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偶然と波乱がやってきます。
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ラグランドが見えてきました。
こうして旅をするのも、いよいよ慣れてきましたね。
アストロにつくまではあともう少しですし。
歩いていけば一年はかかると言われている国にも風魔であっという間に行けるので、やはり魔術師の方は便利だなぁと思います。
いつものように入国審査を済ませ、国に入ろうと私達は準備しました。
しかし。
「本当よ。嘘じゃない」
「しかし」
「あー、つくづく男っていうのはイヤね。女が出世してるのを認めたくない的な?」
「っ! このっ」
何やら揉めていますね。
受付の方と、一人の女性が言い争いをしています。
その女性を見て何かに気づいたエリクル様は、その方に声をかけました。
「ひょっとして……ジェシーかい?」
「え? エリクル?」
どうやら顔見知りだったみたいですね。
女性はエリクル様と向き合うと、妖艶に笑いました。
「ちょうどよかった。誤解、解いて」
「僕を雑用に使わないでくれるかい?」
「いいじゃないの。入れなくて困ってるんだから」
「はぁ……」
静かにため息をついたエリクル様は、受付係さんに尋ねます。
「彼女が誰かご存知で?」
「魔術師だと言われましたが、信じられませんね。魔術師じゃなかろうと、魔術が使える人は使えますし」
「ジェシー、ここで魔術使ってみせなよ」
「ヤダよ。誰がコイツなんかに!」
どうやら彼女もムキになっているようですね。
べっと舌を出して、相手を挑発します。
「くそっ、女のくせに」
「女だから何だい?」
「決まってるでしょう。世の中、男のほうが偉いんです。あなたも男ならわかるでしょう」
「うわぁ、笑える」
男女差別がなかったヒイロの国を目にした後のせいか、いつもより腹が立ちます。
エリクル様はその受付の人に向けて嘲笑しました。
「彼女の名前聞いた?」
「ああ、聞きましたよ。ジェシーってね」
「直接だよ」
「聞いてないですよ。名乗りませんので」
「おい」
「だって信じてくんないもん」
すると、痺れを切らしたのか、横で黙っていた旦那様が一歩前に出ます。
「……いいか」
「?」
「俺は、アルジェルド・マルシムという」
「はあ? アルジェルド・マルシ……って、はあ!?」
そこで旦那様が有名人であることに気づいたのでしょう。
急に胡散臭い笑みを浮かべてきます。
「何と。世界一の魔術師様におこしいただけるとは……光栄です」
「それじゃない」
「え?」
旦那様は表情を変えずに、続けました。
それじゃない……ということは、言いたいことが違うということでしょうか。
「俺なら、信用できるな」
「はい! もちろんです!」
「……こいつはジェシー・モンドレ。俺に次ぐ、世界二位の魔術師だ」
「はえ?」
ジェシー・モンドレ。
その名前は、私でも聞いたことがあります。
旦那様に次ぐ魔術師であり、植物学者をやっている人です。
数々の業績を各国に残し、色々な地を転々と旅をしているらしいです。
「すっ、すみませんでした……!!」
「はぁ~~~。やになっちゃうね、もう」
深く深くため息をついた彼女から、本当にうんざりしていることが伺えます。
こういった差別は珍しくありません。
気分を害して当たり前でしょう。
「ほら、さっさと入国書ちょうだい」
「はっ、はい!」
私達の分とジェシーさんの分の入国書を渡した彼は、そそくさとどこかへ逃げていきました。
「最悪。それに、めんどくさ」
「ジェシー。魔術師だってことを黙って入ればいいじゃないか」
「私、この国で魔術を使う予定があるの。後でお縄につくのはムリ。てか、面白いメンツね」
ちなみに魔術師が魔法を使う場合は、申請を出せば使うことができます。
申請を出さなければ犯罪者扱いされてしまいますので、注意が必要です。
私達四人を見た後、ジェシーさんはクスクスと笑います。
エリクル様と旦那様のお知り合いのようですし、挨拶をしておきましょう。
「はじめまして。私、ラティアンカと申します」
「! わ、私っ、ロールです!」
私に続いて、どもりながらもロールが挨拶をします。
一度腰を折って顔を上げれば、凄く近くにジェシーさんの顔がありました。
「え」
「ふぅん……アンタが、アルの嫁ね」
「違います。離婚しました」
「離婚したぁ!?」
するとジェシーさんは旦那様の胸元を掴み、思い切り揺さぶりました。
「本当か!? り、離婚って!!」
「……嘘ではない」
「マジか!!」
すると、ジェシーさんは嬉しそうに笑って、旦那様にとんでもないことを言いました。
「じゃあさ、私と結婚しよ。独り身でしょ?」
こうして旅をするのも、いよいよ慣れてきましたね。
アストロにつくまではあともう少しですし。
歩いていけば一年はかかると言われている国にも風魔であっという間に行けるので、やはり魔術師の方は便利だなぁと思います。
いつものように入国審査を済ませ、国に入ろうと私達は準備しました。
しかし。
「本当よ。嘘じゃない」
「しかし」
「あー、つくづく男っていうのはイヤね。女が出世してるのを認めたくない的な?」
「っ! このっ」
何やら揉めていますね。
受付の方と、一人の女性が言い争いをしています。
その女性を見て何かに気づいたエリクル様は、その方に声をかけました。
「ひょっとして……ジェシーかい?」
「え? エリクル?」
どうやら顔見知りだったみたいですね。
女性はエリクル様と向き合うと、妖艶に笑いました。
「ちょうどよかった。誤解、解いて」
「僕を雑用に使わないでくれるかい?」
「いいじゃないの。入れなくて困ってるんだから」
「はぁ……」
静かにため息をついたエリクル様は、受付係さんに尋ねます。
「彼女が誰かご存知で?」
「魔術師だと言われましたが、信じられませんね。魔術師じゃなかろうと、魔術が使える人は使えますし」
「ジェシー、ここで魔術使ってみせなよ」
「ヤダよ。誰がコイツなんかに!」
どうやら彼女もムキになっているようですね。
べっと舌を出して、相手を挑発します。
「くそっ、女のくせに」
「女だから何だい?」
「決まってるでしょう。世の中、男のほうが偉いんです。あなたも男ならわかるでしょう」
「うわぁ、笑える」
男女差別がなかったヒイロの国を目にした後のせいか、いつもより腹が立ちます。
エリクル様はその受付の人に向けて嘲笑しました。
「彼女の名前聞いた?」
「ああ、聞きましたよ。ジェシーってね」
「直接だよ」
「聞いてないですよ。名乗りませんので」
「おい」
「だって信じてくんないもん」
すると、痺れを切らしたのか、横で黙っていた旦那様が一歩前に出ます。
「……いいか」
「?」
「俺は、アルジェルド・マルシムという」
「はあ? アルジェルド・マルシ……って、はあ!?」
そこで旦那様が有名人であることに気づいたのでしょう。
急に胡散臭い笑みを浮かべてきます。
「何と。世界一の魔術師様におこしいただけるとは……光栄です」
「それじゃない」
「え?」
旦那様は表情を変えずに、続けました。
それじゃない……ということは、言いたいことが違うということでしょうか。
「俺なら、信用できるな」
「はい! もちろんです!」
「……こいつはジェシー・モンドレ。俺に次ぐ、世界二位の魔術師だ」
「はえ?」
ジェシー・モンドレ。
その名前は、私でも聞いたことがあります。
旦那様に次ぐ魔術師であり、植物学者をやっている人です。
数々の業績を各国に残し、色々な地を転々と旅をしているらしいです。
「すっ、すみませんでした……!!」
「はぁ~~~。やになっちゃうね、もう」
深く深くため息をついた彼女から、本当にうんざりしていることが伺えます。
こういった差別は珍しくありません。
気分を害して当たり前でしょう。
「ほら、さっさと入国書ちょうだい」
「はっ、はい!」
私達の分とジェシーさんの分の入国書を渡した彼は、そそくさとどこかへ逃げていきました。
「最悪。それに、めんどくさ」
「ジェシー。魔術師だってことを黙って入ればいいじゃないか」
「私、この国で魔術を使う予定があるの。後でお縄につくのはムリ。てか、面白いメンツね」
ちなみに魔術師が魔法を使う場合は、申請を出せば使うことができます。
申請を出さなければ犯罪者扱いされてしまいますので、注意が必要です。
私達四人を見た後、ジェシーさんはクスクスと笑います。
エリクル様と旦那様のお知り合いのようですし、挨拶をしておきましょう。
「はじめまして。私、ラティアンカと申します」
「! わ、私っ、ロールです!」
私に続いて、どもりながらもロールが挨拶をします。
一度腰を折って顔を上げれば、凄く近くにジェシーさんの顔がありました。
「え」
「ふぅん……アンタが、アルの嫁ね」
「違います。離婚しました」
「離婚したぁ!?」
するとジェシーさんは旦那様の胸元を掴み、思い切り揺さぶりました。
「本当か!? り、離婚って!!」
「……嘘ではない」
「マジか!!」
すると、ジェシーさんは嬉しそうに笑って、旦那様にとんでもないことを言いました。
「じゃあさ、私と結婚しよ。独り身でしょ?」
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