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綺麗でステキな女王様。
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扉をロールが開けると、そこには一人の女性が立っていました。
女性にしては背が高く、その頭には恐らく猫のものと思われる夜空色の耳が揺れています。
女王様でしょう。
玉座にも座らず、蒼い瞳で私達をじっと見つめています。
「女王、様ーー」
その瞳が、真っ直ぐロールを見ました。
「シャルロッテ」
彼女は小さくつぶやくと、確かめるようにロールの頬に触れ。
そこで抱きしめました。
「ああ、よかった。無事でよかった」
「私……あの」
「知ってるわ。あなたに記憶がないことは聞いた。でも、今は無事を祝わせて」
まるで母が子に対する愛情のようなものを、女王様からは感じました。
きっと女王様は、本当にロールのことを可愛がってくれていたのでしょう。
ロールを離すと、彼女は私に向かって微笑みました。
「ありがとう、シャルロッテをここまで連れてきてくれて」
「いえ」
「何があったか、詳しく説明してくれる?」
「私でよければ」
私はそれから、ロールが奴隷だったこと。
彼女を護衛として雇い、ここまで旅をしてきたことを説明しました。
「そう、旅をしてきたのね」
「ロール……いえ、シャルロッテ様を危険な目に合わせてしまい、申し訳ありません」
「いいのよ。事情も事情だったし。それに」
キュッと、後ろから服の袖が引かれました。
振り向けば拗ねたような顔をしたロールが目に映ります。
「シャルロッテに「ロール」という名前をくれたのはあなたでしょう? ぜひ変わらぬ態度で接してあげて」
「女王様……」
「ラティ様、シャルロッテ様なんてやめてください。嫌です、私はラティ様の護衛なんです!」
不満を爆発させてロールは私に抱きつきました。
「だいたいここが何なのか全くわかりませんし! 神子だのなんだの言ってきますけど知りませんよ! 私はラティ様の護衛であるロールなんですから!」
今までストレスが溜まっていたのでしょう。
叫び終わった後にハッとして、気まずげにロールは女王様のほうを見ました。
「あの、ええと」
「シャルロッテに信頼できる方ができてよかったわ。こんなに素直なシャルロッテを見るのはいつぶりかしら」
「~っ!」
優しすぎるその目をくすぐったく思ったのか、ロールは顔を真っ赤にしてうつむきました。
「おい、ひっつくな」
旦那様がロールを私から剥がしにかかります。
「嫌です!!」と言って旦那様を睨みつけるロール。
二人の間にバチバチと火花が散ります。
「2人共。女王様の前なんだから、みっともないことはやめよ?」
エリクル様の一言はどうやら2人に聞き入れられなかったらしく。
何やらよくわからない言い合いは続きます。
「ラティアンカは俺の嫁だ。つまり俺のものだ」
「ラティ様をもの扱いだなんて最低ですっ! 私のほうがラティ様のこと、好きですもん!」
「ふざけるな。いくらロールでも、言っていいことと悪いことがある」
「ふざけてなんかいませんよ! つい最近までヘタレだったくせに! なに開き直ってるんですか!」
「俺はラティアンカを愛してる」
「ならもっとまともな行動取れなかったんですか~!」
べーっ! と旦那様に向かって舌を出すロール。
「こら」と女王様がロールを咎めました。
「およしなさい。そういうところは相変わらずね」
「う」
「アルジェルド様に失礼でしょう」
「俺を知ってるのか」
旦那様は名前を呼ばれたので、意外そうに女王様に尋ねました。
「ええ、もちろん。ナジクに住み、ナジク全域に結界を張る実力を持つ世界一の魔術師。ナジクは大国ですので、一人で結界を張るなど実質不可能だと思われたのにも関わらず、こうした偉業を成し遂げた実力は本物でしょう。ちなみに、結界はそのままで?」
「まあ、そのままだ。一年契約だからな」
「素晴らしい自国愛ね」
「別に俺はナジクを愛してはいない」
「え?」
その返答に情けない声を出してしまったのは私です。
結界を張るには疲労感が伴うと知識で得ていたので、そこまでしているならナジクのことを愛しているものだと思っていたのですが。
「給料が良かったから受けただけだ。俺は、ラティアンカと暮らす金が欲しかった」
「結界は定期的に張り直すの?」
「半年に一回」
「改めて聞くと凄いわね。疲れないの?」
「全く」
「あなたほどの魔術師は、きっと後にも先にも生まれないんでしょうね」
「……俺に子供ができたらわからない」
もう子供のことまで考えているんですか、旦那様。
気の早い話に思えますが……離婚期間を除けば一年も経過していますものね。
時期的にはそうなんでしょうか。
「ラティアンカ嬢とアルの子供かぁ。うん、美形の遺伝子が凄そうだね」
「ラティ様のお子様、見てみたいです!」
無邪気にロールはそう言いますが、私は旦那様とそういった触れ合いは一切したことがありません。
これは、気恥ずかしいものがありますね。
「シャルロッテ。赤子がどうやってできるか知ってる?」
「? よくわかりませんが……夫婦になればいいんじゃないですか?」
ピュアですね……この純粋さを守りたいです。
どこか遠い目をしてそう考えていると、慌てて玉座の間に兵士の一人がやってきました。
「女王様!」
「何事です。この場は人払いをしたはずですが」
「もっ、申し訳ありません……! 魔術師がっ、攻めてきました!」
どうやら、悠長なことはしていられないようです。
女性にしては背が高く、その頭には恐らく猫のものと思われる夜空色の耳が揺れています。
女王様でしょう。
玉座にも座らず、蒼い瞳で私達をじっと見つめています。
「女王、様ーー」
その瞳が、真っ直ぐロールを見ました。
「シャルロッテ」
彼女は小さくつぶやくと、確かめるようにロールの頬に触れ。
そこで抱きしめました。
「ああ、よかった。無事でよかった」
「私……あの」
「知ってるわ。あなたに記憶がないことは聞いた。でも、今は無事を祝わせて」
まるで母が子に対する愛情のようなものを、女王様からは感じました。
きっと女王様は、本当にロールのことを可愛がってくれていたのでしょう。
ロールを離すと、彼女は私に向かって微笑みました。
「ありがとう、シャルロッテをここまで連れてきてくれて」
「いえ」
「何があったか、詳しく説明してくれる?」
「私でよければ」
私はそれから、ロールが奴隷だったこと。
彼女を護衛として雇い、ここまで旅をしてきたことを説明しました。
「そう、旅をしてきたのね」
「ロール……いえ、シャルロッテ様を危険な目に合わせてしまい、申し訳ありません」
「いいのよ。事情も事情だったし。それに」
キュッと、後ろから服の袖が引かれました。
振り向けば拗ねたような顔をしたロールが目に映ります。
「シャルロッテに「ロール」という名前をくれたのはあなたでしょう? ぜひ変わらぬ態度で接してあげて」
「女王様……」
「ラティ様、シャルロッテ様なんてやめてください。嫌です、私はラティ様の護衛なんです!」
不満を爆発させてロールは私に抱きつきました。
「だいたいここが何なのか全くわかりませんし! 神子だのなんだの言ってきますけど知りませんよ! 私はラティ様の護衛であるロールなんですから!」
今までストレスが溜まっていたのでしょう。
叫び終わった後にハッとして、気まずげにロールは女王様のほうを見ました。
「あの、ええと」
「シャルロッテに信頼できる方ができてよかったわ。こんなに素直なシャルロッテを見るのはいつぶりかしら」
「~っ!」
優しすぎるその目をくすぐったく思ったのか、ロールは顔を真っ赤にしてうつむきました。
「おい、ひっつくな」
旦那様がロールを私から剥がしにかかります。
「嫌です!!」と言って旦那様を睨みつけるロール。
二人の間にバチバチと火花が散ります。
「2人共。女王様の前なんだから、みっともないことはやめよ?」
エリクル様の一言はどうやら2人に聞き入れられなかったらしく。
何やらよくわからない言い合いは続きます。
「ラティアンカは俺の嫁だ。つまり俺のものだ」
「ラティ様をもの扱いだなんて最低ですっ! 私のほうがラティ様のこと、好きですもん!」
「ふざけるな。いくらロールでも、言っていいことと悪いことがある」
「ふざけてなんかいませんよ! つい最近までヘタレだったくせに! なに開き直ってるんですか!」
「俺はラティアンカを愛してる」
「ならもっとまともな行動取れなかったんですか~!」
べーっ! と旦那様に向かって舌を出すロール。
「こら」と女王様がロールを咎めました。
「およしなさい。そういうところは相変わらずね」
「う」
「アルジェルド様に失礼でしょう」
「俺を知ってるのか」
旦那様は名前を呼ばれたので、意外そうに女王様に尋ねました。
「ええ、もちろん。ナジクに住み、ナジク全域に結界を張る実力を持つ世界一の魔術師。ナジクは大国ですので、一人で結界を張るなど実質不可能だと思われたのにも関わらず、こうした偉業を成し遂げた実力は本物でしょう。ちなみに、結界はそのままで?」
「まあ、そのままだ。一年契約だからな」
「素晴らしい自国愛ね」
「別に俺はナジクを愛してはいない」
「え?」
その返答に情けない声を出してしまったのは私です。
結界を張るには疲労感が伴うと知識で得ていたので、そこまでしているならナジクのことを愛しているものだと思っていたのですが。
「給料が良かったから受けただけだ。俺は、ラティアンカと暮らす金が欲しかった」
「結界は定期的に張り直すの?」
「半年に一回」
「改めて聞くと凄いわね。疲れないの?」
「全く」
「あなたほどの魔術師は、きっと後にも先にも生まれないんでしょうね」
「……俺に子供ができたらわからない」
もう子供のことまで考えているんですか、旦那様。
気の早い話に思えますが……離婚期間を除けば一年も経過していますものね。
時期的にはそうなんでしょうか。
「ラティアンカ嬢とアルの子供かぁ。うん、美形の遺伝子が凄そうだね」
「ラティ様のお子様、見てみたいです!」
無邪気にロールはそう言いますが、私は旦那様とそういった触れ合いは一切したことがありません。
これは、気恥ずかしいものがありますね。
「シャルロッテ。赤子がどうやってできるか知ってる?」
「? よくわかりませんが……夫婦になればいいんじゃないですか?」
ピュアですね……この純粋さを守りたいです。
どこか遠い目をしてそう考えていると、慌てて玉座の間に兵士の一人がやってきました。
「女王様!」
「何事です。この場は人払いをしたはずですが」
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どうやら、悠長なことはしていられないようです。
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