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お話ししましょう。
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「マオ様、マオ様」
「……………」
「聞いてらっしゃいますか」
後日、王宮の中を探し回り、マオ様を発見いたしました。
私の顔を見るなり速攻逃げようとしたので、彼の前へ回り込んでひたすら話しかけています。
しかし彼は私の存在をないもののように扱い、無視を貫きます。
今だって、どこかへ向かうマオ様に私が付き纏っている形です。
「先日はすみません。つい頭に血が上ってしまいました」
「………」
「でもあの物言いでは、ロールが傷つきます。あの子に何をして欲しいのか、きちんと話したほうがお互いいいと思うんです」
「……………」
「それに、レオン様とも。お話し、しましょう」
「ついてくるな」
「やっと聞いてくれますか」
私の発言を聞き、マオ様は小さく舌打ちしました。
きっと返事をしたことを後悔なされたのでしょう。
でももう遅いです。
「このままでは関係性は悪いままですよ」
「………」
「ロールやレオン様と険悪になれば、悪いことしかありませんよ」
「……………」
「お話しすべきです」
ダァン!! と物凄い勢いで壁ドンされました。
ここまで嬉しくない壁ドンは初めてですね。
「寄ってくるな。気持ち悪いんだよ」
「ですから、女性に気持ち悪いとか言うのはよくないと思います」
「何なんだ貴様は? 何様のつもりだ?」
「私はラティアンカです。余計な口は挟ませていただきます」
「母親にでもなったつもりか?」
「あなたには立派なお母様がいらっしゃるではありませんか」
女王様やレオン様と同じ、蒼の双眼が不快そうに細められます。
「貴様が視界に入るだけで腹が立つ。二度と私の前に立つな」
「なら後ろにおりましょう」
「前言撤回だ。半径5メートル以内に立ち寄るな」
「なら離れて話しましょう」
「そもそも話しかけるな」
「それは却下です」
「……………」
圧が凄いですね。
ですが、私も一応世界一の魔術師の妻をやらせていただいている者です。
旦那様と過ごした屋敷での一年間の間に、たくさんの人と関わり言葉を交わしてきました。
マオ様のように厄介な方もいらっしゃりましたから、特に怖気付く必要はありません。
寧ろ自信ありげに立っている方がいいでしょう。
「……キショ」
小さく、誰にも聞こえないように。
双子の弟のような口の悪さで、マオ様は私に言い捨てました。
彼の本性がなんとなくですが見えてきました。
「キショくて結構です」
「聞くな」
「あなたがおっしゃったのでしょう」
「そもそも第一、俺は王子だぞ。王子に話しかけるな、愚民が」
「残念ながら私はあなたの民ではありませんので」
「付き纏うな。殺すぞ」
「どんどん物騒になってきましたね」
表情を変えず、スンとしていれば、マオ様の氷のような瞳は私の首元に注がれていることに気付きました。
「何だ、それは」
「ネックレスですが」
「そんな気味の悪いものが、ただのネックレスなわけないだろう」
「これは旦那様がくださったものです。訂正してください」
「……キショ」
私との言い争いに飽きたのか、マオ様はそのまま走っていってしまいました。
マオ様はもちろん、獣人の方の脚力には追いつくことはできません。
その後ろ姿を見送れば、焦った顔をした侍女や執事の方が私に話しかけてきます。
「お、お客様。マオ殿下は、その」
「少々気難しい方ですが、きっと仲良くなってみせます」
「無茶です! マオ殿下は昔からああなのです」
「千里の道も一歩からですよ」
「今回ばかりは無理です」
忠告というか、純粋に心配していただいけるのはありがたいのですが、私は諦めるわけにはいきません。
何より、ロールの害になる方なのかもしれないのです。
不安要素は潰しておくに限ります。
しかし、その日一杯はどれだけ探してもマオ様の姿は見当たりませんでした。
◆ ◆ ◆
次の日になりました。
ロールはどうやら記憶を取り戻すべく、レオン様と共に王宮内を回っているようです。
私もどうだと誘われましたが、お断りしました。
「ラティ様、どこかに行くんですか?」
「少し見たいものがありまして」
「そ。気ぃつけなよ。女神教とマオにはぜってー近寄んなよ!」
ごめんなさい、そのマオ様に付き纏ってます。
そんなことは言えるわけないので、黙って笑顔で手を振りました。
部屋を出て、マオ様を探します。
「……あ」
庭園に向かえば、マオ様がいらっしゃいました。
私がマオ様に近づくと、マオ様はギロリとこちらを睨みます。
「来るな。殺すぞ」
「女王様からは、宮殿を自由に立ち歩いて良いと許可をいただいています」
「母上を盾にするとは。何て愚かな娘だ」
「娘というほどの歳じゃありません。私、25ですから」
年齢を明かせば、度肝を抜かれたようでマオ様はしばらく放心しました。
「…………25?」
「はい」
「私より年上ではないか」
「そうですよ」
「年増か」
「純粋に失礼ですね」
こううだうだしていれば、また逃げられてしまいますね。
畳み掛けるとしましょう。
「マオ様。どうか、レオン様やロールと話してください」
「黙れ」
「あの子達はとてもいい子です」
「黙れと言っている」
「なにか、すれ違いが起きているのではありませんか?」
「黙れ!! いい加減口を閉ざせ!!」
「いいえ黙りません!!」
マオ様に反撃するよう、マオ様以上の声量を上げます。
ここまで大きな声を上げたのは本当に久しぶりです。
「どうしてそこまで拒絶なさるのです!? あの子達が何をしたというのです!? あなたの不利になることをなさりました!?」
「不愉快なんだよっ!! シャルロッテもっ、レオンもっ………いるだけで迷惑だ!! 私にとってっ、害でしかない!!」
「どの口が言いますか!! そうやっていつまでを駄々をこねているようでは、進むものも進まないというのに!!」
「うるさい!! 知ったような口をきくな!!」
私達の言い争いに気づいた侍女と執事の方達が、大慌てで誰かを呼んでいます。
そのうちの勇気ある1人が出てきました。
「あっ、あのっ、落ち着いて……」
「こいつをここからつまみ出せ!!」
「へっ、でも、この方はシャルロッテ様の……」
「私と神子、どちらが大事なのだ!!」
「それは……」
仲裁にやってきた執事の方が口籠もります。
その様子を見てますますマオ様の機嫌が急降下しました。
「もういい。お前達がやらないなら、私がやるまでだ」
「マオ殿下!?」
ジリ、と私に近づくマオ様。
先程とは立場が逆転しました。
「恨むなら自分を恨むことだな、女」
「ラティアンカです。それと、私はここから出て行くつもりはありません」
「そうか。なら死ね」
啖呵を切ったはいいものの、どうしましょう。
このままでは本当に死んでしまうのではないでしょうか。
振りかぶられた拳を見てそんなことを考えていると、不意に体が後ろへ傾きました。
パキィン……!
「……………」
「レオン様」
私の体を受け止めたのは、ロールと散歩に出かけたはずのレオン様でした。
よく見れば、マオ様の拳が氷漬けになっています。
「そこを退け、愚弟が」
「いーやどかないね。何が愚弟だよ。スカしちゃってさ」
「恥さらしめ。お前ほどのこの国にとっての邪魔者はいまいな」
「へいへい。御託は結構なんで……俺のダチになにしてくれてんの?」
底冷えのする、低すぎる声。
場の空気も氷漬けになったような気分になります。
しばらく睨み合いを続けていた両者ですが、マオ様が自らを拘束した氷を砕きました。
「不愉快だ。視界に入るな」
「アンタなんてこっちから願い下げだよっ、クズめ!」
そのままマオ様は去っていきます。
……寧ろ兄弟仲が悪化してはいないでしょうか。
「大丈夫かラティアンカ……て、ええ!?」
「私……私、なんてことを」
「ちょっ、ええ? なにそんな落ち込んでんだよ、キメーな」
レオン様の悪態に返事をできる余裕がないくらい、私の心はどん底です。
なぜこうも空回ってしまうのでしょうか。
「あのさ、獣人が魔術使ったー! とか、すげー! とか、なんかねえの?」
「………あ」
先ほどの氷は、レオン様が出したものだったんですか。
色々情報が多すぎて気づきませんでした。
「凄いですね、レオン様」
「それだけ?」
「もっと褒めてほしいんですか?」
「いや……あっさりしてんなって」
そう言う割には、レオン様は嬉しそうです。
「あー……なんだ。話してやるよ。俺とあのクズ、相性サイアクだって」
「……………」
「聞いてらっしゃいますか」
後日、王宮の中を探し回り、マオ様を発見いたしました。
私の顔を見るなり速攻逃げようとしたので、彼の前へ回り込んでひたすら話しかけています。
しかし彼は私の存在をないもののように扱い、無視を貫きます。
今だって、どこかへ向かうマオ様に私が付き纏っている形です。
「先日はすみません。つい頭に血が上ってしまいました」
「………」
「でもあの物言いでは、ロールが傷つきます。あの子に何をして欲しいのか、きちんと話したほうがお互いいいと思うんです」
「……………」
「それに、レオン様とも。お話し、しましょう」
「ついてくるな」
「やっと聞いてくれますか」
私の発言を聞き、マオ様は小さく舌打ちしました。
きっと返事をしたことを後悔なされたのでしょう。
でももう遅いです。
「このままでは関係性は悪いままですよ」
「………」
「ロールやレオン様と険悪になれば、悪いことしかありませんよ」
「……………」
「お話しすべきです」
ダァン!! と物凄い勢いで壁ドンされました。
ここまで嬉しくない壁ドンは初めてですね。
「寄ってくるな。気持ち悪いんだよ」
「ですから、女性に気持ち悪いとか言うのはよくないと思います」
「何なんだ貴様は? 何様のつもりだ?」
「私はラティアンカです。余計な口は挟ませていただきます」
「母親にでもなったつもりか?」
「あなたには立派なお母様がいらっしゃるではありませんか」
女王様やレオン様と同じ、蒼の双眼が不快そうに細められます。
「貴様が視界に入るだけで腹が立つ。二度と私の前に立つな」
「なら後ろにおりましょう」
「前言撤回だ。半径5メートル以内に立ち寄るな」
「なら離れて話しましょう」
「そもそも話しかけるな」
「それは却下です」
「……………」
圧が凄いですね。
ですが、私も一応世界一の魔術師の妻をやらせていただいている者です。
旦那様と過ごした屋敷での一年間の間に、たくさんの人と関わり言葉を交わしてきました。
マオ様のように厄介な方もいらっしゃりましたから、特に怖気付く必要はありません。
寧ろ自信ありげに立っている方がいいでしょう。
「……キショ」
小さく、誰にも聞こえないように。
双子の弟のような口の悪さで、マオ様は私に言い捨てました。
彼の本性がなんとなくですが見えてきました。
「キショくて結構です」
「聞くな」
「あなたがおっしゃったのでしょう」
「そもそも第一、俺は王子だぞ。王子に話しかけるな、愚民が」
「残念ながら私はあなたの民ではありませんので」
「付き纏うな。殺すぞ」
「どんどん物騒になってきましたね」
表情を変えず、スンとしていれば、マオ様の氷のような瞳は私の首元に注がれていることに気付きました。
「何だ、それは」
「ネックレスですが」
「そんな気味の悪いものが、ただのネックレスなわけないだろう」
「これは旦那様がくださったものです。訂正してください」
「……キショ」
私との言い争いに飽きたのか、マオ様はそのまま走っていってしまいました。
マオ様はもちろん、獣人の方の脚力には追いつくことはできません。
その後ろ姿を見送れば、焦った顔をした侍女や執事の方が私に話しかけてきます。
「お、お客様。マオ殿下は、その」
「少々気難しい方ですが、きっと仲良くなってみせます」
「無茶です! マオ殿下は昔からああなのです」
「千里の道も一歩からですよ」
「今回ばかりは無理です」
忠告というか、純粋に心配していただいけるのはありがたいのですが、私は諦めるわけにはいきません。
何より、ロールの害になる方なのかもしれないのです。
不安要素は潰しておくに限ります。
しかし、その日一杯はどれだけ探してもマオ様の姿は見当たりませんでした。
◆ ◆ ◆
次の日になりました。
ロールはどうやら記憶を取り戻すべく、レオン様と共に王宮内を回っているようです。
私もどうだと誘われましたが、お断りしました。
「ラティ様、どこかに行くんですか?」
「少し見たいものがありまして」
「そ。気ぃつけなよ。女神教とマオにはぜってー近寄んなよ!」
ごめんなさい、そのマオ様に付き纏ってます。
そんなことは言えるわけないので、黙って笑顔で手を振りました。
部屋を出て、マオ様を探します。
「……あ」
庭園に向かえば、マオ様がいらっしゃいました。
私がマオ様に近づくと、マオ様はギロリとこちらを睨みます。
「来るな。殺すぞ」
「女王様からは、宮殿を自由に立ち歩いて良いと許可をいただいています」
「母上を盾にするとは。何て愚かな娘だ」
「娘というほどの歳じゃありません。私、25ですから」
年齢を明かせば、度肝を抜かれたようでマオ様はしばらく放心しました。
「…………25?」
「はい」
「私より年上ではないか」
「そうですよ」
「年増か」
「純粋に失礼ですね」
こううだうだしていれば、また逃げられてしまいますね。
畳み掛けるとしましょう。
「マオ様。どうか、レオン様やロールと話してください」
「黙れ」
「あの子達はとてもいい子です」
「黙れと言っている」
「なにか、すれ違いが起きているのではありませんか?」
「黙れ!! いい加減口を閉ざせ!!」
「いいえ黙りません!!」
マオ様に反撃するよう、マオ様以上の声量を上げます。
ここまで大きな声を上げたのは本当に久しぶりです。
「どうしてそこまで拒絶なさるのです!? あの子達が何をしたというのです!? あなたの不利になることをなさりました!?」
「不愉快なんだよっ!! シャルロッテもっ、レオンもっ………いるだけで迷惑だ!! 私にとってっ、害でしかない!!」
「どの口が言いますか!! そうやっていつまでを駄々をこねているようでは、進むものも進まないというのに!!」
「うるさい!! 知ったような口をきくな!!」
私達の言い争いに気づいた侍女と執事の方達が、大慌てで誰かを呼んでいます。
そのうちの勇気ある1人が出てきました。
「あっ、あのっ、落ち着いて……」
「こいつをここからつまみ出せ!!」
「へっ、でも、この方はシャルロッテ様の……」
「私と神子、どちらが大事なのだ!!」
「それは……」
仲裁にやってきた執事の方が口籠もります。
その様子を見てますますマオ様の機嫌が急降下しました。
「もういい。お前達がやらないなら、私がやるまでだ」
「マオ殿下!?」
ジリ、と私に近づくマオ様。
先程とは立場が逆転しました。
「恨むなら自分を恨むことだな、女」
「ラティアンカです。それと、私はここから出て行くつもりはありません」
「そうか。なら死ね」
啖呵を切ったはいいものの、どうしましょう。
このままでは本当に死んでしまうのではないでしょうか。
振りかぶられた拳を見てそんなことを考えていると、不意に体が後ろへ傾きました。
パキィン……!
「……………」
「レオン様」
私の体を受け止めたのは、ロールと散歩に出かけたはずのレオン様でした。
よく見れば、マオ様の拳が氷漬けになっています。
「そこを退け、愚弟が」
「いーやどかないね。何が愚弟だよ。スカしちゃってさ」
「恥さらしめ。お前ほどのこの国にとっての邪魔者はいまいな」
「へいへい。御託は結構なんで……俺のダチになにしてくれてんの?」
底冷えのする、低すぎる声。
場の空気も氷漬けになったような気分になります。
しばらく睨み合いを続けていた両者ですが、マオ様が自らを拘束した氷を砕きました。
「不愉快だ。視界に入るな」
「アンタなんてこっちから願い下げだよっ、クズめ!」
そのままマオ様は去っていきます。
……寧ろ兄弟仲が悪化してはいないでしょうか。
「大丈夫かラティアンカ……て、ええ!?」
「私……私、なんてことを」
「ちょっ、ええ? なにそんな落ち込んでんだよ、キメーな」
レオン様の悪態に返事をできる余裕がないくらい、私の心はどん底です。
なぜこうも空回ってしまうのでしょうか。
「あのさ、獣人が魔術使ったー! とか、すげー! とか、なんかねえの?」
「………あ」
先ほどの氷は、レオン様が出したものだったんですか。
色々情報が多すぎて気づきませんでした。
「凄いですね、レオン様」
「それだけ?」
「もっと褒めてほしいんですか?」
「いや……あっさりしてんなって」
そう言う割には、レオン様は嬉しそうです。
「あー……なんだ。話してやるよ。俺とあのクズ、相性サイアクだって」
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