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気づけなかった。気づかなかった。
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「エリクル様が……敵側に?」
「間違いない」
戻ってきた旦那様に報告されたのは、信じ難い事実でした。
……いえ、信じ難いは言いすぎましたね。
私は元々エリクル様を疑っていましたし、なぜか喉のつっかえが取れたような気分でした。
先ほどまで、あんなにエリクル様に安心感を抱いていたのにも関わらずです。
今ではそのことに違和感しか感じません。
でも、ロールは違うみたいで。
「うっ、嘘です!! そんな……だって」
それを聞いたロールの息が途端に荒くなり、視点が朧げになります。
「あ、れ……ぇ、わた、し」
「ロール! しっかりして!」
ゼヒュ、ゼヒュ、と怪しげな呼吸を繰り返すロールに声を荒げれば、ハッとしてロールは私を見ました。
「全部、私のせいです」
「ロール?」
「私が、記憶のこと、アルジェルド様に話さなかったから。黙ってたから」
「っ、それは私のせいです。私が言うなと言ったのですから」
「どういうことだ」
旦那様から声をかけられます。
かつて、ロールが記憶を取り戻した時。
エリクル様が暗殺者側にいたことを記憶を、私は「言うな」と言ってしまったのです。
旦那様とエリクル様の仲に亀裂を入れたくなかったから。
今となっては、ただの言い訳です。
「旦那様、責任は私にあります」
「ラティ様っ」
「まずは説明してくれないか。女王もいる」
気を遣ってか後ろに下がってくれていた女王様に罪悪感を覚えつつ、私は全て話しました。
「あまりに現実味のない話だと思って、話すなとロールに口止めしていました。逆らえないことをいいことに。全て、私のせいです」
「ラティ様のせいじゃありません! だって、ラティ様はアルジェルド様とエリクル様のことを思って」
「やめましょう、こんなこと」
女王様の声が響きました。
とても悲しげに目を細めて、女王様は仰られました。
「責任は誰にもないわ。エリクル様は裏切った。それだけ」
「っ」
「こんなこと、無意味よ」
無意味。その通りだと理性は納得しているのに、感情は追いつきません。
私がもっと、ちゃんとすればよかった。
旅に出て、私が役に立った場面はあったのでしょうか。
守られてばかりの、役立たずではありませんか。
「ごめんなさい……頭を冷やさせてください」
「ラティ様!」
気持ちの整理がつかず、無礼だと承知しながらもその場を立ち去りました。
どこか一人になれる場所が欲しい。
その一心で、何も考えずに走りました。
「あっ」
たどり着いたのは、王宮の庭園。
女王様が好んでらっしゃるのか、それとも庭師が植えたのか。
女王様の瞳と同じ、綺麗な蒼色の花が咲き乱れていました。
「綺麗……」
花の良い香りに、心が和らいだ気がしました。
そういえば、ロールにつけた名前の由来も、ルルの店にあった「ロールの花」を思い出したからだったですね。
「おい、そこで何をしている」
低く、威厳のある声が聞こえてきました。
声のするほうへ振り向くと、ロールより少し大きいくらいの少年が立っています。
気の強そうなツリ目の彼は、花と同じ蒼の瞳をしていました。
「私は……」
「何だ、お前。シャルロッテの恩人か」
私が獣人でないことに気づき、警戒を解いたようです。
彼は私のそばまでやってくると、横へ座りました。
「お前も座れ」
「え、でも」
「いいから」
有無を言わせぬ少年の態度に圧倒され、少年のそばへ座ります。
「で、何してんの」
「少し、非常事態がおきまして」
「だろうな。ひでー顔」
少年は私を見て笑うと、「話せば?」と言ってくれました。
誰かに話したい気分でしたので、聞いてくれるのならお言葉に甘えましょう。
「ーーというわけです」
「うわっ、なんだソイツ。クソじゃん」
「くそ……」
「クソだろ。優男のふりしてさぁ? 裏切ったんだろ? はー、やだやだ。キモッ」
べぇ、と舌を出してみせる彼のヤンチャな態度に、新鮮さを感じて笑いました。
すると彼は珍しいものを見た時のように目を細めてみせます。
「なんだ。いい顔できんじゃん」
「元気がでました」
「そいつの名前、なんていったっけ?」
「エリクル様です」
「そーそーエリクル。何考えてるんだろーなー」
「何考えてる、とは?」
「いや、裏切るならなんでこのタイミングなんだろうなって。風魔? とかに乗ってる時とかに暗殺とかできんだろ」
「それは……わかりません」
「ひょっとして、絆されてたとか?」
「ないな」
「旦那様」
旦那様がやってきました。
私をいつも通り後ろから抱きしめて、威嚇するように彼を睨みつけます。
「俺のだ」
「ハハッ。心配しなくても、タイプじゃねーよ」
「ラティアンカは美人だろ」
「確かに、顔はキレーだな。だけど、俺のタイプはこう、妖艶な奴じゃなくて……カワイイ奴なんだよ」
ニヘッとはにかんだ彼は、年相応に見えました。
纏っていた大人っぽい雰囲気は消え去ったようです。
「ロールは?」
「女王と一緒だ」
「ロール? お前らの仲間?」
「シャルロッテのことだ」
「はあ!?」
彼は目を大きく見開くと、忌々しげに王宮のほうを睨みました。
「あんのクソババア……!! シャルロッテと二人きりだと!?」
「別に、二人きりとは言ってない」
「関係ねぇよ!! あーっ、今行っても追い出されるのがオチだな」
「息子なのにか」
……息子?
旦那様の発言に首を傾げれば、「名乗ってなかったか」と言って、彼は自己紹介をしました。
「俺、王子様やってんの。ババアの子供」
「……まぁ」
「王子様なのに口悪いからな。嫌がられてる」
「ロール……シャルロッテのことは、どう思って?」
確か、メリアさんが王子はロールのことが嫌いだと聞いていましたが。
「好きだよ。あいつ、俺の妹みたいなもんなんだ」
「……?」
噛み合わない話に首を捻りますが、王子様は嘘をついているようには見えませんね。
どういうことでしょうか。
「まー、俺はソイツじゃないから何考えてるかはわかんないけどさ。俺が裏切りに合う時は、何かしら絶対理由があった」
「裏切りですか」
「王子だからな。信じてた親友に、裏切られたこともあった。何でって。どうしてって。詰め寄ったさ、牢獄でな。そしたらソイツ、何て言ったと思う?」
「さぁ……」
「お前の地位が目当てだった、だとさ。信じられるか? 俺を誘拐するため、親友にまでなったんだぞ? 笑えるよな」
「王子様、笑えません」
「あんた見かけによらず、めちゃくちゃハッキリ言うよな」
何が気に入ったのか、王子様は愉快げです。
女王様と同じ猫の尻尾がゆらゆらと揺れています。
「さっきのに戻すけど。絆されたってことがないって、なに?」
尋ねられた旦那様は、私の額にかかる前髪をいじりながら答えます。
「あいつはそんな、情に訴えかける奴じゃない」
「へぇ?」
「旦那様? それはどういうことで?」
「あいつ、俺の親友やってるんだぞ。普通なわけないだろう」
「ああ」
「納得するな」
「旦那様が言ったんじゃないですか」
「お仕置きだ」とプニ、と頬を両側から挟まれました。
随分と可愛いお仕置きですね。
「冷酷な奴なの?」
「そんなことはありませんよ。エリクル様は冷酷などではありません」
「て言ってるけど?」
「事実だ」
「言ってること違くないか?」
「冷酷ではないが、あいつは区別して生きてきた」
「区別ですか」
「あいつにとって、有意義かそうではないか。それがあいつの、生きる基準だ」
「間違いない」
戻ってきた旦那様に報告されたのは、信じ難い事実でした。
……いえ、信じ難いは言いすぎましたね。
私は元々エリクル様を疑っていましたし、なぜか喉のつっかえが取れたような気分でした。
先ほどまで、あんなにエリクル様に安心感を抱いていたのにも関わらずです。
今ではそのことに違和感しか感じません。
でも、ロールは違うみたいで。
「うっ、嘘です!! そんな……だって」
それを聞いたロールの息が途端に荒くなり、視点が朧げになります。
「あ、れ……ぇ、わた、し」
「ロール! しっかりして!」
ゼヒュ、ゼヒュ、と怪しげな呼吸を繰り返すロールに声を荒げれば、ハッとしてロールは私を見ました。
「全部、私のせいです」
「ロール?」
「私が、記憶のこと、アルジェルド様に話さなかったから。黙ってたから」
「っ、それは私のせいです。私が言うなと言ったのですから」
「どういうことだ」
旦那様から声をかけられます。
かつて、ロールが記憶を取り戻した時。
エリクル様が暗殺者側にいたことを記憶を、私は「言うな」と言ってしまったのです。
旦那様とエリクル様の仲に亀裂を入れたくなかったから。
今となっては、ただの言い訳です。
「旦那様、責任は私にあります」
「ラティ様っ」
「まずは説明してくれないか。女王もいる」
気を遣ってか後ろに下がってくれていた女王様に罪悪感を覚えつつ、私は全て話しました。
「あまりに現実味のない話だと思って、話すなとロールに口止めしていました。逆らえないことをいいことに。全て、私のせいです」
「ラティ様のせいじゃありません! だって、ラティ様はアルジェルド様とエリクル様のことを思って」
「やめましょう、こんなこと」
女王様の声が響きました。
とても悲しげに目を細めて、女王様は仰られました。
「責任は誰にもないわ。エリクル様は裏切った。それだけ」
「っ」
「こんなこと、無意味よ」
無意味。その通りだと理性は納得しているのに、感情は追いつきません。
私がもっと、ちゃんとすればよかった。
旅に出て、私が役に立った場面はあったのでしょうか。
守られてばかりの、役立たずではありませんか。
「ごめんなさい……頭を冷やさせてください」
「ラティ様!」
気持ちの整理がつかず、無礼だと承知しながらもその場を立ち去りました。
どこか一人になれる場所が欲しい。
その一心で、何も考えずに走りました。
「あっ」
たどり着いたのは、王宮の庭園。
女王様が好んでらっしゃるのか、それとも庭師が植えたのか。
女王様の瞳と同じ、綺麗な蒼色の花が咲き乱れていました。
「綺麗……」
花の良い香りに、心が和らいだ気がしました。
そういえば、ロールにつけた名前の由来も、ルルの店にあった「ロールの花」を思い出したからだったですね。
「おい、そこで何をしている」
低く、威厳のある声が聞こえてきました。
声のするほうへ振り向くと、ロールより少し大きいくらいの少年が立っています。
気の強そうなツリ目の彼は、花と同じ蒼の瞳をしていました。
「私は……」
「何だ、お前。シャルロッテの恩人か」
私が獣人でないことに気づき、警戒を解いたようです。
彼は私のそばまでやってくると、横へ座りました。
「お前も座れ」
「え、でも」
「いいから」
有無を言わせぬ少年の態度に圧倒され、少年のそばへ座ります。
「で、何してんの」
「少し、非常事態がおきまして」
「だろうな。ひでー顔」
少年は私を見て笑うと、「話せば?」と言ってくれました。
誰かに話したい気分でしたので、聞いてくれるのならお言葉に甘えましょう。
「ーーというわけです」
「うわっ、なんだソイツ。クソじゃん」
「くそ……」
「クソだろ。優男のふりしてさぁ? 裏切ったんだろ? はー、やだやだ。キモッ」
べぇ、と舌を出してみせる彼のヤンチャな態度に、新鮮さを感じて笑いました。
すると彼は珍しいものを見た時のように目を細めてみせます。
「なんだ。いい顔できんじゃん」
「元気がでました」
「そいつの名前、なんていったっけ?」
「エリクル様です」
「そーそーエリクル。何考えてるんだろーなー」
「何考えてる、とは?」
「いや、裏切るならなんでこのタイミングなんだろうなって。風魔? とかに乗ってる時とかに暗殺とかできんだろ」
「それは……わかりません」
「ひょっとして、絆されてたとか?」
「ないな」
「旦那様」
旦那様がやってきました。
私をいつも通り後ろから抱きしめて、威嚇するように彼を睨みつけます。
「俺のだ」
「ハハッ。心配しなくても、タイプじゃねーよ」
「ラティアンカは美人だろ」
「確かに、顔はキレーだな。だけど、俺のタイプはこう、妖艶な奴じゃなくて……カワイイ奴なんだよ」
ニヘッとはにかんだ彼は、年相応に見えました。
纏っていた大人っぽい雰囲気は消え去ったようです。
「ロールは?」
「女王と一緒だ」
「ロール? お前らの仲間?」
「シャルロッテのことだ」
「はあ!?」
彼は目を大きく見開くと、忌々しげに王宮のほうを睨みました。
「あんのクソババア……!! シャルロッテと二人きりだと!?」
「別に、二人きりとは言ってない」
「関係ねぇよ!! あーっ、今行っても追い出されるのがオチだな」
「息子なのにか」
……息子?
旦那様の発言に首を傾げれば、「名乗ってなかったか」と言って、彼は自己紹介をしました。
「俺、王子様やってんの。ババアの子供」
「……まぁ」
「王子様なのに口悪いからな。嫌がられてる」
「ロール……シャルロッテのことは、どう思って?」
確か、メリアさんが王子はロールのことが嫌いだと聞いていましたが。
「好きだよ。あいつ、俺の妹みたいなもんなんだ」
「……?」
噛み合わない話に首を捻りますが、王子様は嘘をついているようには見えませんね。
どういうことでしょうか。
「まー、俺はソイツじゃないから何考えてるかはわかんないけどさ。俺が裏切りに合う時は、何かしら絶対理由があった」
「裏切りですか」
「王子だからな。信じてた親友に、裏切られたこともあった。何でって。どうしてって。詰め寄ったさ、牢獄でな。そしたらソイツ、何て言ったと思う?」
「さぁ……」
「お前の地位が目当てだった、だとさ。信じられるか? 俺を誘拐するため、親友にまでなったんだぞ? 笑えるよな」
「王子様、笑えません」
「あんた見かけによらず、めちゃくちゃハッキリ言うよな」
何が気に入ったのか、王子様は愉快げです。
女王様と同じ猫の尻尾がゆらゆらと揺れています。
「さっきのに戻すけど。絆されたってことがないって、なに?」
尋ねられた旦那様は、私の額にかかる前髪をいじりながら答えます。
「あいつはそんな、情に訴えかける奴じゃない」
「へぇ?」
「旦那様? それはどういうことで?」
「あいつ、俺の親友やってるんだぞ。普通なわけないだろう」
「ああ」
「納得するな」
「旦那様が言ったんじゃないですか」
「お仕置きだ」とプニ、と頬を両側から挟まれました。
随分と可愛いお仕置きですね。
「冷酷な奴なの?」
「そんなことはありませんよ。エリクル様は冷酷などではありません」
「て言ってるけど?」
「事実だ」
「言ってること違くないか?」
「冷酷ではないが、あいつは区別して生きてきた」
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