギルドマスターが何度も阻止してきた。
(もう、駄目かもしれないな)
ギルドマスターは密かにそう思った。
ハウンドの状況は、誰が見ても酷い有様だった。
目は落ち窪み、体は痩せ細り、所々自分でつけた傷で血が滲んでいる。
何より気力が保たない。
ハウンドはどんどん衰弱していった。
ハウンド自身は、このまま衰弱死していくが望みであった。
死ねばこの苦しみから解放される。
死ぬことばかり考えた。
ハウンドにはもう、生きるという選択肢が見出せなかった。
馬車で来たのは、キングオークが住む拠点であった。
近隣の町に被害が出ており、討伐願いが出された。
どこか虚なレンカに仲間が声をかける。
「おい、本当に体調悪そうだな。今日はやめとくか」
「っ、問題ないっ」
「そうか……何かあったら遠慮なく言えよ」
いつもはお節介に感じる仲間の優しさが、今日はやけに沁みる。
なぜだか泣きそうなほどだ。
レンカは密かに自身の目を擦ると、すぐさま仲間の横へと並ぶ。
「じゃあ行くぞ……」
「ええ」
仲間と共に、キングオークの巣窟へと飛び込んだ。
入口を固めていた子分のオークを蹴散らし、どんどん進んでいく。
オークはそこまで強い魔物ではないが、Aランクである分数が多い。
二人は苦戦しつつも、ポーションを飲み回復しながら棲家を制圧していった。
「!」
「あっ」
そして、ようやく目当てのキングオークにたどり着いたかと思えば。
キングオークは子供を片手に抱えて、こちらをニヤニヤと眺めていた。
子供の首に手をかけられ、反射的にレンカは「やめろ!」と叫ぶ。
「こんなにわかりやすい脅しってあるのかしら……!」
キングオークはこちらを手招きしている。
人質を殺されたくなくば、武器を捨ててこちらに来いという意味だろう。
格闘技と攻撃魔法を主にして戦うレンカとは違い、仲間の武器は細身の剣だ。
しかし、仲間は躊躇いがちながらも剣を手放した。
「レンカ……僕が行く。隙を見てあの子を逃す」
「え」
一歩キングオークのほうへ進んだ仲間の背中がやけに小さく見えて、レンカは思わず呼び止めた。
「ま、待って!」
しかし、レンカの言葉は仲間へ届かない。
「大丈夫だ」
「違う、違うの……!」
嫌な予感がする。
行ってほしくない。
レンカの願いは届かず、仲間はキングオークにどんどん近づいていく。
「待っーー」
ぐしゃ
何かを叩き潰す音と共に、ピッと血液がレンカ頬へと飛んできた。
震える両手で顔を抑え、眼前の光景を目の当たりにする。
「はっ……はっ、う、ええ」
レンカは吐いた。
ショックだったのが仲間の死か、目の前の残状なのかは覚えていない。
己の吐瀉物に塗れ、レンカは地面を眺める。
その間に、子供も死んでいた。
依頼は失敗だった。
命からがら、みっともなく逃げて生き残ったのはレンカだ。
人質になった子供も、仲間も、レンカは救うことができなかった。
レンカには、今も仲間の怨念が聞こえる。
「酷い。何で見捨てたんだ」
「お前が行けばよかったのに」
「お前が死ねば」
「うん……うん。うん……」
それらの全てを、レンカは肯定した。
事実だ。レンカにとって、隠すことのできない過去のこと。
強く、ならなければ。
そう決意したのは、繰り返したくなかったのか、仲間の呪縛から逃れたかったからか。
血反吐を吐くような思いをして、レンカはSSSランクにまで上り詰めた。
多くの人間を救ってきたはずだ。
なのに、今も仲間の怨念は消えない。
「お前が、お前さえいなければ……!」
「ごめんなさい。私が、弱かったせいで」
「お前も死ねよ。死ねよ……!」
あちらの世界へ誘う、仲間の声。
なぜだかレンカはそれに頷くことはできなかった。
命が惜しかった。
どれだけ惨めでも、死にたくないとずっと思っている。
しかしーーもう、いいのではないだろうか。
仲間の声に同意して、死んでしまっても。
レンカが死んで悲しむ人など、いないのだから。
◆ ◆ ◆
ハウンドはあれから劣悪な環境の工場で働き続けたが、その内声の能力が発現した。
制御できず解雇を言い渡され、途方に暮れたハウンドだったが、妹に言われ続けてきた冒険者とやらにハウンドの能力は非常に向いていた。
ハウンドは冒険者になり、数々の依頼をこなしていった。
生まれてきて、ここまで他者に頼りにされる状況が初めてであった。
ハウンドはそれに存在意義を見出し、がむしゃらに依頼に打ち込んでいった。
そしてSSSランクの称号を獲得したところで、とうとう倒れた。
妹にベッドに寝かしつけられ、ハウンドは微睡ながらも己の体の弱さを呪った。
しかしハウンドの体は弱いわけではない。
寧ろここまでよく保ったほうだろう、働き詰めだったのだ。
誰にだって限界は訪れる。
父と母が揃って兄妹が幼い頃に死に、それ以来ハウンドは休まず働いてきた。
「僕が倒れている間に、どれだけの金を稼げたんだろうか……」
寝ているのにも関わらず、そんなことばかり考えてしまう。
もともと貧乏だったせいで、頭を占めるのは金のことばかりだ。
ギルドで働き出してから、ハウンド達はかなり潤ったというのに。
しかしここは体を休めるのが先決だ。
別に休んでも問題ないほどの金はある。
しかし寝込んで三日目、妹が帰ってこない。
もうとっくに日が沈んでいるというのに、帰ってくる兆しすら見えない。
「……まさか」
少し前から妹は、ずっと冒険者になることを希望していた。
できっこないと突っぱねていたハウンドだったが、この隙に妹が勝手に行ってしまったのだとすれば。
ハウンドはベッドから飛び起き、ギルドへと転がる勢いで向かった。
ギルドの受付員の前に倒れ込むように現れれば、受付員は驚いた顔をしてこちらを凝視する。
「ハウンドさん? 今は療養中のはずじゃあ」
「妹がっ……妹が、来ませんでしたか!?」
鬼気迫る勢いで尋ねれば、受付員は気まずげに答える。
「妹さんは、魔物の討伐依頼に行っておりまして」
「よりにもよって……!」
薬草採取とか、家の屋根の修繕とか、もっと他にあっただろう。
しかし討伐依頼はもらえる金額がかなり高い。
手っ取り早く金を必要とするなら、討伐依頼をこなすしかなかった。
妹はきっと、ハウンドが寝込んでいる間に依頼を達成し、兄に認めてもらいたかったに違いない。
「どこに行ったんですか!?」
「暗闇の森です」
「暗闇の森!?」
ハウンド達の中では有名な、二年前に闇に覆われた森の名前だ。
そこにひとたび入ってしまえば、その暗さに取り込まれて死んでしまうと、仕事仲間からしこたま聞かされた場所だ。
ハウンドはギルドを飛び出して暗闇の森へ向かった。
「どこだー!? どこにいる!? 兄さんが来たぞ! 帰ろう!」
森に来てハウンドが妹を呼ぶが、返事はない。
ハウンドの声が森に吸い込まれて消えていくようだ。
ガサッ
「!」
後ろの草むらが揺れ、ハウンドが恐る恐る振り返る。
魔物だった。
ハウンドは叫んだ。
慣れたことだった。
いつものように叫んで、魔物を消し飛ばす。
魔物が死んだかだけ確認して、妹をもう一度探そう。
そう思ったハウンドは、魔物へと近づいた。
「ーーえ」
妹が死んでいた。
おかしい。だって吹き飛んだのは魔物のはず。
ここで妹が死んでいるなど、ありえない。
でも、じゃあ、何で妹が死んでいるというのか。
「あ、ああ、あああ」
ハウンドが殺したからだ。
「ああああああああああああ」
そこからの記憶は、飛んでいる。
後にわかったことだが、暗闇の森にはイリュージョントロルという、幻覚を使う魔物がいたらしい。
妹が魔物に見えるよう幻覚をかけられ、ハウンドは妹を殺した。
しかしその事実が判明したのは一年後ーーアレク達が暗闇の森の依頼を解決してからだった。
事件直後のハウンドはそれを知る由もなく、生きる希望を見失った。
生きる目的である妹を、その手で殺したのだ。
ハウンドはギルドの仲間に保護され、そのままギルドで預かられた。
誰かが目を離せば、すぐに自死してしまうような状況だったからだ。
主にハウンドを見張っていたのはギルドマスターであった。
抜け殻のように過ごすハウンドが、何かのきっかけで自死しようとするのを、ギルドマスターが何度も阻止してきた。
(もう、駄目かもしれないな)
ギルドマスターは密かにそう思った。
ハウンドの状況は、誰が見ても酷い有様だった。
目は落ち窪み、体は痩せ細り、所々自分でつけた傷で血が滲んでいる。
何より気力が保たない。
ハウンドはどんどん衰弱していった。
ハウンド自身は、このまま衰弱死していくが望みであった。
死ねばこの苦しみから解放される。
死ぬことばかり考えた。
ハウンドにはもう、生きるという選択肢が見出せなかった。
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