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信用していた人。
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「………嘘、でしょう?」
「嘘じゃ、ないんです。本当なんです」
エリクル様が?
ロールを、暗殺?
あの柔和なエリクル様が?
ポカンとしていれば、ロールは泣きそうな顔をして口を開きました。
「ま、間違いだって証拠が欲しいんです。エリクル様が四ヶ月前……何をしていたか、知っていますか?」
「エリクル様が……」
四ヶ月前は、エリクル様と会っていませんね。
というよりしばらく会っていませんでした。
でも、旦那様なら何か知っているかもしれませんね。
「旦那様に聞きましょう」
「俺がなんだ?」
「~っ!」
気配もなく後ろに立った旦那様に、思わず驚いて腰が抜けます。
尻もちをつきそうになったところを旦那様に支えられ、そのまま抱き込まれました。
「あの……」
「気にするな。で、俺に話か」
「あ、ハイ」
そのまま私の頭に手を持っていき、撫で始める旦那様。
心地よいですが、眠くなるのでやめてほしいですね。
「アルジェルド様は、エリクル様が四ヶ月前何をしていたか知っていますか?」
「四ヶ月前か。エリクルは、それより前に旅行に出ていたぞ」
「旅行ですか……」
「なんだ。何かあったか」
「それが」
「なんでもありません」
ロールの言葉を遮る形で、私が口を挟みます。
たとえ本当のことだろうが、揉め事の種を撒きたくはありません。
私達で探らなければ。
「そうか」
「あの、旦那様。ちょっとお手洗いに」
「っ、すまないっ」
慌てて私を離し、旦那様は部屋から出ていきました。
「旅行なら、何もわかりませんね」
「エリクル様が……暗殺者の一味なんでしょうか」
「勘違いであればいいんですが」
勘違いでなければ、大変なことになります。
もしエリクル様が暗殺者ならば、ロールの命は狙われてしまいます。
でも、彼は行動を起こしておりません。
ただの、勘違い。
それでまとめて終わらせてしまうには、数少ないロールの記憶が全て間違っていることになってしまいます。
「あれ、ラティアンカ嬢にロールちゃん」
すると、エリクル様がやってきました。
私達を不思議そうに見てきます。
ロールは顔を青くして、私のほうへ様子を伺うように目をやりました。
ーー少し、しかけてみましょう。
「エリクル様。四ヶ月前、何をしていました?」
「旅行だね」
「どこへ?」
「……フォルテに」
「本当ですか?」
「何が言いたいんだい?」
エリクル様の声が低くなりました。
この声には、聞き覚えがありました。
警戒するような、何かを誤魔化すような。
それに、右耳に髪をかけるような仕草。
旦那様はそれを、「エリクル様が嘘をつく時にする癖だ」と言っていました。
「本当は、アストロに行っていたのでは?」
「………まさか。僕はアストロについてはあまり知らないんだ。もう、いいよね」
エリクル様が笑顔を浮かべたまま、その場を去りました。
ーーこれでハッキリしました。
少なくともエリクル様は、嘘をついています。
どこが嘘なのかはわかりませんが。
「………」
「ロール」
「私、エリクル様のこと、尊敬してました。だけど……今は、怖いという気持ちが邪魔してきます」
自分の命を狙うかもしれない人がそばにいれば、それは怖くなるでしょう。
エリクル様は、私が信用している人でした。
こんなことがあった後ではーー疑わねばなりません。
「嘘じゃ、ないんです。本当なんです」
エリクル様が?
ロールを、暗殺?
あの柔和なエリクル様が?
ポカンとしていれば、ロールは泣きそうな顔をして口を開きました。
「ま、間違いだって証拠が欲しいんです。エリクル様が四ヶ月前……何をしていたか、知っていますか?」
「エリクル様が……」
四ヶ月前は、エリクル様と会っていませんね。
というよりしばらく会っていませんでした。
でも、旦那様なら何か知っているかもしれませんね。
「旦那様に聞きましょう」
「俺がなんだ?」
「~っ!」
気配もなく後ろに立った旦那様に、思わず驚いて腰が抜けます。
尻もちをつきそうになったところを旦那様に支えられ、そのまま抱き込まれました。
「あの……」
「気にするな。で、俺に話か」
「あ、ハイ」
そのまま私の頭に手を持っていき、撫で始める旦那様。
心地よいですが、眠くなるのでやめてほしいですね。
「アルジェルド様は、エリクル様が四ヶ月前何をしていたか知っていますか?」
「四ヶ月前か。エリクルは、それより前に旅行に出ていたぞ」
「旅行ですか……」
「なんだ。何かあったか」
「それが」
「なんでもありません」
ロールの言葉を遮る形で、私が口を挟みます。
たとえ本当のことだろうが、揉め事の種を撒きたくはありません。
私達で探らなければ。
「そうか」
「あの、旦那様。ちょっとお手洗いに」
「っ、すまないっ」
慌てて私を離し、旦那様は部屋から出ていきました。
「旅行なら、何もわかりませんね」
「エリクル様が……暗殺者の一味なんでしょうか」
「勘違いであればいいんですが」
勘違いでなければ、大変なことになります。
もしエリクル様が暗殺者ならば、ロールの命は狙われてしまいます。
でも、彼は行動を起こしておりません。
ただの、勘違い。
それでまとめて終わらせてしまうには、数少ないロールの記憶が全て間違っていることになってしまいます。
「あれ、ラティアンカ嬢にロールちゃん」
すると、エリクル様がやってきました。
私達を不思議そうに見てきます。
ロールは顔を青くして、私のほうへ様子を伺うように目をやりました。
ーー少し、しかけてみましょう。
「エリクル様。四ヶ月前、何をしていました?」
「旅行だね」
「どこへ?」
「……フォルテに」
「本当ですか?」
「何が言いたいんだい?」
エリクル様の声が低くなりました。
この声には、聞き覚えがありました。
警戒するような、何かを誤魔化すような。
それに、右耳に髪をかけるような仕草。
旦那様はそれを、「エリクル様が嘘をつく時にする癖だ」と言っていました。
「本当は、アストロに行っていたのでは?」
「………まさか。僕はアストロについてはあまり知らないんだ。もう、いいよね」
エリクル様が笑顔を浮かべたまま、その場を去りました。
ーーこれでハッキリしました。
少なくともエリクル様は、嘘をついています。
どこが嘘なのかはわかりませんが。
「………」
「ロール」
「私、エリクル様のこと、尊敬してました。だけど……今は、怖いという気持ちが邪魔してきます」
自分の命を狙うかもしれない人がそばにいれば、それは怖くなるでしょう。
エリクル様は、私が信用している人でした。
こんなことがあった後ではーー疑わねばなりません。
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